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【レビュー】村上春樹「かえるくん、東京を救う」英訳完全読解:村上春樹氏の短編小説を翻訳した文章を使って、英語の微妙なニュアンスを学ぶ

      2018/01/21

村上春樹氏の短編小説で、英文小説を味わう楽しみを体験しませんか?

村上春樹「かえるくん、東京を救う」英訳完全読解

『村上春樹「かえるくん、東京を救う」英訳完全読解』はNHKのラジオ講座「英語で読む村上春樹 世界の中の日本文学」の「かえるくん、東京を救う」のパートを一冊にまとめた書籍です。

村上春樹の世界を英語で味わう

村上春樹の小説を読んで、その独特の世界観や洗練された文章の心地よさに引き込まれたことのある方は多いのではないかと思います。

その「村上春樹を読む」という魅力的な体験を世界中の人々に届けるために翻訳者はどのような言葉を選んで英語で物語を紡いだのでしょうか。日本語と英語、両方の言葉を味わいながら好奇心を持って楽しく読み進めてみましょう。

「かえるくん、東京を救う」ってどんな物語?

「かえるくん、東京を救う」は、短編集『神の子供たちはみな踊る』に収録されています。ある日、ごく平凡な男の前に人間のように話をする「かえるくん」が現れて、東京に大地震を起こそうとしている「みみずくん」から一緒に東京を救って欲しいと男に頼みます。

物語は阪神・淡路大震災が発生した1995年1月と地下鉄サリン事件が引き起こされた3月に挟まれた1995年2月に設定されており、ユーモアがちりばめられた作品の奥に込められた深いメッセージが読者の心をつかみます。

物語の舞台は1995年の阪神・淡路大審査と地下鉄サリン事件の間に設定されている
NHK出版『村上春樹「かえるくん、東京を救う」英訳完全読解』

翻訳者の視点で英語の微妙なニュアンスを学ぶ

短編小説「かえるくん、東京を救う」の英訳を最初から最後まで読み進めるという内容です。物語を39のセクションに分けて、左ページに英文、右ページに日本語文(村上春樹の文章)、その後に解説、という構成になっています。

英文対訳方式で「かえるくん、東京を救う」を読み進める
NHK出版『村上春樹「かえるくん、東京を救う」英訳完全読解』

英文、日本語文は1ページずつですが、解説は数ページに渡ってポイントとなる表現が詳しく説明されます。解説のボリュームの多さに驚く方もいらっしゃるかもしれません。

英文中でポイントとなる表現は次のページに詳細に解説されている
NHK出版『村上春樹「かえるくん、東京を救う」英訳完全読解』

英訳者の意図を探るように解説されているのがこの本の大きな特徴です。村上春樹の言葉に対して、どのような英語が選ばれているか、なぜその英語が選ばれたのか、丁寧に書かれています。英語表現の微妙なニュアンスを知ることができます。

中級者から上級者向けのレベル

英文は実際に海外で出版されているJay Rubin訳の”Super-Frog Saves Tokyo”が使われています。学習者用に書き直された英文ではないので英語初級者には難しいかもしれません。

解説も単に単語や文法の解説だけではないので、基本的な英語力がある方向けと考えていただいた方がよいでしょう。高校卒業レベル〜大学受験レベルの英語力は必要です。英語で小説を読めるようになりたい方や、精読の学習をしたい方、英訳に興味のある方におすすめです。

英訳に挑戦して英語力を磨こう!

村上春樹の小説を英語で味わいながら読むという体験ができるのが本書の一番のメリットといえます。英語上級者の方は村上春樹が書いた日本語文から英訳を考えてみる、という学習法も面白いかもしれません。

微妙なニュアンスまで表現するのは難しいですが、英語力を磨くのにとてもよいトレーニングになるのではないでしょうか。

まとめ

  • 村上春樹氏の短編『かえるくん、東京を救う』を英語で楽しめる。
  • 英訳者の意図を探るように解説されている。
  • 中級者から上級者が英語力を磨くのに適した内容。
尾形こま
早稲田大学第二文学部卒。英語が得意なフリーライター。旅行、グルメ、商品紹介など、多様なジャンルの記事執筆を請け負っている。読みやすい日本語文を作成する技量をもつ実力派。 詳しいプロフィール / 記事一覧

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