学ぶとは、マネることである。

翻訳者・堂本秋次が教える『TOEICのリスニングセクションで満点を取るための勉強法』

   

最初に

TOEICのリスニングで満点を取ることができてから、元々の知人や、僕が今は翻訳をしているということを知らない友人からも、「堂本は英語が得意なのか」と言ってもらえることが増えました。

それだけ、TOEICのリスニング満点というのは価値のある偉業のように映っているようですが、実際のところは異なるというのが僕自身の見解です。そして同時に、「どうすれば英語を話せるようになるのか」と聞かれることも増えたのですが、そういうときには当たり前の言葉を返すようにしています。「継続的に勉強するだけです」

当たり前のことを、当たり前のように

まず当たり前のことを、ここでもう一度当たり前のように繰り返させて頂きますと、TOEICに限らず、言語に限らず、何かを学ぶときに重要なのは継続的な姿勢です。「勉強している」という感覚がわき上がらなくなるまで、勉強を当たり前のように継続することが重要です。

僕自身の場合は、常にニュースを英語で聞いたり、TEDトークを英語で見たり、Huluで映画やテレビドラマを字幕なしで見たりといったことを繰り返していますが、どれも「英語を学ぶため」というよりも、「海外のニュースの情報を仕入れるため」、「新しい知識を仕入れるため」、「単に映画やドラマを楽しみたいから」が理由となっています。

また、個人的にはリスニング力には波があり、「よく聞き取れる」というときと、「なんとなく頭に入ってこない時期」というのがあるような感じがしています。そこで後者の特にひどい時期には、能力がそのままさび付いてしまわないように、ディクテーションを行うことで能力の下限の底上げを図っていますが、これは月に何度か行う程度です。

加えて、リスニングを伸ばすためというわけでもなく、自分で趣味に関する本を英語で読みもします。事実、リーディングによって「英語のリズム」や新しい語彙を習得することでリスニング力は上がっていくので、全くの無関係ということではないのですが、ここでも目的は、「リスニング力を鍛えるため」でも「リーディングを鍛えるため」でもなく、単に「その本が読みたいから」です。

何のために、何を目指して勉強するのか

TOEICのリスニングで満点を取るとなると、もうTOEICならではの小手先のトリックが通用する段階ではありません。純粋な英語力が高ければ、自然にTOEICの満点を取得することはできるようになります。

では、純粋な英語力をどのように身につければ良いのか、ということになるのですが、これはすでに述べた通り、どこでも解説されているような、シャドーイングを行ったりディクテーションを行ったり、英語のニュースを聞いたりなどといった当たり前の努力を続けていくしかないのです。

努力せずにTOEICの点数が上がることはありませんし、仮にあったとしても、だから英語が話せるということでもありません。TOEICの点数はあくまで指標や結果であって、証明ではないのです。もちろん、社会的には証明書のように用いられることが多い数値であることは否めませんが。

TOEICで高得点を狙いたいと言っている人には、何のためにTOEICで高得点をとりたいのか、といったことがはっきりしていないという場合が少なくありません。したがって、TOEICのリスニングで満点を取るための勉強方法を教えてくれと言われて「継続的に勉強することだ」と答えたあとに食い下がられたら、「自分なりに、勉強に対する哲学を持つことです」と答えることになります。

言葉は「突然分かるようになるもの」ではなく、「いつの間にか分かるようになっているもの」であり、苦労しながら聞いていた海の向こうの言葉がいつの間にか自然な言葉として脳に理解される日は、ある日突然訪れるものではなく、いつの間にか訪れているものなのです。

もしかすると、すでにその日が過ぎ去った人も居るでしょう。自分が英語を学び始めた頃のことを思い出して、その頃と比べれば自分がいかに英語を聞き取れるようになったか、その差は歴然のはずですが、いつからそんなに聞き取れるようになったかは覚えていないはずです。そういった、本当に少しずつ100%に近づいていく道のりを、長く歩いて行くことしかできないのです。ただし、決して100%には到達しないでしょう。僕たちは日本語でさえ、聞き間違えてしまうのですから。

堂本秋次
実務翻訳者、プロマジシャン。英検1級、国連英検A級、TOEIC965を保有。大学時代は、ネイティブスピーカーの教授の指導のもと、言語学を専攻していた。医学、自然科学等を専門とする多芸多才な翻訳者。 詳しいプロフィール / 記事一覧

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