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【レビュー】早稲田の英語:高い語彙力と読解力が要求される最難関私大の過去入試問題集

      2017/11/04

慶應義塾大学と並んで最難関私大として知られる「早稲田大学」の赤本です。過去15年分の過去問から80題を抜粋しています。

早稲田の英語[第7版] (難関校過去問シリーズ)

早稲田大学の英語入試問題の特徴と構成

早稲田大学の英語入試問題は、学部ごとで出題傾向がかなり異なります。この点は慶應義塾大学とも共通していますが、慶應と比較すると平均的に英文の分量が多い問題が出題されることが特徴です。

また、文法問題も学部によって独立した大問として出題される場合と、長文読解問題の小問として出題される学部という違いはあっても、慶應よりもその割合はやや多い印象です。英作文問題も文系の多くの学部で出題されており、総合的な英語力を試す問題が出題されるという傾向は全学部共通です。

学部ごとの出題傾向の違いはあっても、たとえば英作文が苦手だ、文法問題が苦手だ、などという穴を無くして総合的な解答力を高めること、難易度の高い英単語もできる限りつぶしておくことが必要な試験と言えます。

また、長文読解問題のウエイトが高く、文章の内容と選択肢の正誤判定問題が多く出題されるのは難関私立大学共通ですが、早稲田の正誤判定問題は特に微妙な選択肢が多く詳細に文意をとらえたうえで選択肢を吟味しなければならないという特徴があります。

そのため、ただ単に「読んで訳す」だけではない読解力をつけ、長文読解を通じて難しい語彙も覚えていくという対策が必要になります。

なお、受験情報などでは「早稲田は相当な速読力が必要」とされていますが、超人的な速読力、たとえばA4用紙にびっしり書かれた英文を1分で全部読み切って内容も全部わかるというようなレベルは全く必要ありません。

大学受験で必要とされている読解ペースは1分間に100語~速くて150語程度の「音読しながら読むのに相当するペース」です。それでも時間は十分余ります。

ここまでの基礎体力をつけたらその後はさらに読解スピードを上げることよりも、英文の内容やパラグラフのつながりを意識して文意を正確につかむ訓練をする方がよほど重要です。

国語の現代文と英語の読解問題を分けて考えず、英語の長文読解は英語で国語の現代文問題を解いているのだという意識で勉強することが必要になるでしょう。

早稲田は特に国語の現代文で早大特有と言われるようなクセのある難しい内容が出題されますから、現代文の読解方法を英語の長文読解に応用できないか、普段から心がけておきましょう。

なお、私が大学受験生時代に練習していたパラグラフリーディングの方法論は、早稲田の長文読解問題を解くことを念頭に構成されたと言えるのではないかと思えるほど、早稲田の入試問題にピッタリ対応した方法論です。

別記事で「赤本に入るまでの勉強法」も解説しておりますので、詳細な勉強方法や読解方法はそちらも併せて参考にしてください。

早稲田大学英語に対する全般的な対策

早稲田の英語は全学部共通で読解力を中心に問われており、「全体が理解できてかつ細部も読みこなせていないと解けない」問題が出題されます。そのため語彙レベルも高いものが求められています。学部ごとで英文テーマに偏りがある場合もみられます。

そのため、別記事「赤本に入るまでの勉強法」の『速読英単語・必修編』及び『速読英熟語』(ともにZ会)の勉強をした後にどのような勉強をするかは吟味する必要があります。

速読英単語1必修編[改訂第6版] 速読英熟語

ボキャビルとしてはそのまま『速読英単語・上級編』を行うことも良いですが、出題テーマに偏りのある学部もありますから、『話題別英単語リンガメタリカ』などを併用することも良いでしょう。

話題別英単語リンガメタリカ[改訂版]

なお、この2冊については完璧なマスターまでは必要ありません。『速読英単語・上級編』でわからない後の類推方法を身に付けて志望学部で頻出テーマの英文だけを読んでマスターし、さらにリンガメタリカで類似のテーマをつぶしていくという勉強方法でも良いでしょう。もちろん時間に余裕があれば全てやっておけば安心ではあります。

文法問題ではかなりクセのある出題がされますから、市販の参考書を一冊、問題集を数冊仕上げたら、できるだけ早く早稲田の過去問にあたっておきましょう。

学部別の傾向と対策(法学部・政治経済学部・商学部)

法学部(制限時間90分)

早稲田の中では最もオーソドックスな出題形式であるのが法学部と考えられます。他学部志望の方も、問題練習として法学部の問題にあたることが有益でしょう。法学部では長文読解問題が2問、文法問題2問、和文英訳の英作文1問、自由英作文1問でほぼ出題傾向は安定しています。

長文読解問題は語数換算で早稲田の中でも政治経済学部や国際教養学部に匹敵する長文が出題され、早稲田の中でもトップクラスの長さです。

ただし出題形式でみると、「このパラグラフでは何を言っているか」ということがきかれる形式の正誤判定問題が多いため、パラグラフごとの役割をしっかりつかんで文章全体の構成・意味を把握する訓練を普段からしておけばあまり難しい形式ではないでしょう。微妙な選択肢が提示される場合もありますから、飛ばし読みは厳禁です。問題文が長いからと言って焦る必要はありません。しっかり音読の訓練をしておけば必ず時間内に全問題解き終わる分量です(これは全学部共通です)。

文法問題に関しては独立した大問で、オーソドックスな空所補充問題や正誤判定問題が出題される問題が出題されます。法学部の特徴では前置詞を埋める問題が出題される場合もあるため、細かい前置詞のイメージに関しておさえておく必要があるでしょう。

大学受験用の本ではありませんが、『絵で見てイメージ!前置詞がスッキリわかる本(株式会社ウィットハウス)』などを流し読みして前置詞のイメージを作っておくことも良い対策になります。問題練習としては人間科学部の文法問題を解いておくことも有用です。

絵で見てイメージ! 前置詞がスッキリわかる本

英作文については和文英訳も出題されますが内容は平易です。合格ラインの学生であれば和文英訳では差はあまりつかないでしょう。

英作文で最も差がつくのは自由英作文であると考えられます。自由英作文は不得意な学生が多いですから、長文読解・文法問題ができた上でこれができるかが合否の分かれ目です。

法学部の自由英作文はあるテーマについて賛成か反対かを述べるものです。必要とされる語数はおおよそ80語前後程度と思われ短く感じますが、この語数の中ですっきりと簡潔に自分の意見をまとめるのは訓練なしではなかなか大変です。賛否を述べる自由英作文に対する十分な対策が必要です。

訓練の方法としては英語の文章を書くルールに従って「結論→理由→(必要があれば補強理由と異なる表現での結論の繰り返し)」を軸に書いていけば十分と思われます。

政治経済学部(制限時間90分)

政治経済学部の特徴は、平均的にみると早稲田大学で最も分量が多い長文読解問題が出題されることです。

基本的な出題構成は大問で長文読解問題が3問、会話文問題が1問、自由英作文が1問です。長文読解の出題形式も空所補充や同義の文を選ばせる問題、文章の順を整えさせる問題から、文章内容の正誤判定問題まで出題されます。

文章のテーマ・難易度自体は早稲田大学入試問題というくくりでみると難しいものではないため、実力がついていれば本番で落ち着いて対応できるかどうかがカギでしょう。小問で文法問題が出題されることもあります。

会話文問題は基本的に日常的な場面を題材にしておくことが多く、形式は空所補充問題がメインです。あまりあわてる必要はなく、基礎的な長文読解ができていれば過去問を解いて練習することで十分対応可能です。稼ぎどころですから問題形式には慣れておきましょう。商学部・教育学部などでも類似の問題が出題されているので、あわせて勉強してみましょう。

英作文では近年自由英作文が出題されています。時事問題について賛成か反対かをきく問題が多いですから、法学部対策と同様に簡潔に自分の意見を述べる訓練をしておきましょう。

商学部(制限時間90分)

商学部は大問の構成が会話文問題1問、読解問題4問程度と安定しています。読解問題の大問数は多いですが、全体の語数分量でみると早稲田の中では多くはなく、他学部よりも比較的取り組みやすい出題形式になっています。

問題の形式も内容正誤問題や言い換え問題が多く、法学部に比較すると微妙な選択肢の割合も多くありません。長文読解訓練を積み、文意をきちんと把握できさえすればあっさり解答できる問題ばかりです。

同年度の受験生のレベルにもよりますが、合格ラインに到達している受験生であれば7割8割は得点してくるでしょうから、「合格する受験生なら誰でも解ける問題は絶対に取りこぼさないこと」が大切になります。制限時間と問題の分量を比べても他の学部よりも時間はタイトではありません。

会話文問題では口語表現がきかれることもありますので、例文集や会話文問題集を一冊ずつ仕上げておくことは必須だと思われます。それが終わったら早稲田の教育学部・政治経済学部・文学部などのように同様の問題が出題される学部の過去問にもあたっておきましょう。

学部別の傾向と対策(社会科学部・文学部・文化構想学部)

社会科学部(制限時間90分)

社会科学部は、大問で正誤判定の文法問題1問、会話文問題1問、長文読解問題が3問の構成となっています。ただし、長文読解問題が会話文問題に入れ替わる年もあり、傾向は固定ではありません。

社会科学部の長文読解問題は時事問題を取り扱った英文が多いのが特徴です。新聞や英字誌からの抜粋された記事が多く、論文調ではないため比較的論旨は直線的で読みやすい英文が多いのも特徴になっています。

英文量も法学部や政治経済学部に比較すると多くはなく、取り組みやすい出題傾向と言えるでしょう。「以下の英文から本文からの推論として最も適切なものを選べ」という問題が出題されるのが社会科学部の読解問題の特徴です。

単なる英文和訳ではなく、ちゃんと英文全体を理解していたかをダイレクトに問う問題ですから、英文全体の構造分析・理解の訓練をしておくことが必要になります。それさえできていれば社会科学部の問題は基本的に平易で、あまり苦労する必要はありません。

文学部(制限時間90分)

文学部は大問で長文読解問題2問、文章中の空欄補充問題が1問、会話文問題1問、英文要約問題が1問の出題形式が基本です。

長文読解問題は空所補充問題が多く、熟語・語法の知識が試される問題も含まれます。会話文については特に難しいというようなものはありませんので、政治経済学部・商学部などの対策と同様でかまいません。

文学部で特徴的なのは、長文の中にある空欄に選択肢の短文を埋めていく空欄補充問題と、文章要約問題が出題されることでしょう。

空欄補充問題は選択肢の中には必ず1つどこにも入らない選択肢が含まれていますから、本文の構造を適切に把握していないと全部間違ってしまうことにもなりかねません。

このような形式の読解問題以外の場合でも、しっかりと長文全体を読み、各パラグラフがどのような役割を持っているのか分析する練習が必要です。

文章要約問題は比較的短い文(150~250語程度)を1つの英文に要約させる問題です。これは英文全体の構造をしっかり理解し、キーセンテンスがどれなのかわかってさえいれば解ける問題ですが、逆に単なる英文和訳の勉強しかしていないとほぼ解けない問題であると思われます。

早稲田全学部に言えることですが、英文和訳を勉強の中心に据えるのではなく、きちんと英文全体の意味を読解することを勉強の中心にすることが必要です。

文化構想学部(制限時間90分)

文化構想学部は大問で長文読解問題5問、文章中の空欄補充問題1問、会話文問題1問、英文要約問題1問が出題の基本構成です。

全体的に文学部と出題形式が似た読解メインの出題形式で、英文の内容や語彙レベルも文学部よりやや難易度が低いと思われます。

読解問題の問題数は多いですが、各問題の文章が長いというわけではないので落ち着いて処理していけば十分でしょう。

学部別の傾向と対策(教育学部・人間科学部・スポーツ科学部)

教育学部(制限時間90分)

教育学部は大問で長文読解問題4問、会話文問題1問が基本的な出題傾向です。長文読解問題の中で文法問題や発音問題がきかれ、会話文問題の中で語法がきかれる形式が多く、早稲田の中でも発音・文法・語法も含む総合的な問題となっています。

問題の割合としてはやはり読解問題の空所補充や正誤判定問題が多いため、読解力が重視されているという点では他学部と変わりませんが、発音・文法・語法も十分に対策しておく必要があるでしょう。

読解問題のテーマは偏りがありませんが、社会論・歴史などの文系テーマから、時折環境問題や理科学系のテーマまで幅広く出題されています。

そのテーマに関する背景知識がないとやや理解が難しいものもありますから、語彙力の増強や国語の現代文・英語の長文読解練習を通じて幅広いテーマに触れておきましょう。

人間科学部(制限時間90分)

人間科学部は早稲田の中でもかなりクセのある出題をします。大問で数多くの短文を読解させる問題が1、文法(前置詞空欄補充)問題1、長文読解問題1が基本構成です。

数多くの短文を読解させる問題があり、ここで出題されている語彙は受験生レベルをはるかに超えるようなものも多く含まれており、100%の理解は難しいと思われます。

人間科学部の対策としては、速読英単語・上級編(Z会)のレベルの語彙の7割~8割まではマスターしておきたいところです。テーマも文系理系問わず出題されており、医学系の話題まで出題されますから語彙だけをみればかなりの難易度です。

空欄補充問題は前置詞を補充させる問題が中心です。これは法学部同様に、受験英語の枠を越えた本で前置詞のイメージを作っておけば十分対応できるものと思われます。「重箱の隅をつつくような問題」ではなく、「細かい前置詞のイメージを理解しているかを問う」良問です。

全般的に人間科学部は、他学部と比較して読解力のウエイトがやや低く、文法知識・語彙知識を問う傾向が強くなっています。

スポーツ科学部(制限時間90分)

スポーツ科学部は大問で長文読解が3問、文法問題が2問という構成です。長文問題は他学部から比較するとさして難しいものではありませんが、他学部のように社会論や歴史などのテーマだけではなく、ラクロス・自転車・マラソン・野球などのスポーツをテーマにした英文が出題されるのが特徴です。

通常のテーマ別読解対策に加え、ある程度スポーツニュースなどを見てメジャーなスポーツについて背景知識を持っておくことも必要ですから、気分転換のつもりで行いましょう。

文法問題は空所補充と正誤判定問題の構成が基本で、知識レベルとしては早稲田の中では高くありません。文法の参考書・問題集を一冊仕上げておけば十分に対応できるレベルの範囲内です。

学部別の傾向と対策(国際教養学部・理工学部)

国際教養学部(制限時間85分、別にリスニング試験50分)

大問で長文問題2問、日本語での英文要約1問、自由英作文1問が基本構成です。別に試験時間を50分取ってリスニングが大問2問出題されます。

リスニングも課され英語の総合力が問われる問題構成で、早稲田の中でもハイレベルの入試問題です。

ただし国際教養学部は平成16年新設の学部ですので、傾向がやや変わる可能性もあるかもしれません。

長文読解問題は1問で1000語を超えるような超長文問題が出題されることもあり、読解問題のレベルは法学部・政治経済学部に匹敵します。しかし、内容の正誤判定問題や内容一致問題が多く、選択肢でもきわどいものが少ないため、基本的には読めていれば解ける問題です。

扱われるテーマに偏りがあまりなく対策は立てにくいですが、基本的に英文を読みながら語彙力をつける教材をメインに勉強していれば全く理解できないという内容ではないでしょう。
可能であれば、慶應大学SFCの過去問もこなしておくと良い問題演習になります。

要約問題に関しても読めていれば解けますが、単なる英文和訳が勉強の中心では解けない問題です。自由英作文は要約を求められる場合、内容の説明が求められる場合の出題のいずれかが多いですが、新設学部で問題内容の傾向が安定していないこともあって、今後法学部のようにあるテーマに対する賛否を述べさせる問題が出題される可能性もあります。

偏りのない形式で練習しておくことが必要でしょう。ただ、その場合も「結論→理由」の順で書くのが英文の基本構成であることを忘れないようにしましょう。

リスニングに関しても傾向は安定していないようです。確報ではありませんが問題スクリプトが一度しか放送されないこともあるようです。

英語だけではなく他の学科の勉強の兼ね合いもありますが、普段から音読に加えてシャドーイングもあわせて行って対策を取っておく必要があるでしょう。

国際教養学部を受ける受験生は当然英語には自信があるでしょうから、差がつくのはリスニングであろうと考えられます。可能であれば東大・一橋大・東北大学などの難関国立大学のリスニング過去問などをあわせて練習しておきましょう。

理工学部(制限時間90分)

大問でみて3つの英文を読解させる問題が1問、文法問題が2問、段落を補充させる問題や文章完成問題が1問、数詞の知識を問うような図表問題が1問の構成が基本です。

出題形式はオーソドックスで、英語ができる受験生ならあまり苦労はしないと思われます。ただ、理系の学生は「英語はできても現代文が苦手」である場合が多く、特に早稲田は国語が一般入試で課されていませんから、読解力に不安を抱えている受験生が多いです。

文系ほどの読解力は必要ありませんが、基本的なボキャビル・文法・語法の勉強に加え、パラグラフの分析や英文全体として何を言っているのかということをつかむ訓練は意識して行っておきましょう。

社会人が早稲田大英語に取り組む意味

早稲田は学部ごとにややクセのある出題をする、というのが印象です。特に文法・語法問題に関してはその傾向が強いです。文法・語法問題に社会人が取り組む意味はないわけではありませんが、それなら英検・TOEFL・TOEICの問題集の方が効率は良いと思われます。

その一方で、早稲田の長文読解問題は「全体が把握できていて、かつ細部もわかっていないと解けない」という内容正誤問題が出題されるのが特徴ですから、読解練習としては社会人にも良い題材になるでしょう。

さかえ
上智大学法学部卒のビジネスマン。大学在学中は、純正日本人でありながら帰国子女率80%の上級英語クラスに所属していた。TIME誌、Newsweek誌は辞書なしで読解可能。愛読誌は『The Wall Street Journal』『The Economist』。 詳しいプロフィール / 記事一覧

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