学ぶとは、マネることである。

翻訳者・堂本秋次が教える『これからTOEIC受験を考えている高校生のための勉強法』

   

高校生としてTOEICを受験する場合、受験英語の延長線上にその動機がある、あるいは留学のためにある程度の点数が必要であるという理由が考えられます。つまり、学習到達点の確認としてTOEICを受験するのではなく、ある程度の点数を取得することが目的となって勉強するパターンが多いのではないでしょうか。

ここでは、高校英語からTOEICに対応した勉強をしていくことについて考えてみましょう。

TOEICと受験英語(高校英語)の違い

高校で学ぶ英語は、基本的には受験対策のための英語という側面が未だに強く残っています。しかしそこで学ぶ文法や基本的な語彙はTOEICでも必須となる知識でもあるため、もしも高校英語がある程度得意であるというのなら、すでに下地としては十分な知識がついていることも期待できます。

しかしTOEICの英語は生の英語に非常に近く、受験英語や高校英語で学ぶ英語はやや『綺麗すぎる』きらいもあります。そのため、TOEICの英語を読みづらいと感じる、知っている単語のはずなのに重なりが分かりにくいという人もいるでしょう。

このことから、高校で学ぶ英語だけではTOEICには対応できないと言うことができます。逆にTOEICの勉強をすることで高校英語が伸びるということは期待できますが、受験英語においては受験学科では習得するべき語彙に偏りがあるため、TOEICの広く浅く日常的な語彙を求められる傾向とは噛み合わない部分も出てくることが想定されます。また、専門性の高い高等学校の英語でも、同様のケースが想定されます。

TOEICと受験英語ではどちらが難しいか

TOEICの試験と受験英語を単純に比較することは、もちろん不可能です。TOEICで何点を目指すかということにも関わってきますし、TOEICと受験英語では必要とされる語彙の種類に違いがあるためです。

ちなみに、高校卒業を最終学歴とした場合のTOEICの平均点数は、2013年のETSのレポートによればリスニングが272点、リーディングが207点とされています。これを鑑みると、高校生の時点で受験した場合の平均点数はもう少し下がることが予想されます。リスニングでは200〜250点、リーディングは150点程度まで落ちるかもしれません。すると、合計点数としては350〜400点台が高校生としてのTOEICの平均レベルなのではないかと考えることができます。

仮にTOEICの高校生平均を400点だとすれば、大学受験でTOEICの点数をアピールポイントに使うと考えるなら少なくとも500点、できれば600点くらいは欲しいところです。そして600点は、およそちょうど『TOEICに対して対策ができているか』の転換点でもあるため、高校生で600点を狙うのはややハードルが高いと考えることもできるでしょう。

何よりも、TOEICの試験は長丁場です。2時間まるごと英語漬けになりますし、リスニングを45分間聞き続けるというのも高校生ではあまりない経験と考えられます。英語能力だけでなく、この長丁場の試験に耐えられるだけの集中力を身につけられるかというのも、TOEICを高校生にとって難関なテストにしている一因であると言えるでしょう。

総合的に、高校生でTOEICを受けるべきか

TOEICは社会人も同じようにして受けるテストであり、少なくとも現在(2018年時点)では英語力の指標として便宜的に用いられることが多い試験です。そのため、TOEICを受験しているというその姿勢自体が高校生としての意識の高さを表すことにも繋がるでしょうし、それで高得点を取れれば対外的にかなりのアピールに繋がるとも考えられます。

しかし、TOEIC対策の勉強と受験英語の勉強には分野として重ならない部分もあり、受験という大きな枠で見れば受験科目は英語以外にもありますので、TOEICに時間を割くというのは受験対策の勉強としては非効率とも言えます。

一方、すでに英語が得意であって、サードパーティの試験によってその能力を示すことで対外的に(例えば受験のためなどに)アピールしたいということであれば、TOEICを受けるのはひとつの戦略になるでしょう。また、TOEICの点数により優遇を受けられる大学もありますので、それを狙うならTOEICの勉強をする価値は更に高まるかもしれません。

加えて、例えば英検2級を持っている人が、英検準1級に受かるほどの勉強は難しいが、それでも他の英検2級取得者と差をつけたいというのなら、TOEICでの点数取得による差別化の効果が期待できる場合もあるでしょう。その人の受験学科が英語に関連するのならなおさらです。

まとめ

月並みな結論になってしまいますが、TOEICを受ける理由がどこにあるのか、仮にそれが大学受験での合格を目指すものなら、TOEICの取得がどの程度効果的な戦略と言えるかを考えることで、TOEICを受ける価値が分かってくると言えるでしょう。

しかし、TOEICを受けて満足のいく点数を取れたとしても、それで大学に受かったとしても、本来のTOEICは英語の学習到達点を計るためのメジャーのようなものです。それから先も勉強し続け、やがてTOEICで満点を取った後も勉強し続けることで、いつの間にか英語を話せるようになっている自分に気付くはずです。

堂本秋次
実務翻訳者、プロマジシャン。英検1級、国連英検A級、TOEIC965を保有。大学時代は、ネイティブスピーカーの教授の指導のもと、言語学を専攻していた。医学、自然科学等を専門とする多芸多才な翻訳者。 詳しいプロフィール / 記事一覧

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