学ぶとは、マネることである。

【レビュー】9割をねらえ!解決!センター英語リスニング:『速読英熟語』の著者・温井史朗氏が製作した大学入試センター試験の英語リスニング問題専用の問題集

   

『9割をねらえ!解決!センター英語リスニング』は、大学入試センター試験英語のリスニング問題に焦点を絞ったリスニング教材です。

解決! センター英語 リスニング[改訂第3版]

著者は同じZ会から出版されている大学受験教材の良書、『速読英熟語』でコンビを組んでおられる温井史朗氏、岡田賢三氏です。

センター試験英語のリスニング対策はこれ一冊でOK

構成はセンター試験のリスニングテストの問題形式や解法の解説をしている準備編、基礎~標準レベルの問題練習をする攻略編、実際の試験形式の問題練習をする実践編となっています。

全体の構成
温井 史朗『9割をねらえ!解決!センター英語リスニング』

実際に直近のセンター試験の過去問と比較してみましたが、印象としては攻略編の問題で長い対話文の内容把握に関しては、実際の試験のレベルを超えているものと思われます。

ページが進むにしたがって問題が難しくなっていき、攻略編の最後の方ではセンター試験のレベルを若干超えた問題となるという構成ですので、無理なくステップアップしていけるでしょう。

攻略編の最後のほうは、センター試験のレベルを若干超えた難易度の問題
温井 史朗『9割をねらえ!解決!センター英語リスニング』

難関大学をねらうのであれば、センター試験の英語は少なくとも9割、できれば満点近くをあっさり取れるだけの実力は欲しいところで、リスニングでの取りこぼしは許されません。

ここまでの問題練習をじっくり積んでいれば、センター試験よりも若干高いレベルの実力がつくものと考えられますから、9割どころか十分満点がねらえるでしょう。

ある程度リーディングの勉強も進んでいる受験生なら苦労する量でもありませんので、質・量のどちらの面から見ても無理・無駄のない良書です。

なお、高校生の日常学習用としてはややレベルが高いので、使用する時期としては大学受験に向けた勉強が本格化する高校2年生後半~3年4月頃から使い始めるのが良いでしょう。

中堅~やや難関までの大学2次試験対策としても

英語のリスニングテストは多くの受験生が頭を悩ませる分野です。

かく言う筆者は、英語の勉強の8割以上を音読で行っており、リスニング対策は時間的な問題もあってさほど本腰を入れていませんでした。

模試や実際の試験では終わってみるとほぼ満点近く取れていましたが、やはり現場で「はい、これからリスニングテストを行います」の声がかかると緊張した経験があります。

音読をメインに英語の勉強を進めることは他の記事でも何度も申し上げているとおり、語彙力・読解力・リスニング力全てを同時に伸ばすことができるおススメの方法なのですが、やはり精神安定剤という意味でリスニング対策の勉強をしておけばよかったかなと思っています。

その一方で大学受験生がやらなければいけない範囲はかなりのものですし、英語ばかりやっているわけにもいきませんから、リスニングという分野に割ける時間・割いても良い労力というのは非常に限られたものでしかないでしょう。

そのため、英語のリスニング教材を選ぶ観点としては「できるだけ少ない問題数や量で、大体の出題形式に対応でき、必要十分な実力をつけられる」ことが条件になります。

本書ではセンター試験の英語の出題形式はほぼ網羅していますし、中堅~やや難関程度(イメージとしては偏差値で55~65程度)の大学のリスニング問題にも対応できる程度の仕上がりになっています。

全体として、中堅~やや難関の大学入試のリスニング問題にも対応
温井 史朗『9割をねらえ!解決!センター英語リスニング』

これ一冊でセンター試験のリスニング対策としては十分以上の実力をつけられますから、他の類書には手を出さず、一冊をマスターすることでセンターレベルから二次試験レベルの対策にもなるでしょう。

二次試験対策としては、あとは予備校の模試や大学ごとの過去問を行うことで十分です。

社会人はこの本よりもTOEIC・TOEFL・英検向け教材などを

社会人のリスニング対策としてはどうかという観点から見ると、あまりおススメではありません。センター試験はあくまで大学受験レベルの基礎的な実力を問うものですから、はっきり言ってしまえばさほど高い山ではありません。

高校生がまじめに対策すれば8~9割を取るのが当たり前のレベルですから、社会人に要求されるレベルから見ると低すぎますし、センター試験のリーディングはある程度の語彙力も試されますが、リスニングでは知っていて当たり前の簡単な語彙しか出てこないというのがほとんどです。

その一方で、リスニングの問題練習は「英語を聞いて→問題を解く」ということの繰り返しですから、スクリプトの話者が話すスピードにどうしても勉強の速度が制限されます。制限されたスピードの中で、簡単な問題を解いても社会人にとっては時間を無駄にするだけでメリットは小さいものになってしまいます。

社会人がリスニング練習をするのであれば、TOEICやTOEFL、英検など受ける試験に特化した教材か、またはNHKラジオ英会話などを活用する方が払った労力に対して得られる効果が大きいでしょう。

まとめ

  • センター試験英語のリスニング対策のための教材。
  • ステップアップ形式で、マスターすればセンター試験リスニング対策としては十分以上。
  • 大学受験の問題パターンはほぼ網羅しており二次試験対策の基礎固めとしても。
  • 社会人には費用対効果の観点からおススメはしない。あくまで大学受験生向け。
さかえ
上智大学法学部卒のビジネスマン。大学在学中は、純正日本人でありながら帰国子女率80%の上級英語クラスに所属していた。TIME誌、Newsweek誌は辞書なしで読解可能。愛読誌は『The Wall Street Journal』『The Economist』。 詳しいプロフィール / 記事一覧

 - 大学受験