学ぶとは、マネることである。

元・上智大生 さかえが教える『難関大学受験生には必須の「赤本」に取り組むまでの英語勉強法』

      2017/02/11

この記事では、大学受験生向けに英語の勉強方法の概説、具体的には大学入試の過去問であるいわゆる「赤本」に手をつけるまでにどのように勉強すれば良いか提案します。

私が大学受験生の時、受験勉強をしていた期間は高校3年9月~一浪時の2月までのおよそ18か月間でした。

英語を含めた全科目で予備校の本科生にはならず、予備校のサテライン講義を単科で受けた他はほとんど北海道の自宅で勉強していました。勉強のウエイトは予備校のサテライン講義2割、独学8割で進めています。

講義はわかりやすくイメージが持ちやすいというメリットがある反面、学習速度が講義に拘束されてしまうというデメリットがあります。

独学はペースがつかみにくく自分を厳しく律する必要があるというデメリットがありますが、その反面で学習速度を速くして、先取りすることも遅れを取り戻すことも自分次第でできるというメリットがあります。

そのため、地方に住んでいて予備校の本科生になるのが難しい方、勉強が遅れて学校の授業について行けておらず学校の授業を受けているだけではもう本番までに間に合わない受験生の方のほか、学校の授業を先取りして本格的な受験勉強を前倒しで進めたい方にも参考にしていただければ幸いです。

地方に住んでいることは大きなハンディキャップではない

地方に住んでいることは都会に住んでいることと比べて、受験に関しては大きなハンディキャップではありません。地方に住んでいることのデメリットをあげるとするならば、

(1)受験に関する情報はやはり乏しい
(2)都会では周りの友人が大学受験をすることが多いので自然と勉強する環境になりやすい

この2つ程度であると考えます。

このうち、(1)は予備校の講義を衛星講義で取る、夏休みや冬休みの期間だけ地方都市の予備校に行くなどして情報収集を行うことで対応できます。

(2)は結局自分の目的意識の問題になりますので、大きなデメリットではありません。人は人、自分は自分という意識でどれだけ淡々と勉強できるかの問題です。

予備校を利用する主なメリットは以下のようなものになります。

(1)過去の受験情報データを膨大に持っており傾向の分析が得意
(2)教えるノウハウを持っている講師がいる

(1)は予備校を利用して模試を受けることで、自分の大まかな位置が把握できます。更に予備校は膨大なデータを持っているため教材や予想問題の作成が得意です。また、予備校が発行する参考書や問題集、予想模試を受けることで予備校が持っている情報を利用することが可能です。

どれだけ成績が良い受験生でも受験生は受験生です。問題のヤマ張りや傾向分析などということは予備校に任せてしまえば良いのですから、自分の勉強に集中しましょう。

(2)は大きなメリットです。教えるノウハウを持っているということは、勉強するノウハウを教えてくれる講師でもあります。

今はインターネットが発達していますから、講師の評判や講師の個人ブログなどを読んで、良い講師を探しましょう。その講師の単科ゼミが衛星講義になっている場合も多いですから、その講義を取ることで地方に住んでいるハンディキャップは大きく埋めることができます。

日々の勉強で分からないことがあれば通っている高校の先生に質問すれば良いでしょう。

次の段から、具体的な英語の勉強方法に入ります。

英文法の参考書・問題集の考え方

英文法の参考書を買うときの原則は、「勉強用に一冊、調べ物をする辞書として一冊それぞれそろえ、その本と心中するつもりで他の本には手を出さない」ことです。

大学受験のための参考書は書き方の違いこそあれ、内容はほぼ全て同じです。

一番いけないのはあれもこれもと本をそろえ、結局最初の10ページくらいしか読まなかったという状態になってしまうことです。これは高校一年生最初の頃の私のことですが(笑)。それで結局勉強しなくなっちゃいましたね。

参考書は例えば辞書としてロイヤル英文法など学校で指定された文法書を持っておき、その他に予備校などが出している学習用にわかりやすく、イメージを持ちやすく書いている参考書を学習用に一冊ずつ持ち、学習用の本をメインに勉強し、辞書用の本はどうしても分からない時に調べるために使いましょう。

私は学習用として『今井の英文法入門(現、今井の英文法教室)』、辞書用として『ロイヤル英文法』を持っていましたが、結局大学に合格するまで『ロイヤル英文法』はほとんど開きませんでした。

英文法の参考書は一冊でいいのですが、問題集はたくさん使いましょう。たくさんの問題に触れて問題練習を数多くこなし、間違ったところや分からなかったところを問題集の解説や参考書で調べることで、より記憶が印象に残りやすくなります。

問題集はアウトプットしながら知識をインプットできる利点がありますから、できる限り数多くこなすべきです。問題集を買う場合は、一冊を終わらせてから次の本に入りましょう。おおむね80%程度できるようになってから次の本に入るようにします。

一冊目の問題集を終わらせれば、二冊目以降の問題集は解くスピードが速くなっており、分からない部分も少なくなっているはずですから終わらせるのが格段に早くなっているはずです。

英文法・語法の勉強法

英語は最初に英文法・語法を勉強することをおすすめします。英文法が分からない状態で長文読解問題などに取り組んでも、結局文章構成のルールが分からず挫折してしまうからです。

英文法・語法の勉強方法は、「早めに短期間でイメージを作る」ことが肝心です。英文法は勉強した後に長文読解問題や英作文問題を解いていく中で、何度も何度もランダムに触れることになります。

そのため、最初は完璧に分かる必要はありません。長文読解問題などを解いていく中でなんとなく分かるけれどどうだったかな?と思うときに、その都度参考書に戻って確認していけば良いのです。

英文法は学習用の参考書を「コツコツ一日一テーマずつやる」という勉強の仕方ではなく、「できるだけ短期間、できれば一週間で全範囲をざっとやってイメージを作る」ことを先にやってしまいましょう。

そうすることでより早く語彙力養成や読解力養成に取り組むことができるようになります。読解力養成などをする中で知識をより確実なものにしていけば良いのです。

それに加えて英文法・語法の問題集を時折まとめてやって、より知識の補強をすれば更に良いでしょう。

語彙力・読解力養成

語彙力と読解力の養成は長文読解力を養成しながら語彙力もつけるという方法がおすすめです。このように長文を読みながら語彙力をつける考え方を「文脈主義」などと言います。

文脈主義の良いところは、文章の中で単語・熟語を覚えるのでイメージがわきやすく記憶に残りやすいこと、実際の文章の中での使われ方を自然と覚えられることの他、頻出する語彙は何度も違う英文の中で見ることになるためより定着しやすいことが挙げられます。

文脈主義で語彙力を増強する際、おすすめの勉強方法はある一つの文章の文法・構文・語法を把握したら、その後意味を考えながらひたすら音読することです。

音読のメリットは他の記事でも解説されていますが、これによって構文把握の速度が格段に上がること、英語を英語のまま理解する直読直解の基礎トレーニングになること、意味を考えながら音読することで語彙力も自然と身に付くことなどがあります。

この場合、使用する教材は現役の高校一年生・二年生であれば学校のリーダーの教科書をメインとするのが良いでしょう。学校の授業で解説された内容を教科書に書き込み(和訳を書き込むわけではありません。あくまで構文の構造や単語の意味を赤ペンなどで英文に書き込みます)、ひたすら音読を繰り返します。一年が終わるまでに全英文の音読回数が30回~50回になっていることが理想です。

それに加えてZ会の『速読英単語・必修編』や『速読英熟語』を同じように勉強すると良いでしょう。

なお、速読英単語シリーズには入門編もありますが、音読にはそれなりの時間がかかります。そのため入門編は学校のリーダーの教科書のサブテキストとして利用する方が無駄はないと考えます。

英語の成績に不安のある高校三年生や浪人生であれば、学校のリーダーの教科書を授業に合わせて音読していると学習ペースが遅くなります。もうこの時期であれば日常学習ではなく本格的に受験勉強に入っているわけですから、学習が遅れている場合独学の割合を多くしてペースを上げることが必要になります。

学習がまず考えることは『速読英単語・必修編』と『速読英熟語』のマスターです。やり方は同じく文法・語法を把握したら音読がおすすめです。高校一~二年生の方も、高校三年生・浪人生の方も、これらの他に長文読解の問題集などをすることがあると思います。この長文読解問題集の本文も、解いて答え合わせをしたら同じように音読して復習することをおすすめします。

ただし、音読回数はリーダーの教科書や速読英単語シリーズなどのように30回も50回も音読する必要はありません。復習のために10回程度音読する、などというように時間との兼ね合いで回数を減らして良いでしょう。

これに加えて難関校を受験するのであれば、最終的には『速読英単語・上級編』までやっておきたいところです。どの大学を受ける場合でも語彙に関しては『速読英単語・上級編』までやっておけばそれ以上する必要はないと考えられます。

旺文社『ターゲット1900』などの一対一対応の英単語集の使い方の例

私はこれまでお話ししたとおり、語彙力の増強に関しては文脈主義の考え方を取って音読を繰り返すことで、語彙力と英文読解力を同時に増強することをおすすめしています。

『ターゲット1900』に代表されるような英単語とその意味が一対一対応になっている英単語集をすでに買ってしまっているけれど、こういう本はどのように使えばよいのかという疑問があるかと思いますので、使い方の一例を紹介します。

私は一対一対応の英単語集は、「語彙のチェック用に使う」という方法をとりました。

例えば、あるページに

intervention 「干渉、介入」
alert 「警告、警戒態勢」

とあって、interventionという単語を見て意味が一つでもぱっと思いついたらマジックで塗りつぶしてしまいます。

intervention 「干渉、介入」
alert 「警告、警戒態勢」

alertが分からなかった場合は上のように塗りつぶさずに残しておきます。

全ての単語をこのように知っているもの、知らないものに分類していくと、知らない単語だけが残りますから、それだけを覚えるという使い方です。

なお、残った単語を元に単語カードの類を作る、といったことは一切やりません。自作の単語カードを作ることは単なる「作業」であって勉強ではないからです。

単語のチェックをしている際に、1ページの両面に印刷されている全ての単語が塗りつぶされてしまったら、そのページは不要であるとして破り捨ててしまっていました。残ったページには知らない単語があるので、そこだけ読んでいくというように、本自体を破いたり貼ったりして簡易的な単語帳に仕立て上げてしまいました。

1,2年生向け学習プラン

以上のとおり、本格的に赤本に取り組むまでの学習方法を紹介しましたが、ここからは受験までに残された期間ごとに、おすすめの勉強プランを解説します。

まず高校1、2年生で、まだ受験までに時間の余裕がある方向けのプランです。英文法の勉強はすでに書いた通り、学校の授業にとらわれずに先に全範囲ざっとやってイメージを作ってしまいましょう。

それが終わったら、学校の授業をペースメーカーにしてリーダーの教科書を音読することをおすすめします。並行してZ会の『速読英単語・必修編』『速読英熟語』の音読をあわせて進めておけば良いでしょう。目標としては3年生になるまでに『速読英単語・必修編』と『速読英熟語』は全文50回程度音読してマスターすることです。

部活や学校行事の課外活動にも十分取り組んでいただきたいので、通学時間やテレビの合間などに1~2回くらいずつ音読して回数を重ねていきましょう。 問題集を多くこなすのは2年生の後半からでも遅くはありませんので、まずはここまでのことを行って地力を養いましょう。

2年生の後半からはあわせて問題集に取り組みます。おすすめはいきなりセンター試験の過去問を最低10年分全部やってしまうことです。センター試験の問題は標準的な難易度で、かつ文法問題から基礎的な英作文問題、読解問題やリスニングまで、入試の基本となる問題形式を全て含んでいます。

そのため、センター試験過去問から練習して自分がどの問題形式が苦手なのかを早い段階でつかみましょう。その後は苦手分野に特化した問題集を利用するなどして苦手分野をつぶしていきます。

ここまでやれば、3年生になった時点で志望校の赤本を使っても少なくとも手も足も出ないということはないでしょう。3年生になって以降は赤本にプラスして『速読英単語・上級編』を『必修編』と同じように使うという勉強法にスムーズにシフトしていけます。

3年生・浪人生向け学習プラン

高校3年生や浪人生で、英語の勉強が全く進んでいないという方も基本の考え方は1、2年生のプランと同じです。ただ、受験までに残された期間が少ないので(私も人のことは言えませんでしたが…)、できる限り速いペースで学習を進めるようにしましょう。

英語の勉強が全く進んでいない高校3年生であれば、学校のリーダーの教科書の内容すら分からない、という状態でしょう。勉強が進んでいる人に追いつき、追い抜くためにはリーダーの教科書を音読している時間もありません。

そのため、こういう方の場合は勉強を進めるペースを自分の自由に設定できる独学の割合を多くする必要があります。

具体的には、少々厳しいプランになりますが速い段階で英文法のイメージづくりをします。その後すぐに語彙力増強・読解力増強に入ってください。4月から勉強を始め、7月頃に部活動などを引退して勉強ペースを上げると考えた場合、10月までに『速読英単語・必修編』が終わっていれば十分でしょう。

10月以降は『速読英単語・上級編』と並行しながらセンター試験の過去問や赤本・模試の勉強に入っていくというプランになります。浪人生であれば今年必ず合格するという気持ちで同様の学習プランを行います。

英語はどこまでやれば良いのか

以上までで大学受験のための英語の学習方法を紹介しましたが、受験生の方が一番不安なのは、「英語はどこまでやれば良いのか。特に英単語。どれだけ勉強しても新しい読解問題を見ると知らない語彙が出てくるから終わりが見えない」ということであるかと思います。

はっきり言えば、大学受験生のレベルではどれだけ勉強しても分からない単語が出てくるのは当たり前です。そのため、英単語集を何冊もやるのは時間の無駄になってしまいます。

正しい対策は、どこまでやれば良いのかを見切り、それ以上はマイナー語彙を追い求めるようなことをせず、知らない語は前後の文脈から類推するやり方を身に付けることです。

例えば英単語はどこまでやれば良いのか、という疑問に対しては、大学受験であればどの大学を受けるのであっても『速読英単語・上級編』に記載の語彙を習得して、志望校の赤本(一応私大であれば全学部の問題に当たります)の長文問題の音読を10回以上やっていればそれ以上のことはしなくて良いです。

『速読英単語・上級編』一冊でも大学受験レベルからすると正直やり過ぎの感がありますから、これをやりこんで更に志望校の赤本の音読までこなしていれば、たとえ問題を解く中で知らない語が出てきても、「それは知らなくていい語だ、さてどんな意味か推理してみようか」や、「前後の文脈を考えたらこんな語飛ばしたって文章の意味は分かるぞ。じゃあ放っておこう」などのように考えて問題ないと言えます。

英語ばかり勉強していても合格しない

英語はここまでやれば十分でこれ以上はやらなくて良い、という、英語学習サイトとしてはちょっと暴論じみたことをお話ししました。なぜこれ以上はやらなくて良いと言ったかというと、大学受験生は英語だけ勉強していれば良いわけではありません。

英語の他にも現代文・古文・漢文・数学・社会科・理科…とやらなければならない科目はたくさんあります。

以下の例を見てください。文系の受験生で、高校3年9月の時点で以下のような成績を取っている人がいるとします。

※試験は全ての科目で100点を満点とします。
英語…80点
国語…80点
数学…30点
社会…60点
合計…250点

この人が勉強をした結果、高校3年12月で以下のような2つのパターンの成績になったとします。

(1)英語の勉強だけを優先させたパターン
英語…100点
国語…80点
数学…30点
社会…60点
合計…270点

(2)英語の勉強もするが他の科目、特に苦手な数学に重点を置いてを勉強したパターン
英語…90点
国語…90点
数学…70点
社会…70点
合計…320点

(2)では英語で満点こそ取れていませんが、数学が40点も伸びたことによって合計得点では(1)に比べて50点もの差が生まれています。

実はすでに80点取れている科目で100点が取れるようにすることよりも、30点しか取れていない科目で70点取れるようにすることの方が労力は少なくて済みますし、総合得点では有利になるのです。

大学受験は総合得点で合否が決まります。

これまでに説明したように、

「英語はここまではやるけれど、これ以上はやらず今までやってきたことの復習をする。これ以上のことをするなら苦手科目の勉強時間を増やして補強する」

という考え方が結局は有利になります。このことは特に意識しながら、受験勉強を進めてほしいと思います。

●編集長からひとこと
苦手科目の補強についてひとつ付け加えるとするなら、「志望校の配点」は必ず調べておきましょう。私自身は大学受験生のとき工学部志望で配点が少ないにも関わらず苦手科目の「化学」「日本史」に勉強時間を割きすぎて、配点が強烈に多い「英語」をあまり勉強していませんでした。国立大学志望であれば、センター・2次の配分も必ずチェックです。私はセンター日本史は勉強した甲斐があって85%でしたが(工学部なので2次に日本史はない)、センター・2次の配分が2:8くらいの大学(当時)だったので、日本史の高得点は圧縮されて全く意味がありませんでした(←つまり、バカ?)
さかえ

上智大学法学部卒のビジネスマン。大学在学中は、純正日本人でありながら帰国子女率80%の上級英語クラスに所属していた。TIME誌、Newsweek誌は辞書なしで読解可能。愛読誌は『The Wall Street Journal』『The Economist』。
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