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【レビュー】多読英語長文:長文読解の勉強に迷走しがちな大学受験生におすすめの長文読解専用の参考書

      2020/11/07

多読こそ正義!「思考停止状態をつくらない」英語長文解釈本ここに見参!

多読英語長文

『多読英語長文』は大学受験生向けの、ポケットサイズの英語長文読解・解釈の解説本です。

「多読」「精読」、それ、どっちも叶います!

英語長文が得意になるためには「多読」重視か、「精読」重視かどちらか?ということを時々聞かれます。

私個人の意見ですが、得意になるためにはどちらも大切です。長文1本を時間制限があればそれに準じて、なければ丁寧に読んで、解説・和訳を通して理解を深め、また本文を読む…を繰り返していくことの積み重ねが長文読解の勉強法だと思います。

ただ、長文読解自体が苦手な人にとっては、この勉強法は確かに苦行でしかない!と感じてしまい挫折に繋がってしまう気持ちも分かります。

『多読英語長文』は同じZ会出版の超ベストセラー単語帳である『速読英単語』シリーズの表紙と似ていますが、中身の造りは全く違います。Z会出版からは『話題別英単語 リンガメタリカ』という単語帳も発売されていますが、これとも一線を画しています。

『速読英単語』シリーズや『話題別英単語 リンガメタリカ』は英語長文から単語を学んでいくタイプの単語帳という枠組みにあります。

一方で、『多読英語長文』はサイズこそ単語帳サイズなのに、あくまで「大学入試レベルの長文読解・解釈がメイン」という異色の長文解説本という立ち位置にあります。

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「実況中継系」に近いけれど、より自分の中で「思考すること」を促される異色構成

ページ数は本冊303ページに加えて取り外し可能な「文法・構文解説」55ページで、『速読英単語』シリーズよりは若干薄めの印象です。2章構成となっており、長文素材で大きく「文系素材」「理系素材」として分かれています。やや文系素材が多いです。

「文系素材」と「理系素材」の二種類を収録
田井中 善夫『多読英語長文』

長文素材のページは見開き単位で、左側が英文、右側が日本語訳になっていてこれは『速読英単語』シリーズと同じです。

ただ、『多読英語長文』の場合は、取り扱う英文とその訳の長さやパラグラフを重要視した改行等の都合で、文章ページが見開き2ページ以上になる素材もあることは相違点です。

『速読英単語』よりも長い数ページに渡る長文を収録している
田井中 善夫『多読英語長文』

単語帳ではないので、単語とその意味のページはなく、文章ページの下にチェックボックスと訳の一覧があります。

文章ページが終わると、次ページからは、前ページの文章の全体像の説明、パラグラフ構造の図解があり、内容を整理できます。

パラグラフ構造の解説で長文の全体像を把握
田井中 善夫『多読英語長文』

そして、「スキーマ」と呼ばれる対話形式の長めの「フィードバック」のためのページが続きます。どこか「実況中継」シリーズを彷彿とさせますが、教師役と数名の生徒の対話から、読者側にも思考を促すキーセンテンス次々と提示され、それが刺激となって自分主体で思考するようになっていきます。

自分主体で思考できるようになるための「スキーマ」
田井中 善夫『多読英語長文』

「スキーマ」はなかなか他には取り入れられていない構成なので、最初はかなり面食らうかもしれませんが、「スキーマ」の読み方についてのページも巻頭に設けてあるので安心です。

さらに、不定期に登場する「さらにデータを得たい君に」等の思考を深めることへのサポートが手厚いページが特徴的です。

「さらにデータを得たい君に」
田井中 善夫『多読英語長文』

また、読解自体でつまずきそうなポイントは、別冊の「文法・構文解説」にシンプルかつ明瞭にまとまっています。

読解でつまずきそうなポイントを別冊にまとめてある
田井中 善夫『多読英語長文』

「読みっぱなしは罪!」長文読解への取り組み方にテコ入れをしたい大学受験生へ

丁寧な読解力養成に加えて「英語を読んでどう解釈するか」という観点において力が入っている本ですので、長文読解がそもそも苦手、つい読みっぱなしにしてしまう大学受験生におすすめです。英文を読んでから小論文を書くタイプの入試問題を受験予定の受験生にも効果があると思います。

長文読解の数をガンガンこなしたいタイプには向いていないかもしれませんが、サイズを考えると掲載数は多いですし、解説が細かいので、使うかどうか検討する価値はあると思います。

長文読解解説本にしては携帯サイズで持ち運びやすいですが、その分余白は少ないので、書き込みをする場合は付箋等を使うか、長文部分だけを拡大コピーして別のノートに書き込む方式で取り組むことをおすすめします(経験談)

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まとめ

  • 表紙は「速単」シリーズに似ているが、中身は大学入試レベルを想定した長文読解本。
  • スキーマや追加データ提示ページを通して、文章背景を検証し深める勉強ができる。
  • 長文読解の勉強に迷走しがちな受験生、小論文が課される入試を受験予定の学生にもおすすめ。
●編集長からひとこと
レビューアは医学部受験生だったので、『速読英単語』『リンガメタリカ』をはじめとして勉強した参考書の量がすごいですが、一般的な受験生の場合は参考書を数を絞りたいはずです。『多読英語長文』と『速読英単語 必修編』から一冊に絞るのであれば、単語重視の『速読英単語 必修編』のほうをお薦めしたいですね。『多読英語長文』は、たとえば単語帳は『システム英単語』を使ってるよ、という受験生が長文読解の勉強用に使うと威力を発揮すると思います。

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