学ぶとは、マネることである。

元・上智大生 さかえの『英語学習者にお勧めの英字ニュース誌と読み方入門「各論」』

      2017/07/04

英語学習者にとっての英字ニュース誌の利点と基本的な読み方についてはすでにご紹介しましたので(英語学習者にお勧めの英字ニュース誌と読み方入門「総論」)、この記事では具体的にどの雑誌・新聞を、どういう順番で読んでいけばよいのか、英語学習という観点から一例をお話しします。

英語学習者にとっていきなり海外紙はハードルが高すぎる

英語に限らず学習において一番陥ってはいけないことは、「あれもこれもと手を広げ過ぎて、結局どれも中途半端に終わってしまった」という状態になることです。

大学受験でも、参考書はあれもこれもとお金をかけてそろえたけれど、結局どれも読んだのは最初の数ページだけ、最後まで読破してマスターしたものは何もない、という状態になった経験のある方もいらっしゃるでしょう。このような状態に陥ることを避けるためには、「やることを絞り、無理なくステップアップしていく」ということが必要になります。

そのため、英語学習者がいきなり海外紙に手を出すことはハードルが高すぎると考えます。TOEICレベルで言えば750程度あって、辞書を片手に根性で頑張れば『TIME』『Newsweek』などの週刊誌であれば何とか読んでいくことはできると思いますが、日刊紙となるとほぼお手上げでしょう。

そのため、国内の英字新聞から徐々にステップアップしていくという方式をおススメします。なお、以下では私の考えられるステップアップの例を紹介しますが、次の段階の英字紙にレベルアップするのは、「今読んでいる段階の英字紙を難なく読みこなせるようになってから」です。

最初は英語学習者向けの英字紙から

英語学習者向けの配慮がなされている英字紙の筆頭は、何と言っても『The Japan Times ST』です。

The Japan Times ST 3ヶ月定期購読

ウェブサイトとの併用で全文和訳も見られ、紙面の中に重要語の脚注なども付いていますし、英文の分量も少なめなのでこれに関しては学習段階から全部読んでしまうという読み方をおススメします。週刊誌ですからさほどの負担にもならないはずです。

同じ程度のレベルの英字新聞としては”朝日ウイークリー”もあるようですから、紙面構成や学習のしやすさでいずれかを選んでも良いでしょう。

両方に手を出すということは想定読者のレベルから言えば避けるべきで、いずれか片方に集中して徹底的にマスターすることを優先した方が良いと考えます。これらの英字新聞初級者向けのものをマスターしたら、本格的な英字新聞に挑戦する前に中級者向けの『The Japan Times Weekly』にステップアップすると良いでしょう。

The Japan Times On Sunday 13週定期購読

なお、裏技的なものとして、紙面の定期購読をせずに本の媒体になっている『The Japan Times 社説集』などを利用して英語学習を進める方法もこの段階では十分にアリです。

(CD付き)The Japan Times社説集2016年下半期

●編集長注
『The Japan Times 社説集』はCDが付いていますので、上級者のニュース英語のリスニング学習用としても秀逸です。社説集がスラスラ読めるのなら、『The Japan Times』本紙ももちろんスラスラ読めます。TOEIC900突破レベルで、なかなかいい本です。

学習者向けの英字紙の次は「国内総合紙」へ

前段の学習者向けの英字紙を読めるようになったら、次はいきなり専門紙、というのではなく、『The Japan News』や『The Japan Times』といった総合紙を読むことをおススメします。

その理由は以下のとおりです。

(1) 『The Wall Street Journal』などの専門紙は英語の他にその分野の知識を持っていないと読めない場合がある
(2) 専門紙は記事の内容が難しく汎用性の高い(日常でもビジネスでも学術でも使い回しがききやすい)語彙が少なくなる傾向がみられる
(3) 総合紙でも海外紙は事件や報道の背景となる時系列的知識や経緯を知っていないと難しい面がある

このため、学習者向けの英字紙の次は、国内総合紙がステップアップとして最適でしょう。

国内総合紙の次は2コース

国内総合紙の次は2パターンが考えられます。

海外総合紙に挑戦する

海外総合紙に挑戦することは、英語力だけを鍛えるのであれば十分ですし、ビジネス上で海外出張などが多い方であればほぼ必須になるでしょう。日本国内で仕事をする場合も新聞くらいは読んでいないといけない(媒体はネットでも十分だとは思いますが)というのと同じです。

この段階で英語力にまだ十分な自信のない方であれば、週刊の『TIME』や『Newsweek』をおススメします。英語力に十分な自信のある方、もしくは大量の情報が欲しい方、トップ記事だけ読むというような思い切った割り切りができる方であれば、『The New York Times』や『The Washington Post』などの日刊紙でも良いでしょう。

国内専門紙に挑戦する

もっと専門知識を英語で磨きたい方であれば、国内の英字専門紙、NIKKEI ASIAN REVIEWなどを読むと良いかと思います。いきなり海外専門紙に入るよりはハードルが低く、挫折の可能性は低くなるでしょう。

海外総合紙や国内専門紙が読めるようになれば、いよいよ海外専門紙へ

前段までのステップをクリアしたら、いよいよ海外専門紙へ行きましょう。この専門紙、というのは中々どれを読んだらよいか、というのが難しく、自分の専門分野の専門紙しか知りません、というのが通常だと思います。

私の専門は経済・金融関係ですが、それだと『FORTUNE』や『The Economist』『The Wall Street Journal』『The Financial Times』、関連分野で政治の『Politico』などは自信をもって「読みましょう!」と言えるのですが、理系分野は『New Scientist』しか読んだことがありませんということになってしまいます。

Fortune Asia Pacific [US] May 1 2017 (単号) The Economist [UK] May 27 - 2 2017 (単号) New Scientist [UK] April 15 2017 (単号)

このレベルまでくれば「単なる英語の学習のために英字紙を読む」のではなく、「英語”で”学習するために英字紙を読む」の段階に十分入っていると思われますので、そこからは読者の皆様それぞれ、何が必要で何が必要でないか取捨選択しながらどれを読むか選んでほしいと思います。

日本国内で英字紙を購入する場合、大抵は読売新聞社・朝日新聞社などの販売網を利用した流通になっていることがほとんどですから、これらの新聞社のウェブサイトから検索することで自分にフィットした英字紙が見つけられるはずです。

●編集長注
単発でいいなら英字紙は大型書店の洋書コーナーに売っています。海外の英字紙の場合は、デジタル版が安い上に便利でお勧めです。たとえばNewsweekなら、わずか700円/月でPCやスマホで読めます。

ぜひ、このレベルまで到達できるよう頑張ってください。…と言っても私も専門紙は一読しての理解がまだ80%前後、内容によっては50%となる記事もありますから、勉強を続けなければいけませんが。一緒に頑張っていきましょう。

●編集長からひとこと
検定試験が好きな英語学習者の場合、「英検1級」を目標にされている方も多いと思います。英検1級に合格するなら、上記の『Time』『Newsweek』『The New York Times』あたりを完璧ではないにしても、それなりの精度・速度で読みこなせるようになることを目標にすると良いですね。TOEIC900くらいだったら学習書だけでも到達可能ですが、英検1級となると学習書だけでは読解量や語彙力に不足があります(単語帳であれば旺文社『出る順パス単 英検1級』はほとんど覚えてないとダメです)。逆に上記新聞をスラスラ読めるのであれば、すでに英検1級を超えた読解力・語彙力が付いているといってよいでしょう。
さかえ
上智大学法学部卒のビジネスマン。大学在学中は、純正日本人でありながら帰国子女率80%の上級英語クラスに所属していた。TIME誌、Newsweek誌は辞書なしで読解可能。愛読誌は『The Wall Street Journal』『The Economist』。 詳しいプロフィール / 記事一覧

 - ピックアップ記事, リーディング