学ぶとは、マネることである。

翻訳者・堂本秋次が『ネイティブでも知らない英単語が出てくる「英検1級」の取得はビジネスシーンでは役に立つのか?』という質問に答える

      2017/05/21

質問

英検1級は必要ですか?私は社会人で、英検準1級には合格しています。

長年英語の勉強を続けている中で、なんとなく英検1級を取得することを目標にがんばってきました。ですが先日外国人の友人と話す機会があり、英検1級の問題集を見せたところ、「こんなのナンセンスだ」と言われました。

英語を母国語とする彼達でさえ見たことも聞いたことも、ましてや意味なんてさっぱりわからない単語が並んでいることに驚いたようです。英検1級に出てくるような英単語は、例えばビジネスシーンではどのくらい役に立つのでしょうか?どこに目標を置いたらいいのかわからなくなってしまいました。

回答(堂本秋次・英検1級合格者)

英検1級は必要かと言われれば、無理して取ることはないでしょう、というのが個人的意見です。英検1級を取得できたからと言って英語を話せるようになるわけでも、それで世界が大きく変わるわけでもありません。英検1級の取得はあくまで結果であり、重要なのはその過程で何を学び、どのようにそれを活かすかだからです。

もしも貴方が英語を愛してやまないというのなら、英検1級を取得することは大きな喜びになるでしょうし、それまでも良い目標となるでしょう。また、英検1級を習得するというのは漢検1級を習得するのに似ており、ネイティブが知らないような単語がずらりと並んでいても何も不思議ではありません。その点からして、平均的なビジネスシーンで英検1級の単語が必須になる場面というのはあまり多くないでしょう。この点からもやはり、「英語を話せるようになりたいから英検1級を取得する」というのは”ナンセンス”と言って差し支えありません。

しかし、英検1級の単語は完全に死んでいるというわけではありません。知性を感じさせる文章、評論、エッセイ、小説などで散見されます。また、契約書や、専門性の高い事業などでも必須となる単語が英検1級の単語として出題されているケースも見られます。もしも貴方が英検1級を取得し、適切な場面でその単語を適切に用いることができたなら、ネイティブも見直すような英語の使い手になることができるでしょう。

回答(Kana・英検1級合格者)

英検1級のテキストを見た外国の知人に「ナンセンス。こんな単語使わない」と言われた経験は私もあります。「本当なの?」と思いましたが、実際に勉強してみると、英字新聞やTIME, Newsweekなどの雑誌、英語ニュースには、そうした単語が頻繁に出てくることに気づきました。つまり、知的で格調高い、フォーマルな印象の単語が多いのです。日常の話し言葉としては堅苦しいかもしれませんが、難解すぎる特殊な単語ばかりではないと思います。

私は以前、翻訳エージェントの登録条件について問い合わせた際、「翻訳する分野についての専門知識もしくは翻訳の実務経験が必要。そうでなければ少なくとも英検1級保持」と言われたことがあります。また、1級保持者なら通訳ガイド試験での英語筆記試験免除や、自治体によって英語教員採用試験での優遇措置もあるようです。

そういうメリットを必要としないなら、1級を持っていなくても普通は困らないでしょう。ビジネスの世界ではTOEICのほうが有利と言われることも多いです。ただ、だからといって「英検1級はナンセンス」とは、私は思いません。英検は語彙・読解問題だけでなく、英作文・リスニングや面接もあります。学ぶことで英語の総合力を高めることができるのは確かです。本当に必要なのは「1級」という肩書きでしょうか?英語を使いこなせる実力なのではありませんか?

1級が必要か必要でないかは、ご自身が決めることです。ただ、努力して身につけたものは、必ず財産になります。私自身は、1級取得に挑戦してみて良かった、と心から思っています。

堂本秋次
実務翻訳者、プロマジシャン。英検1級、国連英検A級、TOEIC965を保有。大学時代は、ネイティブスピーカーの教授の指導のもと、言語学を専攻していた。医学、自然科学等を専門とする多芸多才な翻訳者。 詳しいプロフィール / 記事一覧

 - 資格試験