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【レビュー】発信型英語スーパーレベルライティング:日本人の英語学習者の英文ライティング技術を発信力の観点から整理した一冊

      2016/09/22

 この本は、まとまった分量の英文を書くために必要な力を鍛える教材です。9章構成で、発信型英語ライティングに焦点を当てています。

発信型英語スーパーレベルライティング

日本人学習者のライティングにおける問題点を発信力重視で整理

 まず、日本人学習者のライティングにおける問題点を、語彙・文法と言語間の発想・論理の相違の観点から指摘します。日本人の英語のリズム感不足と、情報発信に即した教養の重要性に関する指摘は、発信型英語に重きを置く筆者の視点が伺えます。

日本人の英文ライティングの20の問題点とは!
植田 一三『発信型英語スーパーレベルライティング』

 第2章では、各種資格検定試験のライティング問題を概説します。発信型英語力向上の視点で、それぞれの問題の傾向・対策を知るというスタンスで読んでみてはいかがでしょうか。ただ、この本は2005年に発行され、試験によっては仕様変更があります。最新の情報は、各種資格検定試験の公式ホームページを参照してください。

発信力重視の英語ライティング力向上トレーニング

 第3・4章で、発信型英語ライティングに必要な語彙・文法力を鍛える例題があります。その中でも、学習者が使い分けに困る類語は、話し言葉で使われるもの・書き言葉で使われるもの・中間的なものに分類され、表で整理されています。この表は、類語の使い分けで迷ったときに大変役に立ちます。

「与える」の類語使い分けトレーニング
植田 一三『発信型英語スーパーレベルライティング』

 一部例題によっては視覚情報がほとんどなく、文章のみで英語の言語感覚を解説するものもあります。情報量が多いので、じっくりと時間をかけて読んだり、読むセクションの順番を変えてみたりして、概念を理解するように努めてみてください。

一部の例題は文章のみで英語の言語感覚を解説
植田 一三『発信型英語スーパーレベルライティング』

発信力重視の発想転換で英語ライティング

 例題はシンプルな語彙問題だけでなく、難関大学入試レベルの和文英訳や英検1級のライティング問題、工業英検1級の英文リライト問題もあります。そして、各種例題を通じて、日英の言語文化の相違を理解し、言語的発想への洞察を深められます。

 とりわけ、工業英検1級の英文リライト問題は、冗長性の低い、ムダのない英文を書くためのトレーニングとして取り上げられています。引き締まった英文で、まとまった分量を書く練習をしたいというときには、ぜひ取り組んでみましょう。

工業英検1級の英文リライト問題
植田 一三『発信型英語スーパーレベルライティング』

 全体を通して、発信型英語力向上のためのトレーニングと、それに付随する解説文は、英語熟達度レベルの高い学習者を想定して書かれています。使用語彙・文法と例題から、英検準1・1級レベルという上級者を対象としていると推定されます。

長期的視点で発信力を重視した英作文を目指す

 読み手に訴えかけ、説得力のある英作文を書く力を付けたいときに、一読してみることをお勧め致します。

 第7・8章は、英語パラグラフ・ライティングに特化しているため、英検準1・1級やTOEFL、IELTSなどを受験する方や、日ごろから英語エッセイを書く方にも向いています。例題・解説ともに分量が多く、短期集中型で英語ライティングを学ぶという点では不向きです。

 けれども、じっくり時間をかけて読み、英文ライティングの全体像を理解する一助になる一冊でしょう。

まとめ

  • 発信型英語志向の英文ライティング教材です。
  • 発信力重視の英作文に必要な語彙・文法・英文構成を、さまざまな例題を通して鍛えられます。
  • 例題・解説文のレベルが全体的に高く、解説文の情報量も多いことから、上級者向けの教材です。
ばーばら
筑波大学大学院卒の高校英語教師、フリーランス翻訳者。大学は教育学部英語科に所属し、大学院では英文ライティングの指導方法を研究していた。現在は英検1級合格を目標に自身の英語学習を続けている。 詳しいプロフィール / 記事一覧

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