学ぶとは、マネることである。

翻訳者・堂本秋次が教える『TOEICと英検のリスニング問題の傾向、難易度の違いについて』

      2017/11/30

はじめに

前提として、ある程度のリスニング力があればTOEICにも英検にも対応することができるでしょう。しかし、TOEICを受けていた人が英検のリスニングに初めて挑戦すれば少し勝手が違うように感じるでしょうし、逆に英検に慣れた人がTOEICのリスニングに挑戦すれば難しいと感じる部分があるかもしれません。

ただ、英検・TOEICに限らず、英語の試験は実務や実用の面に重点をおいて進化を続けています。従って、ここに書いてあるのはあくまで僕自身の主観や、執筆時点(2016年11月)の情報に基づいたものであることをあらかじめご承知おき下さい。

発話者のバリエーションを多いTOEIC、聞き取り易い英検

さて、TOEICと英検のリスニングで最も異なるのは、TOEICのリスニングの方が発話者のバリエーションが豊かであるという点です。様々な国の人が英語を話しており、比較的簡単な構文や語彙を用いているのに、リズムやアクセントが異なるせいで聞き取れなかった、というのはよくあることです。英検ばかりに接してきた人にとっては、ここがネックになりやすいような気がします。

一方、英検のリスニングは、級によっては構文や語彙がやや難しい傾向にあるものの、発話自体は綺麗なもので、聞き取りやすくなっています。また、難しい傾向とは言っても日常的な用法をはずれるようなことはありません。

TOEICはリスニング問題の割合が多い

そのほか異なる点としては、TOEICは英検のリスニングよりも問題全体に対する割合が大きく、かつ英語を聞き続けなければならない時間も長くなっています。さらに、TOEICはリスニングから始まりますが、英検は筆記から始まります。そのため、TOEICを受けるときには、事前に英語を受け入れやすい脳の状態を作っておくことが、英検の場合よりも必要になるでしょう。

加えて、もしも貴方が問題文を先読みすることでリスニングの点数を上げようとしているのであれば、TOEICはここでも牙を剥くこととなります。第一に、TOEICの第2問は問題文がありませんし、リスニングからスタートすることで、問題の先読みに使える時間も限られているからです。

英検の場合はリーディングを早めに終えることができればその分リスニングでどのような問題が出るかをあらかじめ確認することができます。

最後に、TOEICのリスニングではメモを取る行為が禁止されていますが、英検では禁止されていません。そのため、TOEICでは聞いた内容をそのまま頭にとどめておく能力が必要となります。

どちらのリスニング問題が難しいか?

以上を踏まえると、英検とTOEICのリスニング問題を比べたとき、どちらが難しいかと言えばTOEICではないか、というのが僕の考えです。英検1級のリスニングよりも、TOEICのリスニングで満点を取ることの方が難しいでしょう。

ただし、繰り返しになりますが、これはTOEICで用いられている語彙や文法が英検1級よりも難しいからというわけではなく、あくまでTOEICの方が、問題が多く、かつ様々な発話者の発音に慣れなければいけないという点があるからです。

また、TOEICの点数は問題ごとに決められたポイントがあるわけではないので、リスニングセクションで全問正解しなければリスニングの点数が満点にならないというわけではありません。

英検では、単語の意味を知らなければ正解が難しい場面があったり、音で聞くと構文的に難しい内容が出てきたりする場合もあります。特に英検準1級より上になると、急に難しいと感じられる場合もあるでしょう。その辺りを加味すると、英検1級のリスニングの方が難しいと思う人も決して少なくはないのではないでしょうか。

これまでを踏まえた上で両方に対応するための勉強方法としては、TOEICをメインに勉強することをオススメします。TOEICのリアルな発話に慣れておくことで、充分に英検のスピードにも対応できるようになるからです。もちろん、いざ英検のリスニングに触れれば難しいと思う語彙などが出てくる場合もありますので、それについてはその際に学習しましょう。

堂本秋次
実務翻訳者、プロマジシャン。英検1級、国連英検A級、TOEIC965を保有。大学時代は、ネイティブスピーカーの教授の指導のもと、言語学を専攻していた。医学、自然科学等を専門とする多芸多才な翻訳者。 詳しいプロフィール / 記事一覧

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