学ぶとは、マネることである。

【レビュー】速読英単語 上級編:大学受験生向けでは最高難易度を誇るZ会英単語教材の決定版

   

 『速読英単語 上級編』は、英文を読みながら英単語の記憶を行う英単語教材です。大学入試向けの教材である『速読英単語』シリーズの最終巻であり、最高難易度の本です。

速読英単語2上級編[改訂第4版]

最難関大学を目指す受験生向けのハイレベル教材

 私も大学受験生時代に使用しましたが、「大学受験レベルではちょっとやりすぎの面がある」というのが率直な感想で、最新版でもこの点は変わっていません。執筆時点現在(平成28年7月)の最新版は私が入試で使っていた当時とはレイアウトがやや変更されて見やすくなっていますが、収録語彙レベルは大学入試としては最高レベルであると言えます。

リーディング本では定番となっている「英和対訳方式」を採用
風早 寛『速読英単語 上級編』

 この参考書に取り組む時期としては、センター試験で言うと160点~180点は体調やコンディションに関係なく平気で取ることができる程度のレベルを達成してからが無難です。

 それまでのレベルを達成できていない場合は、同シリーズである『速読英単語 必修編』『速読英熟語』を優先させましょう。『速読英単語 上級編』は、早稲田・慶応・上智やICUなどの最難関私大から、東京外大・一橋大・東大等の最難関国立大学を目指す受験生で、英語を得点源にしたい方に向いたハイレベルな単語本です。

ここまで習得すれば試験本番で知らない単語を見ても安心

 『速読英単語 必修編』『速読英熟語』の掲載語を習得したのち、さらに本書をやり終えれば、大学入試本番で見たことがない単語というのはほとんどない状態になると考えられます。

 ここまでやって万一わからない単語が出てきても、それは「記憶していなくても受験生レベルであれば問題ない単語」と判断できます。このような安心感を得られるという面で本書の効果は大きいでしょう。

 特に受験生の年代ですと、本番の入試で一つわからない単語が出てくるとパニックになってしまうタイプの方も多いと思いますので、それを予防する効果は他の問題や科目に与える影響を小さくするという意味でかなり大きいものです。

スタンダードな使い方の例

 本書のような文脈主義の英単語集の場合、私が行った使い方は以下のとおりです。

1. 辞書を引き、文法構成を確認しながら英文を精読する
2. 和訳を読んで意味を確認する
3. 音読する

 この繰り返しです。音読は、例えば朝起きてまだ頭がはっきり目覚めていないとき、他の勉強に取りかかるまえの準備運動としてや、数学など他の勉強につかれたとき気分転換のつもりで2回くらいずつ音読します。

 これを繰り返して全文章の音読回数を30回程度こなすと、収録語彙が自然と頭に入っており、見出し語として収録されていない語も何度も声に出して読むことになるので、記憶の定着率がより高まるという効果を得られました。

 その他に、「特に暗記しようとしなくても、また他の構文集などを使わなくても英作文が得意になる」という効果も得られます。結局のところ、暗記しようとしなくてもそれだけの回数の音読をこなすということは、目、耳、口の全てを使って英語に触れるわけですから、どこかで見た構成で書けばできるな、という感じでマネして英作文問題を解いていたわけです。

 単調かもしれませんが、この『速読英単語 上級編』や同シリーズのや同シリーズの必修編、速読英熟語を使用することで、入試に必要な語彙をまんべんなくマスターしながら以上のような効果も得られます。大学入試用教材としては、英単語・熟語集、英文読解練習、英作文上達効果も望める洗練された良書と言えるでしょう。

知らない単語の意味を文脈から推測する練習用として

 これは重要な点ですが、たとえ本書を完璧にマスターしていても、難関大学の大学入試本番では知らない単語は登場するものだと思って間違いありません。

 大学入試では、合格レベルに達した後は知識だけではなく知らない問題へのその場での対応力も問われているからです。本書レベルの語彙まで習得した後もさらに英単語の暗記をするということは、非常に非効率的な勉強になってしまいます。

 『速読英単語 上級編』の語彙レベルは普通に大学に合格するためには、たとえ難関大学であっても必ずしも必要ないレベルのものも含まれています。そのため、最初は単語を暗記するという意識ではなく、知らない言葉の意味を推測する練習として使用する方法もオススメです。

難関大学合格には不要な難単語も含まれている
風早 寛『速読英単語 上級編』

 本書の冒頭には、「知らない単語の推測原則」という章が設けられており、不明語の推測方法がいくつか紹介されていますから、本文もこの考え方を使ってまず読んでみるという使い方です。

知らない単語の推測原理
風早 寛『速読英単語 上級編』

 もちろん、この本に取り組むレベルであれば、一度このような方法で読んだ後は単語の意味を確認して、音読などを繰り返すことで収録単語をマスターすることが望ましいですが、入試までの残り期間が少ない場合はそこまでする必要はありません。

 別冊には収録単語の例文集が添付されており、見出し語を頻度別に短文で確認できるようになっていますから、単なるボキャビルだけを行いたい場合は例文集だけを繰り返し使用するという方法でも最低限の効果は得られるでしょう。例文集は本文の参照ページも掲載されていますから、時間があれば本文と併せて使用することでより深い理解につながります。

見出語を頻度別に確認できる例文集
風早 寛『速読英単語 上級編』

まとめ

  • 速読英単語シリーズの最高峰の英単語教材。
  • 収録語彙はかなりレベルが高いので、最難関大学志望者向け。
  • 同シリーズの必修編や速読英熟語レベルを習得していないのであればそちらを優先。
  • 知らない語彙の意味を推測する練習用教材としての使用法もある。
●編集長からひとこと
 当たり前ですが、TOEIC対策をしている社会人でもAクラス(860点)を目指すのであらば、最難関大学の英語の長文くらいはスラスラと読めなければダメです。TOEICなら高得点だけど慶応の長文は読めない、ということはありえません。大学受験生向きとされていますが、TOEIC好きの社会人にも使って欲しい逸品です。
さかえ

上智大学法学部卒のビジネスマン。大学在学中は、純正日本人でありながら帰国子女率80%の上級英語クラスに所属していた。TIME誌、Newsweek誌は辞書なしで読解可能。愛読誌は『The Wall Street Journal』『The Economist』。
詳しいプロフィール / 記事一覧

 - 大学受験, 英単語・熟語