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【レビュー】アメリカ口語教本 上級用:日常会話を対象とした歴史ある英会話教本シリーズの最終巻

      2016/09/26

 アメリカ英語における口語表現をマスターするための本です。シリーズにはその他に入門用・初級用・中級用があり、これまでの巻の知識を充分に身につけた学習者が取り組むべき本であるとされています。

アメリカ口語教本・上級用(最新改訂版)

全編を通じて英語の比率が大きい

 『アメリカ口語教本 上級用』は、INTRODUCTIONから英語で書かれているように、英語の比率が非常に大きいという点を特徴としています。英語を英語のままで理解できるよう、本文以外の説明部分などにも多く英語が用いられています。

序文から全編に渡って英語で書かれている(脚注と日英変換ドリルは除く)
William L.Clark『アメリカ口語教本 上級用』

 脚注や「Section V. JAPANESE-ENGLISH DRILL」では日本語も用いられていますが、ほぼ全編に渡って英文しか記載されていません。「できるだけ英語で英語を勉強したい」という学習者にとってはとても心強い本であると言えるでしょう。

使用頻度の高い口語表現やイディオムを24×6のチャレンジで習得

 全体として24のLESSONがあり、それぞれSection VIまであります。「Section I. PRESENTATION」では、テーマに応じて標準的な英語で長文が与えられます。テキストのほか、付属するCDでは同内容のリスニングもできます。

標準的な英語長文が記載されている「PRESENTATION」
William L.Clark『アメリカ口語教本 上級用』

 「Section II. APPLICATION DIALOGUE」では、二人のネイティブが対話をしているというシチュエーションでのダイアログを勉強します。口語ならではの表現もここで確認できるので、最も重要なセクションであると言えるでしょう。

口語ならではの表現が登場する「APPLICATION DIALOGUE」
William L.Clark『アメリカ口語教本 上級用』

 「Section III. NOTES ON CONVERSATIONAL STYLE」では、会話の際に注意するべき語法やイディオムが英語で解説されています。

 「Section IV. VOCABURALY BULDING」では、そのLESSONで用いられた語彙や表現を用いた例文を確認でき、次の 「Section V. JAPANESE-ENGLISH DRILL」では実際に自分で「日本語から英語」に英訳を行うドリルに挑戦できます。

 そして最後「Section VI. ESSAY IN ENGLISH」に、与えられたテーマについてエッセイを書くセクションで1つのLESSONが終了です。

※セクション構成は中級用と同じなので、こちらもご参考ください。
【レビュー】アメリカ口語教本 中級用:ネイティブスピーカーが作成した模範的な英文で英会話を学ぶ

上級とは言っても恐れることはない

 上級編ということでハードルが高く感じられてしまうかもしれませんが、実際に解説されているイディオムは基本的なものが多く、かつテーマも平易なものです。リスニングの速さも、特別に早いというわけではありません。ここでいう上級というのは、あくまで姉妹本である入門から中級の3冊に比べて、という印象です。英検で言えば二級から準一級、TOEICで言えば550から700程度の難易度というところでしょう。

 ただ、これまでテキストや試験勉強といったもののために英語を学んできた人にとっては、慣れない表現などがある可能性もあります。ある程度英語を学んだが口語表現については不安という人は中級から、かなり英語には自信があるという人は上級からでも良いでしょう。もちろん、これから学び始めるという人は入門や初級から入るのをオススメします。

シャドーイング学習に適した遅い録音のリスニングCDが付属

 使用頻度が高いと考えられる「Section II. APPLICATION DIALOGUE」で収録音声の速度を測定したところ、130語/分前後でした。語学書のCDとしては、若干遅めの発話速度です。

William L.Clark『アメリカ口語教本 上級用』付属CD(3枚組)

 賛否両論ありますが、英会話の教本であれば、単純にリスニングするだけでなくシャドーイング学習で効果的に聴解力・スピーキング力をアップさせたいという学習者もいますので、これはこれで良いのではないでしょうか。

 また、発音自体は語学書らしくハッキリクッキリ(明瞭)しているので、発音を聴いて分からないという事態にはならないと思われます。各英文は、上級の割りに平易な語彙が使われているので、アウトプット練習用に特に適しています。

実際に英語を使えるようになるための本として

 本書は、試験に対応するための本や学術的意味で英語を学ぶための本というよりも、あくまで英語で話すことができるようになるための本という位置づけになっています。この点から、英作文を行うドリルが豊富に用意されており、模範解答もあるため、個人での学習にも良い選択であると言えるでしょう。

 付属のCDを利用してリスニングを鍛えたり、シャドーイングやディクテーションを行ったりなどすれば、さらに学習効果は高まります。

まとめ

  • 全体的に英語でまとめられた、アメリカ英語の口語表現を学ぶための本。
  • 24のテーマと6つのセクション構成されたボリュームのある内容。
  • 上級とあるが、口語表現自体は比較的簡単なものが多い。
  • 自学自習で英語の技能を全面的に鍛えるのに最適。

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堂本秋次
実務翻訳者、プロマジシャン。英検1級、国連英検A級、TOEIC965を保有。大学時代は、ネイティブスピーカーの教授の指導のもと、言語学を専攻していた。医学、自然科学等を専門とする多芸多才な翻訳者。 詳しいプロフィール / 記事一覧

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