学ぶとは、マネることである。

【レビュー】夢をかなえる英作文 ユメサク:「和文和訳」を特徴とする灘高教諭・木村達哉先生の英作文教材

      2016/08/23

 和文和訳トレーニングを取り入れた英作文の学習ができるライティング教材です。『夢をかなえる~』シリーズとしては2013年に発行されました。

夢をかなえる英作文 ユメサク 【CD・赤シート付】 (英語の超人になる!アルク学参シリーズ)

英作文攻略のための和文和訳

 高校生向け学習参考書であるため、授業やテスト、大学入試で頻出される文法・語法を扱っています。「学校生活」や「比較文化」、「科学技術」など10ユニットがあります。英作文の学習と併せて、その分野で頻出される語彙・表現も学習できます。

高校の授業や大学受験で扱うテーマを10ユニット収録
ユメサク_01 ユメサク_02
木村 達哉『夢をかなえる英作文 ユメサク』

 最大の特徴は、英作文における和文和訳の重要性を推していることです。和文和訳は、自分の知っている英単語・文法に合わせて問題文中の日本語を加工すること、いわゆる本格的に英作文をする前の仕込み作業、といったところでしょう。

 さまざまなシチュエーションを扱う日本語360例文に対して、2通りの英文例が充てられています。付属の赤シートで和文和訳例を隠し、英語で表現しにくい日本語特有の言い回しがある問題文を、平易でかつ明快な日本語表現へと変換していきます。

 この作業を通じて、言語上の発想転換の仕方・考え方だけでなく、言語表現の奥深さも学べます。表現のための言語感覚を磨きたいというときに、一読してみても面白そうです。

平易な英文に置き換えられるよう「和文和訳」を行う
ユメサク_03 ユメサク_04
木村 達哉『夢をかなえる英作文 ユメサク』

※日本語例文1つあたり、英文例2つが充てられていることがわかる。

思考する反復練習で英語発信力を向上

 和文和訳は、英作文の理解・作成にプラスに働きます。和文和訳された日本語と、与えられた英文例を見比べれば、「なぜこの日本語がこの英語になるのか」を理解しながら英文を覚えられます。

 「なぜ」がないまま英文を丸暗記するより、「なぜ、どうして」と考えながら反復練習するほうが、英文理解の定着がさらに図られるのではないでしょか。

 さらに和文和訳は、文中の主語・動詞を見極めるという構造化過程を伴います。このことにより、英作文における<主語+動詞~>の語順への注意が向くようになり、正確な英語を書く力がさらに高まるのではないでしょうか。

和文和訳のハードルは高い?

 本書の対象レベルは、「英検3級から」および「TOEIC350点から」です。英文例は、難しい文法を使用したものはさほど見当たりません。使用語彙も、分野によってはあまり出会わない英単語はあるものの、驚くほど難しいものはほとんどありません。

英文例は英検準2級~2級の語彙を中心に使用している
ユメサク_07 ユメサク_08
木村 達哉『夢をかなえる英作文 ユメサク』

 しかしながら、本書で設定されている対象レベルよりもやや高め「英検準2・2級」レベルだと推定されます。和文和訳に不慣れな学習者には、言い換えの発想において高い負荷がかかりそうです。

 そして、各例文に付随する「語彙・表現」のヒントと、文法・語法解説が簡潔にまとめられています。ある程度の英単語・文法知識と、柔軟で豊富な日本語表現力がある方には、取り組みやすいのではないでしょうか。

全例文を吹き込んだリスニング用CDが付属

 テキストの全例文を吹き込んだCDが付属しています。日本語文→1.5秒程度のポーズ→英文の順で録音されています。

ユメサク_CD
木村 達哉『夢をかなえる英作文 ユメサク』付属CD(1枚組)

 ナチュラルスピードなので短文とはいっても一般的な高校生だと若干聞き取りは難しいかもしれませんが、事前に発声される日本語文を頼りにすれば、英文の理解は可能かもしれません。

 ただし、難関大受験生だと日本語の部分が邪魔と感じる生徒もいるはずなので、英語のみのCDも一緒に付けて2枚組にする方が良いと思うのですが、いかがでしょうか?

考え、納得しながら英作文を学習

 英語・日本語に関係なく、言語表現の多様さ・面白さに気づきながら学習が進められそうな一冊です。

 「日本語→和文和訳→英語」のプロセスにより言語を構造的に見て、正確な語順を意識した英作文練習に取り組むことで、分析的に考えながら学習できます。そのため、一つひとつの物事を納得しながら理解を深め、言語発信力を高めたいという方におすすめしたいです。

まとめ

  • 英作文の仕込み段階に、和文和訳を取り入れた英作文教材です。
  • 和文和訳での負荷が高めに思えることから、中級者以上向けのレベルです。
  • 「なぜこの日本語がこの英語になるのか」を考えながら英文への理解が深められます。
ばーばら
筑波大学大学院卒の高校英語教師、フリーランス翻訳者。大学は教育学部英語科に所属し、大学院では英文ライティングの指導方法を研究していた。現在は英検1級合格を目標に自身の英語学習を続けている。 詳しいプロフィール / 記事一覧

 - ライティング