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【レビュー】英検1級 文で覚える単熟語:長文の中で高度な英単語を覚えていく旺文社の文脈主義教材

      2017/07/12

英検1級レベルの英単語・熟語を長文の中で覚えていくタイプの英単語教材です。語学書、試験問題集の出版では定評のある「旺文社」が製作しました。

CD付 英検1級 文で覚える単熟語 三訂版 (旺文社英検書)

文脈の中で英単語を覚えるスタイル「文脈主義」

英語学習における文脈主義といえばZ会出版『速読速聴・英単語』シリーズが有名で、ロングセラーの語彙習得本として多くの学習者に愛用されています。

本作の初版発行は2013年3月となっており、また全体的な作りも『速読速聴』を意識して製作したのではないか?といった仕上がりになっています。本自体のサイズ、厚みすら「そっくり」です(笑)。旺文社版『速読速聴・英単語』と言っても良いでしょう。

文脈主義教材ではおなじみの「英和対訳方式」
旺文社『英検1級 文で覚える英熟語』

『英検1級 文で覚える英熟語』は後発だけあって、『速読速聴・英単語』では若干気になる箇所を改善した、とても素晴らしい出来栄えとなっています。

英文中のターゲットの単語に連番が振ってある

英語の長文と文中の重要単語をリスト化し日本語の意味を記載するという作りは、多くのリーディング本で採用されている基本的なスタイルです。

この本では、重要単語の箇所に連番が振ってあり、単語リストとの対応関係を明確にしています。文中でターゲットの単語に出くわし、その意味が分からなかった場合、単語リストのページに目をやることが多いですが、番号が振ってないと即座に該当する単語を認識できません。

文中の重要単語の番号と単語リストの番号が対応しているので検索しやすい
旺文社『英検1級 文で覚える英熟語』

ゼロカンマ数秒程度の差ですが、番号を振ってあったほうがより素早く該当の英単語を検索できます。学習者の視点に立った素晴らしい工夫だと感じます。

単語リストには同意語を豊富に併記している

ほとんどの見出し単語には、同意語が1個~3個ほど併記されています(1語で表せるような同意語がない場合には、英英辞書のような定義が英語で書かれている単語もあります)。私が個人的に『速読速聴』を使って若干不満だったのは、同意語の記載が弱いという点でした(全くないわけではありません)。

同意語が併記されていれば、日本語を見なくても単語の意味が分かりますし、同意語同士でグルーピングできるのでターゲットの英単語が記憶に残りやすくなります。これは個人的には、全ての参考書で取り入れてほしい重要な要素なのですが、一部の参考書以外は採用されていないようです。

また反意語を掲載している単語もありますが、反意語に関してはなかなか単語だけ提示されても記憶に残らないので、無理に覚える必要はありません。『DUO 3.0』等でも同じなのですが、反意語は「確認」程度にしておくのが無難です(例文がなければ暗記も難しいため)。

語彙水準は、もちろん英検1級

そもそも書名に「英検1級」と銘打っているので、英検1級に対応していなければ嘘になるでしょう。単語レベルをチェックしましたが、間違いなく英検1級に対応している高度な英単語が豊富に使用されています。

『速読速聴・英単語』シリーズに換算すると、中級~上級の『Opinion 1400』『Business 1200』『Advanced 1100』に記載されている英単語が幅広く登場します。いずれも英検でいえば準1級~1級、TOEICなら最低でもAクラス(860点以上)は確実に取得できる語彙レベルです。

速読速聴・英単語 Advanced 1100 ver.4

文章のジャンルとしては「歴史・文化」「社会・経済」「科学・技術」「環境・食料」「医学・心理」となっています。ただし内容は専門的ではなく、Z会『テーマ別英単語 ACADEMIC』シリーズのような読みにくさは感じません。語彙はともかくとして、一般的な常識のある社会人・大学生であれば内容理解に支障がでることは、まずないでしょう。

すでに『速読速聴・英単語』で勉強したことがある学習者であっても、別の文章で同じ英単語を見たり聞いたりすれば記憶がより強固になっていくので、語彙レベルが似通った本書で勉強する意味は十分にあります。

『DUO 3.0』『ALL IN ONE』『速読速聴・英単語 Core 1900』『速読英単語 上級編』あたりは難関大学の受験生も愛用していると思いますが、いずれも語彙レベルは中級で英検でいえば2級~準1級程度となっています(完全に習得した場合の想定語彙レベルは6000語程度)。

これらの中級本に記載されているのは現代英語に頻出する最重要単語なので、「絶対に」覚えなければいけませんが、これだけだとTOEIC Aクラス(860点以上)や英検1級の語彙力には不足しています。『英検1級 文で覚える英熟語』は、それらの後にぜひ取り組んでほしい一冊です。ただし、ややレベル差があるので、同社の『英検準1級 文で覚える英熟語』を間に挟むことをお勧めします。

CD付 英検準1級 文で覚える単熟語 三訂版 (旺文社英検書)

『英検1級 文で覚える英熟語』の掲載単語を完全に習得すれば、語彙レベルとしては8000語~10000語を超えていきます。このレベルなら、英単語教材を使ったボキャビルはひとまず終わりにしても差支えありません。以後は、英字新聞・雑誌や洋書に取り組んでいきましょう。

イントロダクションの吹き込みもあり、長文でも理解しやすいCD

CDには、書中の各英文の吹き込み音声が収録されています。類書のCDと異なるのは、長文の吹き込みだけでなく「イントロダクション」として、これから聴く長文の予備知識や重要キーワードについて触れています。

旺文社『英検1級 文で覚える英熟語』付属CD(3枚組)

吹き込み音声の速度は約150語/分です。語学書としては標準的な速度(ナチュラルスピード)となっています。リスニング学習による反復学習はもとより、シャドーイング、ディクテーションにもフル活用し、聴解力を向上させると同時に英文を記憶に定着させていきましょう。

まとめ

  • 文脈で英単語を覚える長文型の英単語教材。
  • 英検1級の試験に登場するマニアックな単語を多数収録。
  • 同意語が豊富に併記してあり、グルーピングして覚えやすい。
neco_user

本サイト編集長。東北大学大学院卒(工学研究科)のITエンジニア。大学時代は音声信号処理の研究をしていた。好きな著者は『やさビジ』の杉田敏氏、『ALL IN ONE』の高山英士氏。
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