学ぶとは、マネることである。

翻訳者・堂本秋次の『独学で英会話技術を習得する際に大切なこととは?』

      2018/03/13

「どうしたら英語で話せるようになりますか」は、僕自身よく聞かれる質問です。そしてその時に必ず答えているのが、「ただ話せるようになりたいなら文法は気にせずどんどん喋るべき」ということです。

日本語でもそうですが、日常的な会話では文法は全くと言って良いほど意識されていません。言い間違えはしょっちゅうですし、発音やアクセントが何らかの理由で適切でないということもあります。しかしそういったものが咎められることは滅多にありません。これは英語でも同じなのです。

では、それを踏まえた上で、より独学で英会話を学ぶ上でのコツは何か無いのでしょうか。以下、あくまで個人的な意見として、そんなコツを解説してみましょう。

まずはリスニングの練習をすること

英会話と言うと、話すための知識を蓄えることが大切なように思われるかもしれません。しかし会話とは言葉のキャッチボールです。つまり相手の話を聞き取れなければ会話にはなりません。

もちろん、完璧に聞き取れる必要はありません。会話の中で分かりにくければ聞き返せば良いですし、伝える側は伝わるように言うのが会話というものにおける役割のようなものだからです。それでもしかし、最低限の単語を聞き取り、それに適切な返答を返せるようでなければならないのです。

何を教材としてリスニングするかについては好みでOKですが、英語のリスニング試験のための『綺麗な英語』よりは、ポッドキャストやドラマ、ニュース番組などの生の英語を聞くようにすると良いでしょう。もちろん、リスニングが苦手であるということであれば、まずは英語の試験に用いられるような綺麗な英語で英語のアクセントや発音に慣れてから生の英語に挑戦するのが良い流れです。

リスニングをする中で会話のパターンを知る

生の英語に触れることで、『会話のパターン』のようなものが見えてくることもあります。このパターンをいくつか覚えておくことは、実際の会話でも役立つことでしょう。

ここで言うパターンというのは、決まり決まったフレーズやイディオムのことではありません。例えば電話応対という会話の場面では、最初は『もしもし』から始まり、相手も『もしもし』と答えてから場合によっては相手の名前を訊ね、それが分かっている場合は要件を訊ねる、といったような『パターン』があります。

このパターンに反して最初の『もしもし』を省略していきなり要件を伝えるようなことをすると失礼に当たったりします。ここでのパターンとは、そういうもののことです。こうしたパターンの中で繰り返し用いられる英語表現や応酬について身につけておくことで、よりスムーズな会話をすることができるようにもなります。

フレーズやイディオムのことではないとは言いましたが、もちろんリスニングの中で学ぶことのできるフレーズやイディオムは有益です。自分が知らなかった言い回しや慣用句、諺などについては、ぜひともその瞬間に身につけることをおすすめします。

スピーキングで伸ばすべき要素は発音と語彙

英会話で話せるようになりたいというときに重要になるのは、厳密にはスピーキング(speaking)ではなくトーキング(talking)の能力です。この2つが異なるものであることは、おそらくこの記事を読んでいるあなたならご存知でしょう。しかしトーキング、つまり会話をする能力を鍛えるためには、どうしても会話の相手が必要です。独学の場合、こうした相手を見つけるのが難しい場合もあるでしょう。

この場合、やはりスピーキングのトレーニングで代用することが必要になってきます。そこで改めてスピーキングで重要な要素について考えてみると、それは発音と語彙であると言えるでしょう。発音は綺麗に越したことはありませんし、見たり聞いたりして理解できる語彙と実際に運用できる語彙は別物だからです。

そもそも日本語での会話は得意ですか?

これを言っては元も子もないという意見もありますが、英語で流暢に会話をするには、そもそもある程度の『日本語での会話力』が必要です。つまり、普段から日本語で流暢に会話をするのが苦手であるというのなら、英語でいきなり流暢な会話をすることができるとは考えにくいのです。

そのため、もし、もともと人と会話をするのが苦手だというのなら、まずはそこについて取り組む必要がある場合もあります。いわゆる会話力を身につけるための本は色々なものが手に入りますので、そういったものを読んでみるのも良いかもしれません。

つまり独学で英会話を学ぶには、自分一人の時にはリスニングをして会話のパターンを掴みながら実際の会話をイメージ、機会があれば積極的に英語で会話をする姿勢が大切であると言うことができます。

会話に慣れてくれば、少しずつ冗談を言えるようになってきますし、気の利いた表現が頭に浮かぶようにもなってくるでしょう。あるいは皮肉も言えるようになるでしょうし、それを言うべきタイミングかどうかということも分かるようになっていくに違いありません。

●編集長からひとこと
記事中ではリスニングの素材としてドラマやニュースが推奨されていますが、これは上級者向きです。英語学習者の大部分を占める初~中級者(TOEICなら700点未満が目安)の方であれば、会話系の学習書付属の綺麗な発音のCD(NHK出版『基礎英語』、旺文社『英単語・熟語 ダイアローグ』、Z会『速読速聴・英単語』の『Basic』『Daily』あたり)でリスニング学習をすることをお勧めします。CDの綺麗な発音を聴きとれなければ、英語圏のドラマももちろん聞き取れません。CNNなどの英語圏のニュースは語彙が難しい上スピードも速く、背景知識も要求されますので理解は困難です(そもそも平均的な英検1級合格者でもCNNの理解度は50%くらいなので、素材としては厳しいです)。学習書CDが十分に聴きとれるようになってから、英語圏のドラマやニュースにチャレンジしていきましょう。
堂本秋次
実務翻訳者、プロマジシャン。英検1級、国連英検A級、TOEIC965を保有。大学時代は、ネイティブスピーカーの教授の指導のもと、言語学を専攻していた。医学、自然科学等を専門とする多芸多才な翻訳者。 詳しいプロフィール / 記事一覧

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