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【レビュー】英語で読む 池上彰の経済のニュースが面白いほどわかる本:池上彰氏のやさしい解説で英語と経済の両方を知識を深められる本

   

 本書はジャーナリストである池上彰氏が解説した経済の基本を英文に起こしたリーディング教材です。

英語で読む 池上彰の 経済のニュースが面白いほどわかる本

経済現象を原則論から、身近な例を使ってわかりやすく解説

 池上彰氏は、元NHK記者の経歴を持つジャーナリストです。難しい社会事象をわかりやすくかみ砕くというスタンスでニュース解説や執筆活動をされており、以前は経済や政治などの社会現象を子供でも分かるように解説する「週刊こどもニュース」のメインキャスターとして出演などしていました。

 経済や政治などは伝える人の考え方やスタンスによって、ある一つの現象がどのようにも解釈されて読者や視聴者に伝えられるものですが、池上彰氏の解説は中立・客観的で、かつわかりやすいということで高い評価を受けています。

 景気や株のしくみ、年金制度のしくみなどの身近なテーマから始まり、世界経済・日本の財政問題などまで幅広く解説しています。また、幅広く解説しているからと言って一つ一つのテーマの記述が薄いわけではありません。

 本記事執筆現在(平成28年5月)、行政は政策の柱の一つとして「長引くデフレからの脱却」を目指していますが、本書では「なぜデフレになるのか」、「デフレから脱却するためには国民はどう行動するべきなのか」といったことまでを、経済原則の解説を絡めて、しかも身近な例を挙げながらわかりやすく解説されています。

身近な例を挙げたわかりやすい解説(デフレのまとめ)
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池上 彰『英語で読む 池上彰の経済のニュースが面白いほどわかる本』

やさしい文法レベルの英文で、経済用語を深く理解できる

 英文レベルはそれほど高いわけではありません。中学~高校レベルのやさしい英語で、経済知識を身に付けるというコンセプトのとおり、英語の文法レベルは高校生程度の知識で十分読みこなせます。また、重要な語彙やイディオムには下線が引かれた上で直下にその意味が書いてありますので、いちいち辞書を引かなくても読み進めていくことができます。

 経済学を勉強したことがない人は経済用語の多さから、やや難解と思うこともあるかとは思いますが、例えば「信用創造=credit creation」、「通貨制度=monetary system」などの経済学独特の用語については赤字として意味が付されています。その制度がどういうものなのかにつては、本文でわかりやすく解説されていますので、適宜本文に挿入されている図表などを参照しながら読み進めれば効率よく学習できます。現代経済学の基本用語の大部分は収録されていますから、本書を活用することで経済英語を読む基礎を身に付けられます。

難解な経済用語は注目しやすいよう赤字になっている
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池上 彰『英語で読む 池上彰の経済のニュースが面白いほどわかる本』

経済を勉強したことがない大学生や社会人におすすめ

 経済学は身近なことではありますが、ややわかりにくい分野です。中には経済学部の大学生ですらもマクロ経済学・ミクロ経済学などと聞いただけで頭が痛くなってしまう人もいるかもしれません。

 ただし、経済は理解が深くなると分かるのですが、関係する分野が家計などの身近なものから円ドルレートなどの国際的なものまで幅広い一方、基本原則は本当に限られています。この本では、それらの基本原則を、幅広い題材でわかりやすく解説しています。読み進めるうちに、きっと「この考え方は前のあの解説で出てきたぞ」などと思うことが多く出てきます。

 本書では、現代の経済でニュースになっている事象を、経済原則を用いて解説していますから、単なる経済用語、テクニカルタームの暗記にとどまらず、理解しながら英語で身に付けることができます。そのため、就職活動を控えている方で経済知識の基本を身に付けながら英語も勉強したい方には特におすすめです。

 また、TOEICも問題の出題傾向が平成28年5月から変わり、小手先のテクニックではなく、本文の内容をわかっていないと解けない問題の出題が多くなるとの見方が出ています。そのため、ある程度幅広い分野の英語を読んで対応力を身に付けておくことが必要となるでしょう。

 本書を使って勉強することで、経済については予備知識なしでいきなり難しい専門書を読み始めるよりもより深く、実践的な知識を身に付けることができます。
経済はビジネスマンにとってほぼ必須の知識ですから、これまで経済の勉強をしたことがない、何となくとっつきにくそうで敬遠していた方におすすめです。

まとめ

  • ジャーナリストの池上彰氏の経済解説を元にしたリーディング教材。
  • やや難解な経済学を、現実のニュースを題材にわかりやすく解説。
  • 英文レベルは高くないが、経済用語の解説は充実している。
  • 就職活動を控えた方、経済を勉強したことがない社会人の入門書としてもおすすめ。
さかえ
上智大学法学部卒のビジネスマン。大学在学中は、純正日本人でありながら帰国子女率80%の上級英語クラスに所属していた。TIME誌、Newsweek誌は辞書なしで読解可能。愛読誌は『The Wall Street Journal』『The Economist』。 詳しいプロフィール / 記事一覧

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