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【レビュー】NIKKEI ASIAN REVIEW:海外の経済紙にチャレンジする前段階として優れた、アジアの話題が中心の英字新聞

      2017/07/12

『NIKKEI ASIAN REVIEW』は、日本経済新聞社が発行するアジアマーケット特化型の経済紙です。雑誌の形態をとっておりますが、発行元では新聞扱いのようですから、「経済紙」とします。

単なる新聞ではなく、ウェブサイト・ラジオ番組もセットになっていますから、英文読解・ボキャビル・リスニング力の養成と経済動向の把握が同時にできるため、ある程度の英語力をもった英語学習者、特にビジネスマン向けの国内発行の英字紙としては、最もおススメしたい新聞です。

経済を扱った海外紙よりも日本国内の学習者向けの内容

経済関連の内容をメインに扱った英字新聞・英字誌としては The Economist や The Wall Street Journal などの海外紙もありますが、これらと比較した利点として以下のものがあげられます。

(1) 大部分の記事は日本人記者によって書かれたもの
実際にどのような紙面の作成方法かは調べても分かりませんでしたが、記事の英文を読んでいるとどうも日本人記者が日本語で書いた記事を英語に起こしたもののように感じられます。そのため、完全にニュアンスですが、モノの見方、考え方が違って分かりにくい部分がある海外紙よりも構成が日本人向けと感じられます。

語彙も全く手加減がないと感じるものではないため、レベルとしてはTOEICスコアで700位あればなんとかついていくことはできるでしょう。

(2) ウェブサイト・ラジオ等で学習効率が高まる
定期購読者であれば、ウェブサイトで過去記事の検索ができます。しかも、記事検索は企業名・国・地域別ソートまでできるようになっています。そのため、ある一つのテーマを追いかける「テーマリーディング」が非常にやりやすく、ある特定分野の深堀がしやすいサービスが提供されています。

さらに、アジアを代表する経営者へのインタビュー・ニュース動画も閲覧できるため、英語学習の点からはリスニングまで鍛えることができるようになっています。定期購読者にはスマホなどのアプリもあるようですから、利用されてみると良いでしょう。

定期購読者でなくとも、ラジオNIKKEI第1(毎週木曜の22:30~、再放送は毎週土曜17:40~)で「実践!Let’s Read the Nikkei in English」という番組が放送されています。この番組は日本経済新聞本紙の木曜夕刊2面「Step Up English」と連動していますから、併せて利用すると良いでしょう。

ネットや放送でのサービスがこのように充実していますから、英語経済紙に取り組む最初の一歩として学習者向けの配慮が最大限になされています。

記事内容は完全にビジネス向け

経済紙ですから、記事の内容は完全にビジネス向けです。

政治や環境問題を扱っている記事でも、そのほとんどが「経済効果から見てどうか」という観点から作成・編集されています。現代において、日本国内の経済情勢も景気変動も、国内だけではなく国際問題に大きく左右されます。

特に、最近は中国人観光客によるいわゆる「爆買い」などは落ち着いているようですが、外国人観光客の増加傾向が日本経済に寄与している面は誰も否定できません。

では、なぜ外国人観光客が増えたか、というと単に日本製品や日本の観光地としての魅力が高いというだけではないと考えています。為替レートの変動によって、他の国に行くよりも日本に来ることが割安であるから、などと言った経済的な要因も大きいでしょう。

そして、外国人観光客が日本国内でお金を使うと、それを受け取った企業がまた他の企業の製品やサービスを買い、またその企業が…というサイクルの繰り返しで経済にプラスの効果が生まれていく、というのが経済理論の基本的な考え方です。

このようなことを考えると、海外で仕事をしない方でも国際経済についてある程度知っておくことはほぼ必須と言えます。扱っている範囲が日本を中心としたアジア、また密接なかかわりを持っているアメリカとの関係ですから、この点でも国際経済の理解や情勢把握の最初の一歩としては適切です。

日本とアメリカの自動車貿易摩擦に関する記事
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日本経済新聞社『NIKKEI ASIAN REVIEW Feb. 6-12, 2017』

教材としてみた場合、このような経済動向の把握と一緒についでに英語力も伸ばしてしまおうか、と考えておられるビジネスマンや、就職活動をひかえている大学生向けにはぴったりと言えます。

まとめ

  • The Economist などの海外紙よりも英語学習者向けの英字経済新聞。
  • 記事だけでなく、動画・ラジオ・アプリなどのリスニングも鍛えられるサービスが充実。
  • 記事内容は日本を中心とするアジア圏と、アメリカとの関係が中心。
  • 英文は海外紙と比較して平易で、TOEICスコア700程度あればついていける。
●編集長からひとこと
海外の英字紙と比較すると語彙が易しいですが、これをスラスラ読めるのであればTOEICは軽く900を突破しているはずです。試験対策だけで取ったTOEIC900では、日本の英字新聞も読めない可能性があります。英字新聞が読みこなせるTOEIC900になるためにも日々の基礎学習を重視し、英検やTOEIC等の試験対策は後回しにしておきましょう。
さかえ
上智大学法学部卒のビジネスマン。大学在学中は、純正日本人でありながら帰国子女率80%の上級英語クラスに所属していた。TIME誌、Newsweek誌は辞書なしで読解可能。愛読誌は『The Wall Street Journal』『The Economist』。 詳しいプロフィール / 記事一覧

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