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【レビュー】TIME:英検1級攻略にも有効な幅広いジャンルのニュース記事を掲載した定番の英字誌

      2017/05/06

TIMEは政治・経済からエンターテインメントまで幅広いジャンルを扱うアメリカのニュース雑誌です。その年で最も活躍した人を選ぶ”Person Of The Year”の記事が特に有名ですね。日本人ではソニーの創業者である盛田昭夫、歌手の宇多田ヒカルなどが過去に紹介されました。

Time Asia [US] March 7 2016 (単号)

Newsweekよりも総合誌として幅広いテーマを扱う

本誌は良くNewsweekと同列に話されることが多いですが、政治・国際情勢メインのNewsweekと比較すると扱っているテーマは幅広くなっています。

もちろん政治・国際情勢も扱っていますが、Newsweekと比較するとその割合は相対的に低く、最新技術の紹介や人物紹介、テレビの番組紹介などのエンターテインメント記事に割かれる割合が多くなっています。

そのため、本格的な英字誌に挑戦する最初の一冊としては、本誌とNewsweek誌を両方読むことも良いですが、時間がない方は読み比べてみて読みやすそうだなと思ったどちらか一冊という方法でも良いでしょう。

内容から見た場合、ある程度リラックスして読める記事は本誌の方が多くなっていますから、特に政治・国際情勢にウエイトを置いていない人の場合は本誌を選択しても良いでしょう。

政治・経済からエンターテインメントまで幅広いジャンルを扱っている
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TIME Asia『TIME VOL.187,NO 8 | 2016』

本誌の英文構成の特徴

英文の論理構成レベルはNewsweek同様シンプルですが、本誌ではヘルスケアや環境問題、世代問題などの幅広いテーマを識者が解説する記事も含まれていますから、そのような記事に関しては論理構成がNewsweekほど直線的でない、つまりやや文脈把握が難しいものも含まれている印象です。

そのため、本誌はある分野に特化せず幅広い分野の記事を読み、英文読解力を実践レベルまで鍛えたい人、幅広い語彙を身に付けたい人にはNewsweek誌より向いているとも言えます。

また、次の段で述べますが本誌の紙面構成はパラグラフリーディングの練習に向いています。その理由は以下のようになります。

1. 小見出しが多いこと
2. 本文の中でも特に強調したい1センテンスは大文字で書かれている場合が多いこと
3. 図表・グラフが適宜挿入されていること

TOEIC特化型の勉強をしている人は多いかと思いますが、本格的な英語記事を読む場合はTOEICのリーディングセクションよりもずっと長い英文を読むことになります。そのためにパラグラフリーディングを取り入れることが効果的ですが、本誌の紙面構成ではそのような練習がしやすいと考えられます。

本誌の記事を使ったパラグラフリーディングの練習方法の一例

英文や語彙のレベルはおおむねNewsweek誌と同程度ですので、そちらの記事をお読みいただくとして、ここではTIME誌の典型的な紙面構成を利用したパラグラフリーディングの一例を紹介します。

パラグラフリーディングを使った読み方の基本は以下の通りです。

1. 文章全体のテーマを把握する(テーマ把握)
2. 文章全体の論旨を予測する(予測)
3. 文章の出発点・結論を把握する(論理構成全体の把握)
4. 予測を修正しつつ本文を読んで詳細を把握する(詳細読解)

TOEICの問題などの短文では必要ない場合も多い読み方ですが、英検準一級以上の長文問題などには効果的な方法です。また、実際にビジネスなどで英語のレポートなどを読まなければならない場合には非常に効果的です。

上の流れが、マクロからミクロへの読み方になっていることを確認してください。 全体を大まかに把握・予測してから詳細に入っていくわけです。

これは通常の本を読む際の

タイトルを読んで読みたい本かどうか考え、テーマを把握

目次を読んで話の流れをつかむ

本文に入る(最初と最後の章を先に読むかどうかは読書目的による)

という読み方と同じ手順を踏んでいます。

前段で書いた本誌の紙面構成はこの練習をしやすくなっています。つまり、小見出しが多く図表・グラフが適宜挿入されており、その割合も多めですから、Newsweek誌と比較すると上記手順を視覚的に踏みやすいのです。

以下では先に書いた手順のうち、2の「予測」までをしてみます。

記事全体の論旨を予測する際に読む箇所の英文は引用しますが、下の画像の紙面構成で確認しながら以下の読み方の一例をお読みください。

紙面サンプル『How marriage can influence your blood pressure』
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TIME Asia『TIME VOL.187,NO 8 | 2016』

1. 記事タイトルを読む(テーマの把握)
2. 図表・グラフ・小見出しを読む(予測)
3. 文章の最初のパラグラフ・最後のパラグラフを読む(論理構成全体の把握)

これを行った上で本文に入り、論旨を把握していくわけです。

上に挿入した画像ですと、記事タイトルが”HEALTH NEWS ; How marriage can influence your blood pressure”となっていますから、1.テーマの把握は、「結婚が血圧に及ぼす影響」と分かります。

次に、ページ右上の図表を見ると、

200%:Increase in likelihood that a woman divorced twice or more will have a heart attack, compared with her stably married peers

8.5%:Increase in risk that spouses who say more negative than positive things to each other will have a heart event

+2.3%:Difference in average BMI of married vs. unmarried European men of the same age

と赤字で書かれています。この部分を先取りして読むと、

「200%:2度以上離婚を経験した女性は心臓発作の割合が離婚経験のない女性と比較して高い」

「8.5%:配偶者とネガティブなことを言いあう人はポジティブなことを言いあう人より”heart event”のリスクが高い」

「+2.3%:同年齢のヨーロッパ人男性のうち、結婚している人とそうでない人の平均BMIの違い」

と書かれています。

この1つ目と2つ目から、テーマである「結婚と高血圧・心臓疾患の間には相関関係がある」ということがよりわかり、予測が立てやすくなりました。

+2.3%以下の文章は、平均BMIについて書かれているようです。BMIは日本語でも使われていますが、体重(kg)÷身長(m)の2乗で表される指数で、痩せすぎ・標準的・太りすぎなどを表す指標です。体重は高血圧や心臓疾患リスクに関係があるということは常識ですから、ここで結婚している場合とそうでない場合の体重の差がある、ということが書かれているのではないかと予測できます。

なお、“heart event”が分からないとして英語のままにしておきましたが、この言い回しの正確な意味が分からなくても、ここまでの予測を立てておけば、心臓疾患に関係すること、例えば心臓発作などに係るリスクだろうと推測できます。

余談ですが、このように文脈から推測する方法はTOEICでも大学受験でも実際に英字誌を読む場合でも非常に有用かつ必須ですから、身に付けておきましょう。

他に例えば8.5%の文章内の”spouses”が分からなくても、後ろに”each other(お互いに)”とあり、文章全体は「結婚」が関係していますから、これは配偶者・夫・妻のどれかであろうということは推測でき、いずれでもおおむね間違っていません。(正確な意味は配偶者です。速読速聴・英単語シリーズのCoreに収録されている標準単語です。)

パラグラフリーディングの本筋に戻ります。ここで下段の中列を見てみましょう。

“The marriage-weight link”

と書かれており、やはり結婚と体重は関係あるのだということが分かりました。

更に右下の小見出しを見てみると、

“Heart-attack recovery”

と書かれています。

結婚は心臓病からの回復にも関係がありそうです。

ここまでで分かった内容で記事の予測を立ててみると、

「結婚しているか、そうでないかは血圧や心臓疾患リスクに関係がある。離婚経験のある女性はそうでない女性よりも心臓発作リスクが高い。年齢の条件を同一としてヨーロッパの男性を調査したところ、結婚していない人は平均的な体重が結婚している人より重く、そのため血圧・心臓疾患リスクもより高いことが分かった。夫婦仲も心臓疾患リスクに関係する。ポジティブな会話を交わす夫婦は心臓疾患リスクが低いのである。更に結婚しているか否かは、心臓病にかかってしまってからの回復率や回復程度にも関係する。」

ということになりました。

ここまでが上記のパラグラフリーディングの「2.予測」までの段階です。もちろん予測ですから間違っていることもありますので、ここからは本文を読み、予測を確認・適宜修正して全体の文脈を把握します。

このような読み方は、かなり長い長文読解問題のためだけではなく、TOEICの空所補充問題でも有用ですので、是非練習してみてほしいと思います(そのため、上の記事で”heart event”が分からないとして説明しました)。

語彙レベルの目安はTOEICスコア700後半くらいから

本誌の語彙レベルはNewsweekと同程度になっていますから、Newsweekの記事と同様にTOEICスコア600前半程度の人ではついていくのは難しいでしょう。700台後半の人であればついていくことはできますが、その際に注意してほしい点があります。

この位のレベルからはぜひ英英辞典を使ってください。英語学習に日本語の介在する割合をできる限り減らし、英語を英語のまま理解し表現することを意識して普段から勉強する意識にシフトしていきましょう。

Newsweekか、TIMEか

この二つは良く同列に語られますが、Newsweekは政治・国際情勢の色彩が強く、TIMEは総合誌の色彩が強いという違いはあっても英語自体の語彙レベルなどには大きな差はありません。

そのため、基本的には政治分野・国際情勢に興味のある人や必要のある人はNewsweekを、分野をあまり限定しないで幅広い記事を読みたい人はTIMEを選択して勉強するのが良い方法でしょう。

もちろんその時の気分によってある週はTIMEを、ある週はNewsweekを、という読み方をしても問題ないと考えられます。

まとめ

  • Newsweekよりも幅広いジャンルの記事を扱う総合ニュース誌
  • 英文レベル・語彙レベルはNewsweekとほぼ同じ。TOEICスコア700台後半なら読む価値はある。
  • 幅広いジャンルの英文読解力を磨きたい人におすすめ。

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さかえ
上智大学法学部卒のビジネスマン。大学在学中は、純正日本人でありながら帰国子女率80%の上級英語クラスに所属していた。TIME誌、Newsweek誌は辞書なしで読解可能。愛読誌は『The Wall Street Journal』『The Economist』。 詳しいプロフィール / 記事一覧

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