学ぶとは、マネることである。

英語講師・Kanaの『中学時代に英語が完璧でも進学校で成績を落としやすい高校生が多いのはなぜか?』

   

中学までは英語が得意だったのに?

「中学までは英語が得意だった。でも高校に入ってから、わけがわからなくなった…」そんな嘆きを聞くことは、実はよくあります。英語が得意だったはずなのに、なぜなのでしょう。

中学校までの学習内容は、暗記を苦にせず器用なタイプなら、やろうと思えば丸暗記で何とかなってしまうものです。ローマ字とは違うややこしいつづりや、どうしてこんな風に読むのかわからない発音、そして動詞の変化形も文法事項も、とにかく丸ごと暗記…そうすればテストではいい点が取れます。学校のテストはそういう風にできているからです。

しかし高校英語となるとそう簡単にはいきません。中学時代「なぜそうなるか」を悩まずに「こういうときはこうだから」と要領よく暗記で乗りきってきた人ほど、壁に突き当たりがち。その原因を探ってみましょう。

中学英語と高校英語の違いは

中学英語に比べて高校英語が難しいのは、ひとつには語彙の増大と難化です。中学英語で覚えるべき語彙数は1200程度、高校英語ではそこに1800上乗せして3000語以上と言われます(2020年以降はさらに増える予定)。内容も、「book(本)」や「friend(友だち)」など、つづりが短く、具体的で身近な語彙から、「conservation(保護)」や「discrimination(差別)」など、つづりが長く複雑で、意味も抽象的な内容のものが増えてきます。単純な丸暗記ではしんどくなってくるはずです。

同時に、学習に使用する文法用語も難しくなります。試しに高校生用の英語参考書を開いて、目次を見てみましょう。「使役動詞」「再帰代名詞」「分詞の叙述用法」…意味どころか漢字の読み方もわからないよ…という人もいるのではないでしょうか?また、たとえば「副詞」とは何か、と聞かれてすぐ答えられるでしょうか?定義がわかっていなければ、参考書で「時を表す副詞節」とあっても内容を理解できませんね。

このような文法用語は、参考書の巻頭などで説明をしてあることが多いです。そうした部分をスルーせずに、きちんと読むようにしてください。文法用語をしっかりと理解することは、高校英語習得に欠かせないカギとなります。

さらに、高校で習う英語は構文が複雑になってくるというのも特徴です。これに対処するには中学英文法の基礎理解が必須です。高校英語でつまずいてしまったと思うなら、面倒なようでも、いったん中学英語の基礎に立ち戻ることをおすすめします。一度学んだことを総ざらいすると、個々の文法項目の、相互のつながりを意識することができます。その俯瞰的な見方が、理解の助けになってくれるのです。たとえば現在・過去など時制の理解が不十分では、完了形や仮定法は理解できません。あるいは、主格・所有格・目的格などを理解していないと関係詞の使い分けもできないのです。

英語で何ができるかが問われる

もう一つつけ加えるなら、高校英語では文章が長くなるだけでなく、内容も難しくなります。表現も高度になりますし、論の運び方にも着目する必要があります。

日本語に比べ、英語の文章は論理的な組み立て(まず結論→次にその理由や根拠)で書かれていることが多いです。「論理的思考力」を磨き、「英文エッセイの作法」を知っておくのも、英語を学ぶ上で助けになると感じます。難関大学を受験希望の生徒さんにはとくに必要な力でしょう。単純に英訳・和訳するだけでなく、文章の内容を正確に読み取り、それに対する自分の考えを英語で表現する…そうした力を見る入試も増えているからです。読んで書くだけでなく、聞き、話す力も重視されるようになってきましたので、リスニングやスピーキングの訓練も、あわせて取り組んでおきましょう。

英語を手段としてさらに何ができるか、を問われる時代が来ています。試験テクニックとしての勉強だけでなく、何か目的を持って、実際に英語を使ってみることが力になります。高校生ともなれば、意識が世界に向かう年頃でもあるでしょう。自分の興味関心に応じて、実生活で英語に接する機会を増やしてみてはいかがでしょうか。それが学習のモチベーションになるかもしれません。

Kana
お茶の水女子大学卒。英検1級、TOEIC910を保有。現在、民間の中学生向け個別指導塾で英語講師として勤務している。確かな英語知識と学習経験に裏打ちされた、分かりやすく丁寧なレビュー記事・コラムが好評。 詳しいプロフィール / 記事一覧

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