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【比較レビュー】理解しやすい人気の英文法本『今井の英文法教室』と『一億人の英文法』を比較しました!

   

数ある英文法参考書の中でも人気の高い『今井の英文法教室(上・下)』と『一億人の英文法』。どちらも「あー、そういうことか!」と納得できるわかりやすさが人気の秘密ですが、どういった方法で理解へと導くか、そのアプローチには違いがあります。それぞれどんな特色があるのか、そしてどんな人に向いているのか比べてみました。

今井の英文法教室(上) (東進ブックス 名人の授業) 一億人の英文法 ――すべての日本人に贈る「話すため」の英文法(東進ブックス)

わかりやすく、読んで面白い文法書

かつて英文法参考書といえば、大学入試に必須の文法事項について、淡々と説明を述べているものが一般的でした。わからない文法事項があるときに、辞書的に使われることが多かったのがその理由でしょう。

しかし最近ではそうした参考書は減り、やさしく、わかりやすい説明のものが多くなりました。なかでも『今井の英文法教室』『一億人の英文法』は、ユーザーから高い評価を得ているようです。

どちらの参考書も、これまでの参考書のイメージからは一線を画す、ユニークな語り口が特徴です。2冊ともどこかユーモアが感じられ、面白くためになる、「読んで楽しい文法書」となっています。

大学入試問題の攻略なら『今井の英文法教室』

『今井の英文法教室(上・下)』は、東進ハイスクールの人気講師・今井宏氏の手によるものです。笑いどころも交えたライブ感のある説明、挿入された板書のイラストが、予備校での実際の講義をありありと想像させます。難易度は基礎~標準を想定、センター試験レベルから国公立大の二次試験まで対応しています。

予備校の講義のようなライブ感のある解説が持ち味の『今井の英文法教室』
今井 宏『今井の英文法教室(上)』

学校英語で学ぶ文法事項をていねいにかみ砕き、問題を解く際の着眼点をしっかりとおさえた内容は、参考書というより、「解説が非常に詳しい問題集」という印象を受けました。適語選択や穴埋め問題など、頻出の例題を用いて、「どうしてこれが正解なのか」「ほかの選択肢ではなぜいけないのか」を解決できるようなつくりになっています。入試問題でいかにして正解を選びとるか、を求めるなら、『今井の英文法教室』は何よりも頼れるパートナーになるはずです。

従来の文法用語にとらわれない『一億人の英文法』

いっぽう『一億人の英文法』は、NHKの語学講座でおなじみ、大西泰斗氏とポール・マクベイ氏のコンビが、「話せる英語」に重点をおいた本です。そのため、従来の文法用語にとらわれない章組みが特徴となっています。

たとえば、大学入試用の問題集を解いていて、「関係詞がよくわからない…」と思ったとしましょう。『今井の英文法教室』のほうには、目次にしっかりと「関係詞」という項目があります。

しかし『一億人の英文法』では、目次に「関係詞」という項目が見当たりません。かわりに「WH修飾」という聞き慣れない項目があり、そこで説明がなされています。従来の文法用語を使っていない項目はほかにも多くあるため、高校生がふだんの授業や定期テスト対策に使うには少し扱いにくいかも…。索引もついておらず、別途専用サイトでダウンロードしなければなりません。

従来の文法用語以外に独自の用語が使用されることが多い 『一億人の英文法』
大西 泰斗『一億人の英文法』

学校英語を超越した『一億人の英文法』

しかし『一億人の英文法』の良さは、学校英語を超越したところにあります。文法項目の枠にとらわれず、実践的に英語を使うことを最優先にしているのです。

ですから『一億人の英文法』は難解な入試問題を「解く」ことよりも、自分の気持ちを的確に言葉にすること、つまり“文を作る原則の理解”に力を注いでいます。イラストも多く使用され、より直観的にイメージをつかむことができます。

イラストを多用して直感的にイメージをつかむことを重視した『一億人の英文法』
大西 泰斗『一億人の英文法』

ネイティブスピーカーの意識や言葉のニュアンスを理解するため、英文法を合理的・体系的に整理したのが『一億人の英文法』。始めから通して読むよう推奨しているのも、拾い読みでなく英文法の全体像をつかんでほしいということでしょう。索引がないのも、そうしたポリシーからと思われます。

自分に必要な英語スキルに応じて

読解や文法知識などを問う、ペーパーテスト主体の従来型入試を突破したいなら、『今井の英文法教室』が文句なしにおすすめです。

ただ、今後主流となる「英語4技能」重視の入試に立ち向かうなら、『一億人の英文法』もぜひ読んでみてください。英語で表現・発信するためには、ネイティブスピーカーの意識を理解する必要があるからです。

受験のテクニックにとどまらない、底力といったものを身につけるためには、『一億人の英文法』を読んでおいて損はありません。受験生のみならず、英語を学ぶ社会人にも、必ず役に立つはずです。かつてただ暗記するしかなかった文法事項にも、こんな意味があったのか、こんな意識が隠れていたのかと、再発見ができることでしょう。

まとめ

  • どちらもわかりやすく、面白く、確実に役に立つ文法参考書です。
  • 大学入試、とくにペーパーテストの攻略なら『今井の英文法教室』が効果的。
  • 英語で発信するために、ネイティブスピーカーの意識を学ぶなら『一億人の英文法』がおすすめです。

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