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【レビュー】The Japan Times:TOEIC900以上も十分に狙える日本の英字新聞の代表格

      2017/07/04

The Japan Times は英字新聞ですが、日本の新聞社(ジャパンタイムズ社)が発行しています。

同社が発行している The Japan Times ST のように、日本人の英語学習者向けに編集されているものではなく、想定される主な読者層は日本在住の外国人になっているようです。紙面自体は薄いですが本格的な英字新聞です。

ジャパンタイムズ社の記事のほかに他社記事も掲載

日本のテレビ番組表や天気予報が英語で添付されていることからみても、基本的には日本在住の外国人に向けて日本や世界の情勢を報道する紙面と考えられますから、学習者向けの解説も、学習者向けに加工されたと思われる形成も一切ありません。

イメージとしては広いジャンルを扱うアメリカ誌の TIME の簡易日本版、といった内容です。日本国内の政治からスポーツまで、ライフスタイルの提案のような日常的なものといった記事のほか、世界の政治・スポーツのトピックスがメインになっています。

また、日本国内で発行される英字新聞のほとんどがそうなのですが、ジャパンタイムズ社の独自記事だけではなく、共同通信社やワシントンポストなど、他社の記事が収録されています。

これによって「日本国内の記者のフィルターを通していない記事、つまり外国で書かれた生の記事を、偏りなく読むことができる」というメリットが得られます。

やや分かりにくいかもしれませんからこれについて説明すると、例えば国内の新聞でもメジャーな一般紙では読売新聞・朝日新聞・毎日新聞・産経新聞などがありますが、同じ事件や事柄を扱っている記事でも、その報道のされ方は異なります。

たとえば、「組織的犯罪処罰法改正案(テロ等準備罪)」について、正式名称とは別に朝日新聞などは「共謀罪」として批判的な記事を展開していました。

この報道姿勢の是非を言っているわけではありませんが、英字新聞や英字誌を読む場合「一紙(誌)主義」をとってある特定のものしか読まないと、考え方が偏ってしまうという危険も持っています。

特に法学・政治学の分野ではこれを防ぐために、同じ内容を扱っていても複数の報道を読み・聞き、客観的な物の見方をせよと教えられることがあります。

そういった点で、複数の新聞社や報道機関の記事に触れることができるという、ある種モザイク的な構成のメリットを得ることができます。

「Opinion」の掲載記事は読みごたえ十分

ある程度のまとまりをもった英文で、内容も十分な記事を読みたい場合、最も重視すべきは Opinion(いわゆる社説)の部分であると考えます。

この部分もジャパンタイムズ独自記事のほか、他社の記事も採用されていますが、扱っている内容は国際問題から国内の各種社会問題まで、しかもかなりのまとまりをもった長さの記事で内容面も十分です。

読み応えのある The Japan Times の社説(以下はWeb版)
JapanTimes_1
ジャパンタイムズ社『The Japan Times Jun 30, 2017』

学習者からみれば、この記事を読みこなすことがリーディング上級者になるために必要な関門のレベルと言えます。さらに、単なるテストの上級者というだけではなく、英語を理解し、使いこなすという意味での上級者を目指すのであれば、ここで扱われている記事に対して賛成・反対のいずれかの立場から英語で意見を述べるという訓練が役に立ちます。

自分の意見は短くても良いですし、毎回やらなくても良いので、興味を引いたテーマの Opinion の記事について、賛成・反対・別の視点の提示、いずれでも良いですからノートに自分の意見を英語で書いてみるという訓練をしてみることをおすすめします。

外国紙に挑戦する前の準備として

英語学習者が目標とするレベルの一つに、TIME や The Economist などの海外英字誌、Los Angeles Times や The Washington Post などの海外英字新聞を読みこなすということがあります。

しかし、これらに収録されている記事は基本的に海外事情を扱っていますから、英語を母語としない学習者が毎号すみからすみまで読みこなすためには、英語ができることはある意味当たり前で、それ以上に海外情勢の基礎知識を知っていなければならないものです。

私も TIME、Newsweek を大学生の時に同時に定期購読しましたが、毎号全てを読んではいませんでしたし、内容を全く知らないような記事を無理矢理毎回読んでいたようなものですから、カバーストーリーだけ読むとしてもかなりの根性が必要でした。

そのため、いきなり外国紙に挑戦するよりも、先に日本国内事情を、英文レベルは海外誌とおおむね同等のもので書かれた新聞を読んでおくことは良いステップになると思います。

そうは言っても、この記事を執筆している時点(平成29年6月)では、The Japan Times を購入すると、もれなく The New York Times がセットでついてくるわけですが。

英語学習を目的として英字新聞や英字誌を読む場合、必ずしも毎号全ての記事を完璧に読まなければならないというわけではないので、そのあたりは上手く取捨選択しましょう。

英語力にまだ十分な自信がない方や時間のない方は、たとえば The Japan Times は毎回トップ記事と Opinion の記事だけは必ず読む、The New York Times は時間のある時に興味がある部分だけ拾い読みをする、といったような読み方で十分すぎるほどだと考えます。

英文レベル自体はTOEICスコアで言えば700以上からがおおよその適正レベル、600台前半の方は少々厳しいでしょうから、もう少し学習書で基礎的な力を固めてから挑戦すると良いでしょう。The Japan Times をスラスラ読めるようになったときの到達レベルとしては、TOEICならおおむね900点台前半、英検なら1級合格も射程に入ってきます。

まとめ

  • ジャパンタイムズ社が発行する日本の英字新聞。
  • 日本人の英語学習者向けの新聞ではなく、日本在住外国人が主な読者層と考えられる。
  • 独自記事だけではなく、他社記事が多く掲載されているため客観的なものの見方の要請には有用。
  • 学習目的でみるなら Opinion は非常に良いリーディング教材。
  • 中上級者が海外誌に挑戦する前の準備段階としておすすめ。
●編集長からひとこと
紙媒体の The Japan Times は定期購読すると月5143円もしますが、PCやスマホで読むDEGITAL版なら月3000円で済みますのでお勧めです。私自身はDEGITAL版を毎日読んでいます(ちなみに Newsweek と Scientific American もデジタル版でいつでもどこでも読めるようにしています)。電車の中や、ちょっとした待ち時間でもスマホで軽く読めるので、DEGITAL版は重宝しますね。なお、定期購読するのはお金がかかりすぎる、またはリスニングの勉強もしたいとお考えの場合は、CD付きの『The Japan Times 社説集』という学習書が書店で入手できます(季刊)。バックナンバーも豊富で、かなりお勧めできるシリーズです。
さかえ
上智大学法学部卒のビジネスマン。大学在学中は、純正日本人でありながら帰国子女率80%の上級英語クラスに所属していた。TIME誌、Newsweek誌は辞書なしで読解可能。愛読誌は『The Wall Street Journal』『The Economist』。 詳しいプロフィール / 記事一覧

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