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【レビュー】上智大の英語:語彙レベルが高いうえ英文を高速に読解することを要求される上智大学入試の過去問集

      2017/11/04

私立最難関大学の一つ「上智大学」の赤本です。

上智大の英語[第4版] (難関校過去問シリーズ)

上智大学の英語入試問題の特徴と構成

上智大学の英語の特徴を一言で表すと、「出題形式は素直でストレートだが語彙レベルはかなり高く、また大量の英文を短時間で読みこなす能力が求められる」となります。

上智大学はミッション系大学ですから英語は難しいと言われがちですが、出題される問題自体は

(1) 文法知識が固まっている人が
(2) 制限時間なしで
(3) 辞書を使い放題で

という3つの条件があればあっさりと解けてしまうくらいストレートです。

クセのある奇問珍問の類はほぼ出題されませんし、出題されたとしても他ができていれば捨ててしまって構わない程度にしか出されません。長文読解問題でも、本文の内容をしっかりつかんでさえいれば微妙な選択肢でどちらが正解か迷うようなことはあまりありません。問題自体は非常にオーソドックスな良問がそろっていると言えます。

上智大学の英語の難しさは、制限時間(全学部全学科一律90分)に比較して、読みこなさなければならない英文量が多いこと、学部間で突然出題形式の傾向が入れ替えられることもあるため、早稲田大学や慶應義塾大学とは異なり特にどの学部に絞った対策というものが立てにくいということにあります。

以下の出題構成のとおり、学部間で出題される大問数にはやや開きがありますし、大問が少ない学部でも英文自体が長い場合もあって、油断はできません。

上智大学入試問題の出題構成
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教学社『上智大の英語』

近年では平成10年前後の1問100行を超えるような超長文が出題されるようなことはあまりなくなっているとはいえ、それでも時間に対する英文量はかなりのものがあります。

上智大学は他の入試問題の科目も、特に国語は時間がタイトですから「速く、正確に」文意をつかむ能力が求められている大学であると言えます。

また、同じ学部学科でも突然傾向が変わることがあるため、早稲田や慶應のように学部ごとの傾向がはっきりしているというわけでもありません。そのため、偏りなく勉強してどのような問題形式にも対応できるだけの実力を身に付けなければならないことも、上智の英語を難しくしていると言えるでしょう。

上智大英語に対応するための考え方

上智大学はほぼ全学部で、英語と国語で合否が決まります。

選択科目である数学・理科・社会科では差がつきにくい基礎的な問題の出題が多く、はっきり言えばできる学生からすれば制限時間の半分もかけずに解いて8割9割が当たり前に取れてしまう程度の問題しか出ないからです。

一方、英語は制限時間が厳しい中で分量が多い問題が出題され配点も多いですから、ここで圧倒されてしまうと他の科目の出来がいくら良くても挽回は難しくなります。英語の合格ラインはおおむね正解率70%以上がボーダーライン、安全圏で80%以上といったところです。

難易度を見てみましょう。

まず、文法・語法問題は難しい問題はほぼ出題されません。オーソドックスな文法問題に加えて整序英作文、正誤判定問題が出題されることもありますが、基本的な文法知識が固まっていて問題集で練習し、過去問を分析していれば比較的簡単に正解できる問題ばかりです。

長文の中の空所補充で文法知識が問われる出題(平成21年度法学部法律学科)もありますが、文章が読めていて、文法知識が固まっていれば解ける問題ばかりです。

空所補充問題は、文章が読めて文法知識が固まっていれば容易に解ける
上智大学_02 上智大学_03
教学社『上智大の英語』

英文読解問題は大量の英文を読みこなす必要がありますが、出題形式は正誤判定や空所補充が中心で、「読めてさえいれば解ける」問題です。大量の英文を読みこなすといっても、基本的に音読するペース(1分に100~速くて150語程度)で一回文章を通読して文意が分かれば、解答する時間を含めても制限時間はやや余る程度の量です。

受験生には「音読するペースで、読むのは一回だけで」文意をつかむためにはかなりの練習が必要になるとは思いますが、そこまでできていれば怖い入試問題ではありません。できれば早稲田・慶應の長文読解問題にもあたり、多くの読解問題を解いて・音読するということをしておきましょう。

また、特に長文読解のスピードと理解の速さが入試の合否を分けますから、日常から長文問題練習の際に「パラグラフごとにメモを取りながら根拠をもって問題を解き、要約を作る」という勉強を行うことを心がけてください。

仕上げとしてその文章は必ず数度音読をして、返り読みをせずに頭から読み下す練習、分からなかった語彙をつぶすことをしておきましょう。

上智大学過去問の勉強方法

私は上智大学法学部国際関係法学科、及び法学部法律学科に同一年度で合格しましたが、特段上智大学対策として変わったことはしていません。

合格は平成10年前後の超長文問題が出題されていた時期のことですが、勉強全体の流れとしては、別記事「偏差値40台から上智大学に合格した私の英語学習法」のとおりです。

(1) 文法の基礎を早い段階で固め
(2) 大量の音読をしながら語彙力をつけ、同時に直読直解ができるようになり
(3) パラグラフリーディングの練習をして一読で文章の意味をつかめるようにした

これだけです。

これに加えて文法・語法は時折問題集(特にどの問題集かはこだわりなし)を一気に解いて弱点を見つけ、そこを参考書に戻って覚えなおすことを繰り返していただけです。基本的にはこのような方法で今の上智大学の問題も対応可能です。

別記事「難関大学受験生には必須の『赤本』に取り組むまでの英語勉強法」で推奨する教材・勉強方法・目標とするマスター時期は述べていますので、具体的な方法はそちらをご参照いただければと思います。

上智などの難関私大を受けるのであれば、語彙力はZ会『速読英単語・上級編』収録語彙の最低5割、できれば7~8割マスターまではやっておきたいところです。ここまでやれば他の科目で多少取りこぼしてもカバーできるくらいまで英語は得点できるでしょう。

上智大学をはじめ早稲田大学・慶應義塾大学などの難関私大を受ける場合は共通していますが、過去問の練習の際は時間配分に気を付けましょう。

難関私大は制限時間に比較して問題量・英文量が多いという特徴があります。どんなに知識があっても、制限時間以内に全部読みきれない・解ききれないのでは得点になりません。数度は必ず実際の本試験形式で「年度ごとに、時間を計って制限時間内に」やるという練習をしましょう。

間違った個所は参考書や問題集に戻って突き合わせれば良いので、分野・出題形式ごとの分析に加えて、制限時間を意識した年度ごとの問題練習を数多くこなすようにしてください。

上智大学の英語入試には裏ワザも

平成27年度の入学試験から、国際教養学部を除く全学部全学科でTEAP(アカデミック英語能力判定試験)利用型入試も実施されています。事前にTEAPを受験して大学が設定している基準点を満たせば英語の試験を免除するという制度です。

ただし、TEAPはリーディング・リスニング・ライティング・スピーキングの4つで構成されており、難易度は英検準2級から準1級程度とされています。

一般入試にはないスピーキングなどがあるためやや負担は大きいかもしれませんが、一般入試とは違い、TEAPは年に3回受験できます。また、TEAP入試と一般入試は併願が可能です。特に英語が得意で、TEAP入試を認めている学部学科志望であれば検討してみる価値はあるでしょう。

社会人が上智大英語に取り組む意味

社会人でTOEIC、TOEFL向け学習ばかりしておられる方は、短い制限時間である程度のまとまりのある英文(最低500語以上)の読解経験が少なくなりがちではないでしょうか。

TOEICの英文レベルと上智の英文レベルは大体同じ程度で、1つの英文は上智の方がより長いものが出題されていますから、多読の練習として取り組む価値はあるでしょう。

文法問題などはわざわざ上智の入試問題を題材に取り組まなくとも、英検・TOEIC・TOEFL向けの問題集をより多くこなす方が効果的であろうと思われます。

さかえ

上智大学法学部卒のビジネスマン。大学在学中は、純正日本人でありながら帰国子女率80%の上級英語クラスに所属していた。TIME誌、Newsweek誌は辞書なしで読解可能。愛読誌は『The Wall Street Journal』『The Economist』。
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