学ぶとは、マネることである。

英語講師・Kanaの『同時通訳の神様・國弘正雄氏の「只管朗読」法』について

      2017/11/13

「只管朗読(しかんろうどく)」法とは

「同時通訳の神様」と呼ばれた故・國弘正雄先生をご存じでしょうか?

國弘先生は、アポロ月面着陸の同時通訳や、外務省参与として外交交渉を行うなどの活躍で知られた方です。その國弘先生が「外国語学習の原点」として提唱したのが、「只管朗読」という方法です。

「只管朗読」とは、道元禅師の「只管打座(しかんたざ:ただひたすら座禅する)」という教えからヒントを得た造語で、「英文をひたすら音読する」というシンプルな学習法です。

「え、ただ音読するだけ?」と思うかもしれませんが、その効果はあなどれません。通訳など、英語エキスパートとして活躍する多くの人が、この方法で学んでいると言われます。

音読は目で英文を追い、声に出し、自分の耳で聞いて確認するため、多くの感覚刺激を必要とします。そして何度もくり返すことで、頭だけで理解するのでなく、身体に刷り込むように覚えることができます。私自身も音読トレーニングを行ってきましたが、経験上、とても力がつくと実感しています。

音読する教材はどのようなものがいいか

只管朗読は、適切な教材さえあれば、いつでもどこでも自分の都合に応じて行うことができます。では、どのような教材を選べばよいのでしょうか。

音読する英文は、その内容・意味をきちんと把握していなければなりません。そのため、おすすめは中学英語の教科書や、テレビ・ラジオの英語講座(基礎レベル)のテキストです。

基礎力や発音に不安のある人なら中学1年レベルから。受験勉強で鍛えたという自信があれば、中2・中3レベルでもいいでしょう。背伸びして難しいものを選ぶと挫折しますので、少し簡単かなと思うくらいのものを選んでください。

発音を確認するため、CDが付属した教材があることが必須です。初・中級者ならゆっくりしたスピードのものがいいですね。「音読用」とうたった参考書も最近は多く出版されていますので、そういった中から選ぶのもおすすめです。

トレーニングの進め方

まずはお手本音声を聞きます。文の区切り位置に注意しながら、意味を理解し、内容を頭の中でイメージしていきましょう。発音や内容が頭に入るまで、しっかりと聞きこみます。

それから、お手本をマネするように音読していきます。この作業を何度もくり返し行ってください。「音読筆写」といって、音読と並行して英文を書き写す作業をすれば、さらに記憶の定着度合いがアップします。

音読の回数は数十回、数百回…多ければ多いほどよいわけですから、毎日コンスタントに続けることを意識しましょう。同じ文をいっぺんに百回くり返せ、と言われればげんなりするかもしれませんが、1日に5回リピートして、20日間続ければ百回。1日1回でも、3カ月ちょっとで百回です。

音読した回数は記録しておきましょう。励みになり、達成感も得られます。飽きないように、自分の興味のある分野、好きな分野の教材を選ぶなど工夫するのもいいですね。

また「海外ニュースのアナウンサーになったつもりで」とか「ハリウッド映画の俳優になったつもりで」練習をしてみる、というのも面白いかもしれません。慣れてくると声を出すのが楽しく感じるようになった、という人も多いです。黙読で勉強するのに比べ、音読は眠くなりにくいのもメリットと言えるでしょう。

成果は必ず実感できる

只管朗読法を続けてしばらくすると、頭で考えなくてもすっと英文が口をついて出てくる、という感覚が身につきます。やがて、英語を話すことへのバリアがずいぶんと薄れていることに気づくでしょう。自分でも、スキルアップをはっきりと実感できるようになります。

この方法なら、高額な授業料も、難解なテキストも要りません。自分にあったやさしいテキストを選んで、まずは取り組んでみる、そして続けてみることです。「只管朗読」で得られる大きな成果を、ぜひご自分で味わってみてください。

●編集長からひとこと
音読は、國弘正雄氏以外にも様々な著名講師が推薦する学習方法です。他には東進ハイスクールの今井宏氏が音読論者として有名ですね。音読についてもっと知りたい場合は、同氏の著作『さあ、音読だ 4技能を伸ばす英語教育法』を読んでみましょう。
Kana

お茶の水女子大学卒。英検1級、TOEIC910を保有。現在、民間の中学生向け個別指導塾で英語講師として勤務している。確かな英語知識と学習経験に裏打ちされた、分かりやすく丁寧なレビュー記事・コラムが好評。

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