学ぶとは、マネることである。

【レビュー】世界一分かりやすいTOEICテストの授業:問題数の多さではなく丁寧な解説が充実していることを売りにしたTOEICリスニング対策本

   

 TOEICリスニングパート(Part 1-4)の対策本です。この本は、問題数の多さではなく解説が充実していることが売りとなっています。そのため、本番間際でブラッシュアップとして取り組むよりも、十分な時間を取って事前にTOEIC対策をしておきたい学習者に向いています。

CD付 世界一わかりやすい TOEICテストの授業[Part1-4 リスニング]

 非常に基本的なところから解説されているため、初めてTOEICに取り組むという人はもちろん、自分の知識の穴を埋めたい学習者にもお勧めしたい参考書です。

学習者の目線に立った丁寧な解説

 市販のリスニング対策の本は英語が聞き取れる前提で問題を間違えない方法について解説しているものが多いのですが、本書はまず英語を間違いなく聞き取れるようになるところからスタートしています。

 一般に言われている発音と実際の発音の違いについても触れられているため、特に初学者にとってはとても心強い本であると言えるでしょう。

弱形で「本当の音」を聞き取れる耳をつくろう!
世界一わかりやすいTOEIC_01 世界一わかりやすいTOEIC_02
関 正生『世界一分かりやすいTOEICテストの授業』

 ここで解説されている音は、分かりやすく説明するために日本語の音に直して解説されています。例えば”of”の発音は「ァヴ」のようになる、などといったように解説されているのです。

 そのため、厳密にはネイティブの発音というわけではないのですが、カタカナ英語の思い込みを打破する意味では有効でしょう。何よりも発音記号を用いた説明よりも分かりやすく真似しやすいため、手っ取り早く耳から入る発音を理解できるようになりたい場合はお勧めです。

 ただしあくまでも簡易的な説明であるため、例えば”but”と”bat”の違いといったようなものは本書では分かるようになりません。そういうものについては、文脈から理解せよ、というスタンスになっています。

 より正しい発音を身につけたいと考えている方はこの本では不十分なので、発音専門の参考書を探してみてください。

TOEICの問題の癖や一般的な勘違いについても解説

 単に「ここでこう言われているから正解はこれ」といったような解説ではなく、TOEICがどういう問題を作って受験者を試しているかといったことや、TOEICの試験対策として一般に言われている”間違い”についても触れています。間違った試験対策のスタートを切らないためにも本書は有効です。

Part1の例題と回答及び解説(インパクトがあるものが正解とは限らない!)
世界一わかりやすいTOEIC_03 世界一わかりやすいTOEIC_04
関 正生『世界一分かりやすいTOEICテストの授業』

注:実際のページ構成は例題が見開き右のページです。

様々なタイプのリスニング問題で本番のイメトレができる

 TOEICは日常的なレベルの英語を聴いて問題に答える試験ですが、中にはラジオなどのあまり聞き慣れない種類の英語音声もあるかもしれません。本書はそういった英語のパターンについても触れており、それぞれのパターンに特色な発話方法にまで触れられているため、最短かつ効率的に色々な問題とその解説に触れることができます。

 また、本文中に用いられている単語はリーディングの問題でも頻出の単語が多いため、TOEIC対策の入り口としてかなり質の高い勉強が可能です。

TOEICのリスニング・セクションに準拠したCDが付属

 TOEICのリスニング・セクションに準拠した音声CDが付属しています。言うまでもないことですが、TOEICのリスニングは非ネイティブの英語力を測る試験用に作られており、聴き取りは比較的やさしいものです。TOEICのリスニングができれば英語のリスニングが完璧かというと、決してそうではありません。TOEICは高得点でも、CNNのニュースは聞き取れなかったり、映画の英語が分からないという経験をした方も多いことでしょう。

世界一わかりやすいTOEIC_CD
関 正生『世界一分かりやすいTOEICテストの授業』付属CD(1枚組)

 TOEICのリスニングがネイティブスピーカーにとってどのくらいのレベルなのかは我々日本人には分かりにくいですが、これを知る方法としては、外国人が良く受験している「日本語検定1級」のリスニング問題を聞いてみることです。TOEICのように、やや引っ掛けや混乱させるような問題があるにせよ、ほとんど正答できる易しい日本語だと気づきます。このくらいの(ネイティブにとって)易しいリスニング問題がTOEICで使われていると思っていただきたいです。

リスニングができればリーディングもできる?

 本書では、英語の音に慣れてリスニングの問題を解くことができるようになるまでをサポートしています。したがって、この本を学習し終わる頃には英語の発声パターンについておよそ理解できているようになるでしょう。

 こうして発生パターンを理解できると、リーディングの際に自分でそのパターンで読み進めることができるため、読解力や理解力が向上します。もちろん、リスニングで聴ける速さ(ネイティブの速さ)で長文を読み進めることができるようになるため、時間が無くて長文問題を解き終わらない、といったこともなくなるでしょう。

まとめ

  • 初学者からリスニングを完璧にしたい上級者まで広くオススメできる本。
  • 問題数は多くないが厳選されており、その分解説が非常に細かい。
  • リスニング対策をしながら、結果としてリーディングの対策にもなる。
  • まだ発音に慣れていない人にとって目から鱗が落ちる情報も豊富に記載。
堂本秋次
実務翻訳者、プロマジシャン。英検1級、国連英検A級、TOEIC965を保有。大学時代は、ネイティブスピーカーの教授の指導のもと、言語学を専攻していた。医学、自然科学等を専門とする多芸多才な翻訳者。 詳しいプロフィール / 記事一覧

 - 資格試験