学ぶとは、マネることである。

【レビュー】英語耳 発音ができるとリスニングができる:アメリカ英語の全ての発音を網羅して解説

   

 英語の発音に焦点を当てた本で、アメリカ英語に出てくる基本的な全ての発音を網羅して解説しています。付属のCDで音を確認しながら、その音の出し方を本で確認することができます。

英語耳 発音ができるとリスニングができる(CD付き)

 特に日本人が苦手としている音や、自分では気付かずに間違った発音になってしまっているような音を重点的に解説しており、発音の矯正に使う本として長く親しまれている良著です。

発音を学ぶことによって様々な能力を伸ばすことができる

 本書の序盤で言われていることですが、理解していない音はその音として聞き取ることができませんし、自分で発音できない音を理解することはできません。

 一般的に日本の英語学習では英語を”発声”する機会はあまり多くなく、リーディングやライティングに関しては発音の重要性が鑑みられることは少ないですが、実際には発音は全ての英語学習の根幹を成しているものです。

自分で発音できない音を聴き取ることはできない
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松澤 喜好『英語耳 発音ができるとリスニングができる』

 リーディングの際に読み方が分からない単語や、曖昧な発音の単語に出会ってしまうと、そこで理解が滞ってしまいます。またライティングにおいては、正しく発音を覚えていれば、例えば r と l のスペリングを間違える、といったこともありません。

繰り返し練習でき、学習者のレベルは問わない

 本書は文法や語彙に関する本ではないため、これまでの英語学習の量に関わらず取り組むことができます。著者は本書を用いて繰り返し練習することで英語の発音を身につけることを強調しており、そのための問題や取り組むべき課題も多く収録されています。

子音と母音の全音素を網羅した分かりやすい解説
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松澤 喜好『英語耳 発音ができるとリスニングができる』

子音と母音の両方を学習できる

 発音というと、l と r、 s と th の違いといったように子音の発音の使い分けに焦点が当たりがちですが、本書では母音の音の違いも解説しています。

 本書に取り組むことで、hat と hut の発音の違いや、she と sea、see の違いなどを聞き分けることができるようになるでしょう。もしかすると、これまでの発音が正しくなかったことに気付く人もいるかもしれません。

発音の変化の癖についても網羅されている

 単語が他の単語の前後で発音されるとき、本来の発音から変化することがあります。例えば、take care は「テイク・ケア」ではなく、「テイケア」のようになります。

 このような発音の変化についても説明されているため、特に初学者で英語を聞き取ることができずに悩んでいる人には目から鱗が落ちるような情報と言えます。

全音素と各単語の発音を収録したCDが付属

 掲載されている全音素と、その音素を使用した単語の発音が収録されています。全て女性が発音しており、ハッキリと分かりやすい発声となっています。各発音の後にある0.5秒程度の間に、自分でも発音を真似してみましょう。

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松澤 喜好『英語耳 発音ができるとリスニングができる』付属CD(1枚組)

 第1章でも触れられていますが、正しい発音かどうかを判断するにはネイティブスピーカーに聞いてもらうのが一番なのですが、そのような機会はなかなか得られるものではありません。次善の策として、自分の発音を録音して客観的に聴くということを推奨しています。

 これは英会話本やリーディング本でも通用します。スクリプトを音読した音声を録音して、自ら発音チェックを行うことで、発音を改善することができます。面倒くさがらずに、ぜひトライしてみてください。

正しい発音とは何で、それは本当に必要なのか?

 英語の発音は千差万別で、人によってはネイティブでも l と r や s と sh の違いがはっきりしなかったり、th の音が f や ph の音として発音されているように聞こえたりする人がいます。

 また、母国語が英語で無い場合は元々の言語の発音の特徴に引きずられて訛りのようになりますし、アメリカ英語とイギリス英語の違いを考えれば、box を「バクス」のように発音するのも、「ボクス」のように発音するのも間違いではないと言えます。

 しかし、そのバリエーションの多さは、本書によってスタンダードな発音を学ばなくて良いという理由にはなりません。発音が常にスタンダードでなければならないわけではありませんが、スタンダードな発音を知らなければ聞き取るのに苦労する英語の方が圧倒的に多いからです。

 本書によりスタンダードな発音を理解し、しゃべり続けているうちに、普段一緒に話している人や聴いている他者の英語から影響を受けて、完璧なスタンダードからは少しずつ離れていくでしょう。それは問題ありません。問題なのは、最初から「発音なんてどうでも良い」と決めつけて、それを学ばないことなのです。

まとめ

  • スタンダードな英語の発音を理解することで、全ての英語技能の底上げができる本。
  • 学習者のレベルに関係なく、いつでも取り組むことができる。
  • 発音は身体で覚える類いのものであるため、根気よく取り組む必要がある。
  • 重要な点が簡潔にまとめられており、取り組みやすい。
堂本秋次
実務翻訳者、プロマジシャン。英検1級、国連英検A級、TOEIC965を保有。大学時代は、ネイティブスピーカーの教授の指導のもと、言語学を専攻していた。医学、自然科学等を専門とする多芸多才な翻訳者。 詳しいプロフィール / 記事一覧

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