学ぶとは、マネることである。

翻訳者・堂本秋次が教える『英作文で分詞構文を使いこなす方法』

   

分詞構文、関係代名詞、現在完了形と言えば、おそらく英語が苦手な人がつまずきやすい文法事項トップスリーではないでしょうか。さらに慣れてくると、ここに冠詞の使い分けが入ってくる印象です。

ここでは、その中から一つを取り上げて、英作文をするときに「分詞構文」をどのように扱えば良いかについて考えていきます。

だいたい何でもありの分詞構文

分詞構文には意味がたくさんありすぎてよくわからない、という人は多いようですが、その通り、分詞構文は事実、何でもありなのです。

同じ文章の中で分詞になっているその動詞と主節の方の内容が、どのように関連しているか、ということを、読み手が積極的に解釈するのが分詞構文なのです。

例えば、Looking up to the building, I noticed someone was about to fall. という文章があったとしましょう。

この時、Looking up to the building の部分は、「そのビルを見上げたとき」と考えるのが正しいのか、「そのビルを見上げると」と考えるのが正しいのか、「そのビルを見上げたので」と考えるのが正しいのか、と言われれば、どれでも良いのです。

要は、この主文の I がビルを見上げたということを伝えているに過ぎません。その見上げたという行為が、notice とどのように関わっているのかについては、読み手が積極的に解釈することになるのです。

他には、He read the letter, knowing that she loved him. という文章があるとき、knowing that she loved himの部分は「(手紙を読んで)彼女が彼を愛していることを知った」という解釈も、「(手紙を読むときには既に)彼女が彼を愛していることを知っていた」という解釈も可能です。

厳密には、英語は読み進めるほどに文章の内容の時間も進むということ、手紙を読むときにはすでに、ということを表現するなら having known that she loved him の方がより文法的には適切であることから、「手紙を読んで彼女が彼を愛していることを知った」の方が解釈としては作者の意図と一致する可能性が高いものとなっていますが、やはり確定的ではありません。

もしかすると、現在分詞の進行形的な意味合いを伝えようとしていたなら、「手紙を読むにつれて、彼女は彼を愛していることが分かった」という解釈も可能になるかもしれませんし、そもそも作者が分詞構文に関する文法を理解していない可能性すらもあり、その場合にはただ二つの行為を連結しているだけかもしれません。

以上をまとめると、分詞構文は大体なんでもアリである、ということが分かるかと思います。しかし、自分で英作文をするときはその上で気をつけなくてはいけないことがあるので、いくつかまとめておきましょう。

懸垂構文にならないように注意する

「懸垂構文」とは、分詞構文の節と主節の主語が異なってしまっているというものです。例えば、Looking up to the building, someone was about to fall. という文章が、「私が建物を見上げたとき、誰かが落ちるところだった」という意味ならば、分詞構文の部分の主語が(省略されているだけで)Iであり、主節の主語がsomeoneなので、懸垂構文です。

懸垂構文はもともと非文法的であるとされますが、特に困るのは意味が大きくことなる複数の解釈が生まれてしまう場合です。先の文章では look up と fall が対比されているため、look up している人物とfallしようとしている人物が別人であることはなんとなく文脈から判断できそうです。

しかし、Looking at the balcony, he was about to fall. ならどうでしょうか。he が、落ちようとしている場所と同じ高さにあるbalconyを見ながら、あるいは見てから落ちようとしている、という場面として捉えることもできますし、I が balcony を見たら、そこには落ちそうになっている男性が居た、という風に捉えることもできます。

懸垂構文を認めるとどちらも正しいということになってしまうのですが、懸垂構文を非文法であるとすれば、balcony を見ているのも落ちそうになっているのもheであることが明らかになるというわけです。

複数の解釈が生まれてしまう場合は避ける方が無難

懸垂構文以外でも、複数の解釈が可能で、かつそれが大きく意味を変えてしまうケースがあります。

例えば、Loving the girl indeed, the boy avoided her. という文章があったとき、「彼女を本当に愛していたからこそ男の子は彼女を避けた」という解釈(理由としての現在分詞)と、「彼女を本当に愛していたのに男の子は彼女を避けた」という解釈(譲歩としての現在分詞)が可能です。

もしも前者なら、男の子には彼女を避けなくてはいけない理由があったことが分かりますし、後者なら男の子は彼女に対して素直になれなかっただけかのかもしれない、といったように考えることができますが、文法的にはどちらの解釈も可能なままなのです。

このように、分詞構文は解釈が自由であるため、書き手の意図が正しく伝わらない場合もあります。そのような懸念がある場合は、although や because などの接続詞で表現した方が分かりやすい面もあるでしょう。

また、分詞構文を「使わなければいけない場面」というのはあまり多くありません。文章のリズムを変えたり、主語が連続してしまうのを避けたりするのには有用ですが、それで文章の意味が変わってしまっては元も子もありません。

分詞構文を使うときは、間違いなく一つの解釈しかあり得ないようなときに使うようにしましょう。あるいはあなたが小説家で、叙述トリックを仕込みたいときには、分詞構文は強い味方になるかもしれませんね。

堂本秋次
実務翻訳者、プロマジシャン。英検1級、国連英検A級、TOEIC965を保有。大学時代は、ネイティブスピーカーの教授の指導のもと、言語学を専攻していた。医学、自然科学等を専門とする多芸多才な翻訳者。 詳しいプロフィール / 記事一覧

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