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【レビュー】即戦力がつくビジネス英会話 基本から応用まで:実務のシチュエーション別にダイアログをまとめた即効性のあるビジネス英語教本

      2017/02/24

『即戦力がつくビジネス英会話 基本から応用まで』は、NHKラジオの『ビジネス英会話』のテキストを元に書籍化されたものです。ビジネスコミュニケーションのスキルに特化した内容です。

CD付 即戦力がつくビジネス英会話 改訂増補版: 基本から応用まで

NHKラジオ『ビジネス英会話』からの書籍化

NHKラジオの『ビジネス英会話』と言えば杉田敏先生がおなじみですが、2004年4月~9月まで、慶応大学講師の日向清人氏が同番組を担当しました。本書はその際のテキストを書籍化したものです。講座のレベルは杉田先生の講座と同様、上級者向けで、より実務的な表現が多くなっています。

初版は2007年、その後30回もの増刷で5万部を売り上げ、改訂増補版が2014年に刊行されました。出版元のDHCは化粧品や健康食品でも有名ですが、DHCとは元々「大学翻訳センター」を意味し、語学書も多く世に出しています。

「基礎編」と「実践編」の2本立て

本書は「基礎編」と「実践編」とに大きく分けられています。レッスンは2~3人の話者によるダイアログで進みます。

「基礎編」はどちらかといえば入門的な内容です。自己紹介やスモールトーク、電話でのやりとりなど、よく使う決まり文句も多く見られます。

自己紹介やスモールトークなど初歩的な内容を練習する基礎編
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日向 清人『即戦力がつくビジネス英会話 基本から応用まで』

「実践編」は会議や交渉・プレゼンテーションでの言い回しをまとめてあります。センテンスも「基礎編」よりやや長めになってきますし、ビジネス英語らしい表現が増えてきます。価格交渉や契約条件の提示など、ビジネスに効果的な表現・専門的な語彙も多く掲載されています。

企業内での業務に 使える言い回しを練習する実践編
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日向 清人『即戦力がつくビジネス英会話 基本から応用まで』

各レッスンできめ細かな学習ができる

本文では章ごとに各レッスンの概要説明があり、その後に見開きでダイアログの英文と日本語訳が、対訳方式で掲載されています。右端には語彙解説もついており、小さめの文字でページがびっしり埋まっています。

英日対訳方式なので、不明な英文や語句の意味をすぐに参照できる
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日向 清人『即戦力がつくビジネス英会話 基本から応用まで』

次の見開きには「Focus(キーフレーズと類似表現)」、「more(表現のバリエーション)」 というまとめがあり、きめ細かく表現を学ぶことができます。

本文に関連した表現・語句をまとめて覚えられる「Forcus」「more」
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日向 清人『即戦力がつくビジネス英会話 基本から応用まで』

2レッスンごとに、ダイアログやFocusの反復練習用ページ「CHECK UP」があります。各単語の最初のアルファベットのみ記載された状態なので、これを手がかりに英作文、ディクテーション(聞きとり)ができるようになっています。

Focusの内容を反復練習できる「CHECK UP」
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日向 清人『即戦力がつくビジネス英会話 基本から応用まで』

比較的語彙レベルが高い会話文を収録したリスニングCD

付属CDは2枚もついています。収録音声の速度を測定したところ約150語/分で、学習書付属のCDとしては標準的です。発音も明瞭でとても聞き取り易く感じます。

即戦力がつくビジネス_CD
日向 清人『即戦力がつくビジネス英会話 基本から応用まで』付属CD(2枚組)

ビジネス英語なので日常系の英会話本と比較すれば難しい語彙が含まれています。音読・リスニング・シャドーイングを使ってリスニング力を鍛えると同時に、条件反射的に英文が口からでてくるまで反復練習しましょう。英会話の練習になるばかりでなく難度の高い語彙の習得にもつながり一挙両得です。

390ページを超えるコストパフォーマンスが高い本

「基礎編」はTOEICで600前後、英検2級くらいの力があれば取り組めるでしょう。「実践編」は難度が上がります。TOEIC730以上、英検なら準1級くらいからが目安です。ダイアログが難しい、という人は、「Focus(キーフレーズと類似表現)」、「more(表現のバリエーション)」だけでも学ぶと役に立つでしょう。タイトル通り、「即戦力」として生かせる有用な表現が揃っています。

390ページを超えるハードカバー装丁の本は、手にすると“ずっしり感”があります。CD2枚付き、これだけのボリュームで2千円ちょっとという価格設定は、コストパフォーマンスの面でもおすすめです。

使い方としては付属CDの音声を聞いた上で、音読やシャドーイングをくり返すことで、英語表現を頭と身体にしみこませるのが一番です。レベルが高めで分量も多いので、最初から最後まで学習を継続するのは大変かもしれません。ですが、使いこむ価値のある、やりがいを感じる一冊といえるでしょう。

まとめ

  • NHKラジオ『ビジネス英会話』テキストを元に書籍化された本です。
  • 英検2級・TOEIC600以上の学習者、とくにビジネスパーソンにおすすめです。
  • 使える表現がびっしり。コストパフォーマンスの高い教材です。
●編集長からひとこと
かなり良い出来のビジネス英語本です。クレームとその処理、会議の開始、段取りの決定と条件提示等、実務のシチュエーション別に会話文が載っているのが素晴らしいです。杉田先生の『実践ビジネス英語』はどちらかというと武者修行的なビジネス英会話なので、即効性を求めるなら本書ですね。TOEIC対策にも有効です。
Kana
お茶の水女子大学卒。英検1級、TOEIC910を保有。現在、民間の中学生向け個別指導塾で英語講師として勤務している。確かな英語知識と学習経験に裏打ちされた、分かりやすく丁寧なレビュー記事・コラムが好評。 詳しいプロフィール / 記事一覧

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