学ぶとは、マネることである。

元・上智大生 さかえの『英文読解も国語現代文もミルミル力が付くパラグラフリーディング概説』

      2017/08/20

この記事ではパラグラフリーディングとは何か、アウトラインを解説します。英語のパラグラフリーディングとは一言でいうと「国語現代文と同じレベルで英文を読解する」技術です。

詳細なパラグラフリーディングの方法は、別記事で実際の英文読解問題を解くタイプの解説を読んでいただき、また市販の解説本なども読んで理解を深めてください。本記事の概説が英語長文読解のヒントになれば幸いです。

パラグラフリーディングとは国語の現代文と同様に英文を読むこと

パラグラフリーディングを説明するとき、どうしても「技法」「テクニック」という言い方をしなければ文章で表現できない面がありますが、決してアヤシイテクニックやずるい方法ではありません。

国語の現代文であれば、段落(=パラグラフ)ごとに何を言っているのか分析し、そのつながりを意識しながら読むのが上級者です。逆に言えば国語の現代文であれば、日本語の構文などは意識しなくても理解できる人がほとんどですから、こういう読み方を身に付けさえすればほぼクリアできる科目であるといえるでしょう。

外国語である英語の場合は語彙を覚える、文法を覚えるなどの基本トレーニングが別途必要になりますので、パラグラフリーディングだけを練習していてもダメで、ボキャビルなどと車の両輪の関係にあるということはご理解ください。

さて、パラグラフリーディングとは、一言で現代文と同じレベルでの英文読解と言いました。たとえば高校受験、大学受験における現代文の読解が読者の方々にわかりやすいと思いますので、次の段ではそちらを例に説明します。

現代文の読み方の基本は「全体の論理構成を意識する」こと

国語現代文の試験問題というと、「国語は感性だ」という人も一部におり、ひどくなると「現代文はゲンナリ文」と言い出して勉強自体しない人が私の受験生時代には見受けられました。

私は大学受験生時代、勉強をちゃんとするようになってからは国語の現代文はしっかり勉強して得点源にしました。現代文は読み方さえわかっていれば基本的に正解できるから、一番楽な科目だとすら思っていました。

その現代文の読み方・頭の使い方を一言でいうと「常に文章全体の論理構成を意識する」ということになります。

たとえば、設問の傍線が引かれている部分だけ読んで、答えはその周辺にあるはずだ、という読み方では現代文読解は上達しません。文章の中の細かい部分に注目することも必要ですが、現代文を読む際は文章全体の論理構成を意識しながら読む必要があります。

具体的な方法は次の段以降で説明しますが、現代文を読むことはちょうど地図で目的地までのルートを読み解き、より無駄のないルートを選んでいくことと似ています。例えば目的地がオシャレなカフェだとしましょう。そこに行くためには、「ただ何となくあっち」という考え方はしないはずです。

地図を見て、ルートを割り出し、より効率の良い道筋を考えてから実際に歩き始めるはずです。そして歩き始めたら地図と目の前の街並みを照らし合わせ、この角を曲がれば郵便局があって、その先に交差点がある、交差点を右に曲がれば目的地だ、というように予測を立て、確認しながら歩いていくはずです。

説明が少々長くなりましたが、パラグラフリーディングとは、現代文や英語長文を読むときに、このように地図を見て、ルートを割り出し、実際に歩きながら地図と現実の街並みを照らし合わせ、目的地にたどり着くような読み方をすることであるというイメージを持ってください。

単なる英文和訳ではない、パラグラフリーディングの基本手順

パラグラフリーディングの基本手順を前段の具体例に沿って説明すると以下のようになります。

1. 文章の論理構造を予測する(地図を見る)
2. 問題点と結論を把握する(出発地・目的地を把握する)
3. 文章全体の論理構成を大まかにつかむ(目的地までのルートを割り出す)
4. 文章全体を精読し、論理構成を確認する(実際に目的地に向かって街を歩く)
5. 文章の論理構成を理解し結論をつかむ(目的地に到着)

ほとんどの英文精読では英語の長文を一文ずつ、文法的に解析して丁寧に訳していく、ということが「精読」と言われています。しかし、これは単なる「英文和訳」であって、「英文読解」とは言いにくいと私は考えます。

一文一文丁寧に和訳し、最後まで読み切ったけれど全体として何を言っている文章なのか忘れてしまった、では読解をしたことにはならないでしょう。

たとえば、日本語の本でも結構です。書店で読みたい本を選んで読むときにどのように行動しているか考えてみてください。本のタイトルも見ないでいきなり文章を読み始める人はほとんどいませんよね。

ほとんどの人は、

タイトルを見て内容をイメージし興味を持つ・必要だと思う(内容を予測する)

手に取って目次や本文をざっと見てみる(内容を大まかに把握する)

レジに本を持って行って買う

自宅やカフェ、図書館などで内容を読む(文章全体の精読)

内容を理解する(論理構成・結論を詳細に把握する)

といった手順を踏むのではないでしょうか。

英文を読むときにも同様の手順を踏みましょう、そしてパラグラフリーディングという読解方法を練習するのであれば、普通の読書の際に無意識にやっていることをもう少しシステマティックにやってみましょう、ということです。

パラグラフリーディングの具体的方法 ~ 1. 予測

ここからはパラグラフリーディングの各手順に沿って解説します。

最初の手順である「予測」ですが、パラグラフリーディングとは文章全体の論理構成を把握する読み方であるという意味で、この部分が最もお伝えしたい部分です。

また、この予測の手順は本や新聞記事を読む場合、試験問題を解く場合で違ってきますので少々長くなりますが、それぞれの場合に分けてお話しします。

1. 本や新聞記事を読む場合
この場合は特に難しいことはありません。本であればタイトル、目次を読んで内容をイメージすれば良いですし、新聞記事などであれば見出し、小見出しを読んで内容をイメージすれば十分です。

2. 試験問題を解く場合
入試であれ、英検などの検定試験であれ、試験問題を解く場合は目次・見出しがない場合がほとんどです。

それでは予測なんかしようがないじゃないか、というご意見は早計です。試験問題などで目次・見出しがない場合は、文章の中で目立ちやすく、かつ絶対にウソをつけない部分だけ読んでいきましょう。

では、ウソをつけない部分とは何か、というと英文の中の「主語」と「名詞」になります。この部分だけを拾って読んでいくわけです。

なぜ名詞がウソをつけないのか。ちょっといくつかの大ウソの文章を例に見てみましょう。

●ウルトラマンは身長が小さい
●人間は食べなくても生きていける
●織田信長はイギリス人だった

三つとも適当に大ウソの文章を書きましたが、名詞の部分にはアンダーラインをつけておきました。ウソをついているのは後半の動詞や形容詞の部分で、名詞の部分だけを見ると全くウソがついていないことが分かるのではないでしょうか。

日本語でも英語でも、名詞自体は「存在するだけ」の言葉で、「走る・歩く」などの動詞や、「大きい・小さい」などの形容詞のように行動する言葉ではありません。そのため、名詞単体では絶対にウソをつけないのです。

しかし、名詞をピックアップしていけば、予測の大きなヒントになり、本を読むときのタイトル・目次・見出しと同じかそれ以上の手助けになります。

実際に試験問題を解くときは、本文の名詞に注目することはもちろんですが、設問に正誤問題がある場合はその選択肢の名詞をピックアップしていくことをおすすめします。

英文本文があって、それに続いて「以下の選択肢の中から、本文の内容からみて正しいものには○、誤っているものには×をつけなさい」というタイプの問題を正誤問題といいますが、この正誤問題がある場合、その選択肢は予測のための大きなヒントになります。

では、問題文などは割愛しますが、ある英文読解問題があり、そのうちの名詞をピックアップしていくと以下のような名詞が並んだとしましょう。

「人類、歴史、食料、タブー、文化集団、ヒンズー教、西洋人、犬、文化、宗教、イスラム教徒、狩猟と採集、野生動物、牧畜、栽培、牛乳、肉、農業、生産」

これらの名詞たちをじっと眺めていると、何か話がつながってくるような気がしないでしょうか。食料、牛乳、肉とありますから何らかの食料事情について書かれている文章だなと予測はできるでしょう。

さらに歴史、狩猟と採集、牧畜、農業、生産とありますから、歴史的な人類の食料獲得方法の発展についても書かれていると考えられます。

タブー、ヒンズー教、イスラム教徒、文化、宗教という名詞からは、文化的・宗教的な職のタブー、食べてはいけないものについても書かれているのだろうと考えられます。ヒンズー教徒は牛肉を、イスラム教徒は豚肉を食べないことは常識の範囲内なので、これは予測が立てやすいと思います。

さて、そこでこれらの名詞から私が文章全体の流れの予測を立てると、以下のようになります。

人類食料を手に入れる方法には、歴史的にいくつかの段階があった。食料獲得手段は原始的には野生動物を狩り、木の実などを収集して食料を得る狩猟と採集にはじまったが、狩猟と採集による食料獲得は、自然環境の変化などにより得られる量が不安定である。そのためより安定的に食料を生産する方法が発展してきた。牛乳生産する牧畜、穀物や野菜を生産する農業などである。また、これらの食料生産手段の発展に伴う歴史の中で、数々の文化宗教が生まれてきた。文化的な観点から見ると西洋人はめったには食べないであろう。また、宗教的な観点からタブーとされている食料もある。たとえばヒンズー教では牛肉を食べてはならないとされており、イスラム教徒は豚肉を食べない。このように、食料に対する考え方の違いは文化的な考え方、宗教的な考え方とも関係するのである。」

上の予測の文章のうち、ピックアップした名詞部分にはアンダーラインを引いておきました。もちろんこれはあくまで予測ですから、パラグラフリーディングの手順のうち、次の段階以降で本文を読み進めながらこの予測を修正して、確認しながら読んでいくことになります。

最初の具体例で出した、目的地までの地図を見ることと似ていませんか?実際に地図を手に歩きながら現実の街並みと照合して、誤っている部分はないか、変わっている部分はないか、確認しながら読んでいく作業が次の手順に続くわけです。

長文を読む場合は最初にこの「予測」という「地図」を手に入れることが、全体の理解に大きく役立ちます。なお、名詞を眺めているだけでかなり文章全体の予測ができますが、この予測にはかなり個々人で、また同じ人でもテーマによって、上手にできる・できないには大きな差があるのが通常です。

数多くパラグラフリーディングの練習をすることで自然と多くの文章を読むことになりますから、予測は必ず上達します。予測をしないでいきなり本文を読み始めるよりも確実に理解度は深まりますから、ぜひこのような練習を積んでいってください。

パラグラフリーディングの具体的方法 ~ 2. 問題点・結論の把握

問題点と結論を把握するためには、基本的には英文の「最初のパラグラフと最後のパラグラフを全部先に読んでしまう」という方法をとります。

地図を手に目的地に行く場合、当然「今どこにいるか」を把握して、「目的地はどこか」を決めていないと、そもそもルートの策定自体できないでしょう。

英文読解の場合も同様に、「問題点は何か(今どこにいるか)」、「結論は何か(目的地はどこか)」を把握してから本文全体の読解に入る方が論理把握をしやすくなります。これは本や新聞記事の場合も、試験問題の場合も同様です。

なお、勉強のため、試験のため、情報収集のために読む試験問題や新聞記事と異なり、「結末まで文章に振り回され、ワクワクしながら楽しみのために読む」ことを目的とする小説の場合は、結末が先にわかると興ざめになってしまいますから、この手順は飛ばすということでかまいません。

パラグラフリーディングの手順は絶対的なものではなく、読書の目的によって、英文の絶対量によって変わるということも理解したうえで練習することをお勧めします。

パラグラフリーディングの具体的方法 ~ 3. 論理構成を大まかにつかむ

ここまでの手順で、文章全体の予測をし、さらに問題点、結論の把握をしているわけですから、この手順では論理構成を大まかにつかんでいきます。

試験問題を解く場合、具体的には「本文の各パラグラフの最初の一文だけを読む」ことが基本になります。この理由は英語の文章の書き方として、各パラグラフの最初の一文にそのパラグラフのトピックとテーマを示す場合が多いため、さらに一般的に1パラグラフ1テーマ・1トピックという書き方をされている場合が多いためです。

各パラグラフの第二文以降は、第一文で示したテーマとトピックを読者に伝わりやすいよう詳細に解説している場合が多いのです。

この英語の文章の書き方から逆引きして、いわば小見出しの役目を果たす場合が多い各パラグラフの第一文を拾って読んで、大まかに論理構成をつかみましょうということになります。このとき、慣れないうちは各パラグラフに¶(パラグラフ)1、¶2、…などと番号を振り、パラグラフごとに短いメモを取りながら読み進める練習をするとよいでしょう。

なお、本や新聞を読む場合はすでに目次や小見出しなどの形ではっきり出てきている場合が多いですから、この手順を省略してもOKです。

パラグラフリーディングの具体的方法 ~ 4. 文章全体の精読

この手順は一般的に「英文読解」と言われている部分です。

しかし予測、問題点・結論の把握をし、大まかに論理構成を把握した後に本文全体をじっくり読んでいくことになるわけですから、何の準備も考えもなくいきなり本文に飛びつくよりも理解度は必ず増していきます。

なお、この際にも前の手順までで立てた予測や論理構成の大まかな把握は細部を修正しながら読んでいくべきであることは言うまでもありません。

パラグラフリーディングの具体的方法 ~ 5. 論理構成の詳細把握と結論の理解

ここの手順は基本的に文章全体の精読までで行ってきたことの結果になりますから、特段することはありません。ただし、ここまでやったらぜひ、日本語でかまいませんからその文章を要約するという練習を積むことをおすすめします。

自分が本当に英文を読めたのか、論理把握に間違いはなかったか、もっとうまい予測の方法はあったのではないかということを改めて考えてみてください。

試験勉強でもなんでもそうですが、問題を解くだけ、文章を漫然と読むだけでは苦労するだけで実力は伸びません。仮に全然できなかった場合は苦痛ですが、自分を客観的に見て、答え合わせをし解説を読んでいるときに実力が伸びるのです。

練習したことを実力に結び付けるために、ぜひ時間の許す限り文章の要約という練習を行ってみてください。

小説ではパラグラフリーディングはできないのか

以上でパラグラフリーディングの基本手順の説明は終わりですが、この話をすると、よく

「小説ではパラグラフリーディングはできないのではないか」

ということを言われます。

確かに、結論が先にわかってしまっては面白くなくなる小説では結末を先に読むことはできません。話のどんでん返しも多いため新聞記事や論文と異なり鮮やかな予測は難しくなります。

ただ、読書目的の違いということは理解してください。

●論文・新聞記事=情報収集、知識の獲得のために読む
●小説=楽しみのために読む

という決定的な違いがあります。

小説は本来楽しみのために読むものですから、鮮やかに全体を予測できなくても良いのです。たとえばテレビドラマを見ていて先の予測が何となく立った、ほら当たった!程度の読み方が本来の読み方です。また、そういった予測が簡単に立ってしまう小説は私から見ると面白くないものだとすら思ってしまいます。

しかし、例えば試験問題で小説が出題されたような場合でも、パラグラフリーディングができないわけではありません。パラグラフリーディングは「国語の現代文と同じように英文を読むこと」ですから、何を追いかけていけばよいのか、論文・新聞記事と小説の違いを理解していけば上記手順をアレンジして使うことは可能です。

●論文・新聞記事→論理を追いかけ、理解し、論理構成をつかむ
●小説→登場人物の心情を追いかけ、理解する

結局のところ理解する対象が論理か、心情かの違いです。

あるまとまりや場面ごとに登場人物がどういう心の動きをしたのかを追いかけていけば、小説でもパラグラフリーディングは十分使えます。ただしそれなりの練習は必要になってきますから、詳細は解説書や問題集などをご利用ください。

パラグラフリーディング問題解説編(平成28年度 早稲田大学 政治経済学部 問題Ⅱ)

パラグラフリーディングの基本的な手順を解説してきましたが、実際に試験問題などを解きながら具体的なやり方を解説しないとお伝えすることが難しい面もあります。以下に実際に問題を解いて解説を行う記事をご用意しましたので、本記事とあわせてお読みいただければ幸いです。

問題解説編は長文(19ページ)のため、PDFファイルになっています。興味のある方はファイルをダウンロードしてPCで閲覧するか印刷してご覧ください。

●PDFファイル1
パラグラフリーディング問題解説編

●PDFファイル2
平成28年度 早稲田大学 政治経済学部 問題Ⅱ 問題文

さかえ
上智大学法学部卒のビジネスマン。大学在学中は、純正日本人でありながら帰国子女率80%の上級英語クラスに所属していた。TIME誌、Newsweek誌は辞書なしで読解可能。愛読誌は『The Wall Street Journal』『The Economist』。 詳しいプロフィール / 記事一覧

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