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【レビュー】Newsweek:政治・国際情勢のニュース記事を中心に環境問題等も取り扱う伝統の英字雑誌

   

 Newsweekは主に政治・国際情勢の記事を扱っていますが、その他にも環境問題や建築技術の最新情報、書評やアート、旅行情報などの記事も後半に掲載されており、総合誌としての色彩も持っているアメリカの雑誌です。

Newsweek

政治・国際情勢を中心に幅広いジャンルの記事を扱う

 本誌はアメリカ国内向け版と国外向け版では記事の内容や構成が異なっていますが、英語学習という観点で見た場合は特に気にする必要はないでしょう。

 日本で購入できるものも、アメリカ国内の政治情勢や、アメリカの立場から見た国際情勢がおおむね1冊当り60ページ程度の紙面の50%を占めています。書評や旅行情報などもやはりグローバルな情報が多くなっています。

政治・国際情勢を中心に幅広いジャンルの記事を掲載
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『Newsweek MARCH 04, 2016/VOL.166』

英文の論理構成の難易度について

 英文の論理構成レベルは経済誌などのより専門的な雑誌に比較すると高くはありません。そのため、本格的な長文の論理把握訓練の最初の段階としては適しています。

 各記事のパラグラフ(段落)ごとの構成もシンプルで、おおよそ以下のようなパターンで記載されています。

第1パラグラフ:記事のテーマの状況説明やイントロダクション
第2パラグラフ:より詳しい状況説明や問題状況の整理
第3パラグラフ:異なった視点や反対派からの反論

最終パラグラフ:結論やまとめ

 つまり日本語の新聞記事とほぼ同様の書き方の記事が中心ですから、語彙について行ければ読みこなすことはできるでしょう。

本格的な長文の論理把握訓練の入門に使える難易度
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『Newsweek MARCH 04, 2016/VOL.166』

 
 ただし一つ注意してほしい点は、あくまで「アメリカから見た」政治・国際情勢に関する記事がメインですから、アメリカの政治状況や経済状況を知っておかないとそもそもテーマ自体の理解が難しい記事は多く含まれています。

 例えばアフガニスタン問題、中東情勢を取ってみると、アメリカの立場から見た見方と、他の国から見た見方は政治的な考え方や立場が異なりますから、当然全く違った記事になるでしょう。

 そのため、普段から日本語のニュースを見る、動画サイトなどでアメリカのニュースを見る、記事を読んでいて理解に詰まったらそのテーマでネット検索をするなどして、前提知識を調べて知っておくことが必要になる場合もあります。
 
 なお、書評や映画評、旅行情報などの項目は政治・国際情勢と異なり前提知識がなくても読める記事ですから、初めて英語誌に挑戦するという場合、最初はその項目だけ拾い読みするという方法も英語学習という目的に限定するのであれば「アリ」でしょう。

語彙レベルの目安はTOEICスコア700後半くらいから

 本誌は参考書とは異なり学習用に編集されたものではありませんから、語彙レベルは容赦がありません。

 新語やそのテーマの固有名詞などについても「この記事を読むなら当然知っている知識」として書かれている場合が多く、特に説明がない場合も散見されます。特に本誌のメインとなる政治・国際情勢分野ではその傾向が強くなっています。

 例えば『DUO 3.0』や速読速聴・英単語シリーズの『Core 1900』『Opinion 1400』『Business 1200』『Advanced 1100』等の教材で中級~上級とされるレベルの語彙まで習得していても、一つの記事の中に知らない単語が多いこと、知っている単語でも参考書で紹介されているような典型的な意味とは異なった意味で用いられている場合が多いことに面食らうこともあります。
 
 英語学習を目的として読むことを考えた場合、TOEICスコア600台前半ほどの人とすると、あまりにも知らない語彙が多すぎて、何度も何度も辞書を引きながら文章を読まなければならないため、労力ばかりかかってコストパフォーマンスが悪くなってしまいます。

 記事のテーマにもよりますが、TOEICスコア700以上、できれば700後半程度コンスタントに取れる語彙力レベルであれば、わからない語彙があっても記事全体の論旨は50~70%ほどはつかめると考えられます。

 そのため、英語学習のために本誌を使うのであれば、まずは参考書などで基礎力をつけ、一定レベルに到達したら本誌を読むという流れが最適です。これは本誌に限らず他の英字誌にも言えることです。

英語学習目的で本誌を読むべき理由

 英語学習の目的として、大学受験生であれば「志望校に合格したい」、社会人であれば「TOEICスコアを上げたい、または英検を取ってスキルアップ・キャリアアップしたい、仕事で英語が必要になったため」が主なものになります。

 しかし、大学受験生に関して言えば受験勉強のために本誌に手を出すことは、私はあまりおすすめしません。トップのカバーストーリーだけ読むとしても難易度が高すぎてコストパフォーマンスが悪すぎます。また大学受験ではどの大学を受けるとしてもそこまでの力は必要ありません。

 確かに難関大学である東大や一橋大、早慶上智などでは本誌やTIME誌の記事をそのまま、または一部を切り取って長文問題として出題することもありますが、それならば過去問をやりこめば良いのです。わざわざ限られた勉強時間の大部分を割り振って本誌に手を出す必要はありません。

 大学受験生レベルであれば、センター試験の英語を20分で全部解いてほぼ満点が当たり前に取れる、早慶上智の入試問題を全部解いて8割~9割正解した上でなお制限時間が余るなど、かなり英語が得意な学生でなければ本誌の記事を一読しても半分もわからないと思いますし、それが通常です。それに英語ばかり勉強しているわけにもいかないでしょう。

 一方、社会人でTOEICのスコアをある程度取れるようになっている方は本誌を積極的に読む意味があります。

 TOEIC特化型の勉強では、文法・語法の知識、リスニング力、「短文」の読解力は確かについてきますが、本格的な「長文」の読解力の養成は中々できません。

 Part6、Part7のいわゆる「長文読解セクション」と言われている問題は、英字新聞をしっかり読める人、日常的に英語を使ってビジネスをしている人からすると、どれだけ問題数が多くても一つ一つの問題は「短文」です。テーマがメールや広告などが中心になっていますから、必然的にそうなります。難関大学の入試問題と比較しても一つ一つの英文は短くなっています。

 そのため、TOEIC特化型の勉強では、例えば「英字論文を読みこなす能力」、「英語の書籍やデータブック、新聞記事、ネット記事を調べてレポートを作成する能力」などの、ビジネスで必要とされる読解力や論理構成力の養成が難しいのです。

 ここに社会人が英字誌を読む大きな意味があります。
 
 TOEIC向けの文法や語彙の穴埋め、短文の意味把握だけでは実際に高度なレベルで英語を使える総合力のためには不足です。本誌の記事などでかなり長い文章を読み、全体の論理構成を把握する訓練を多く積むことで、TOEICのための勉強で培った基礎力が、現場での実践力になります。
 
 先に述べた通り、本誌の一つ一つの記事の構成は割とシンプルかつわかりやすいですから、本格的な英字新聞・英字誌に挑戦する際の最初の一冊としては適切です。

 定期購読して全部の記事を読んでいると時間が十分にない場合は大変ですから、カバーストーリーだけ読む読み方や、ある一つのテーマを追いかけその記事だけを読むなどの方法で対応しても良いでしょう。

まとめ

  • アメリカ視点から見た政治・国際情勢の記事を中心とする総合誌
  • 典型的な新聞記事の構成。英字誌による本格的長文読解の最初の一冊に。
  • TOEICスコア700台以上の社会人で、学んだ知識をビジネス現場で使える力に結びつけたい方向け。

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さかえ
上智大学法学部卒のビジネスマン。大学在学中は、純正日本人でありながら帰国子女率80%の上級英語クラスに所属していた。TIME誌、Newsweek誌は辞書なしで読解可能。愛読誌は『The Wall Street Journal』『The Economist』。 詳しいプロフィール / 記事一覧

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