学ぶとは、マネることである。

【レビュー】英文法解説:英語教師・翻訳家など英語のプロに長く愛用されている英文法書

   

 タイトルの通り、英語の文法について解説した文法書です。受験勉強などに用いる参考書としての扱いを受けている場合もありますが、その内容は非常に多岐に渡り洞察も深く、様々な文法家の見解も説明されています。

英文法解説

 ページ数は500を超え、およそ文法について疑問に思うことが網羅されています。初版は1953年ですが、幾度もの改訂を経て永く親しまれている、一般にも評価の高い文法書です。

非常に詳細な文法書であり問題集

 本書は頭から読んでいくタイプの本ではなく、必要に応じて適宜参照するように使うことを前提とされています。それぞれの文法について細かな説明がなされており、解釈が多岐に渡るものについては文法家の見解を複数紹介しています。その情報量から、本というよりも辞典のように扱うのが良いかもしれません。

辞典のような細かな解説が特徴的な文法書
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江川 泰一郎『英文法解説』

 桐原書店の『NEXT STAGE』などとは異なり、全体として文法に内容が特化しているため、語彙やイディオムの学習には効率が良くありません。しかし、文法的な観点から語彙の用法やイディオムの成り立ち・仕組みについて理解することができます。

 また、語彙やイディオムについては日本語訳もついているため、語彙力のせいで内容理解が妨げられるようなこともありません。もちろん、ある程度の語彙力を持つ学習者が読めば、元々の知識と合わせてより確かな知識を身につけることができるでしょう。

 全部で18章から成り、それぞれの章の終わりには練習問題が載っています。練習問題の中でも特に日本語訳をする問題の質が高く、自分の理解が足りていない部分を確認しながら確かな文法力をつけることに繋がるでしょう。

各章の終わりには練習問題を記載している
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江川 泰一郎『英文法解説』

無駄を一切省いたレイアウトと高い参照性

 無駄を省いたレイアウトを採用しているため、勉強慣れしていないと読むのが辛く感じられるかもしれません。しかし前述したように、頭から読んでいくような本ではないため、レイアウトのせいで読書が進まない、といったことはあまりないでしょう。

参照用の英文法書として理想的な無駄のないレイアウト
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江川 泰一郎『英文法解説』

 本書で扱われている項目には番号が割り振られており、関連する項目へと矢印と番号で誘導されています。そのため、普段の英語学習で分からないことがあった場合に目次から該当のページを開き、そこから必要なところまで内容を掘り下げていくと良いでしょう。

英文法はどれくらい重要か

 恐らく、多くの人は英文法について全くの無知ということはないでしょう。また、「文法が分からなくても話せる!」といったような英会話スクールの広告もよく見られます。

 しかし、本当に正しい英語を話すためには英文法は不可欠です。また、英文を解釈する上で正しく文法を理解できていないと、致命的な誤解・誤読をすることに繋がります。また、海外経験により英語を習得した学習者は文法知識となると疎いことも珍しくなく、意外とTOEICなどの英語試験の点数が伸びない、ということもあります。

 このように、英文法は軽視されがちですが重要な要素なのです。英文法を正しく理解できていれば、それだけ英語学習において後半の伸びに差が出てくることでしょう。もちろん、翻訳家や通訳を目指す人、英語を教える立場の人は絶対に理解しておくべき分野と言えます。本書は、そうした「本気で英語力をつけたい人」にとって強い味方となる本です。

まとめ

  • 英文法に関するあらゆる知識が網羅された文法書。
  • 文法の辞典として用いるべき高い参照性を有している。
  • 細かい文法まで様々な説とともに解説しているので理解が深まる。
  • 独学の英語学習者や翻訳者、通訳、英語教師は絶対に必読の本。
堂本秋次

実務翻訳者、プロマジシャン。英検1級、国連英検A級、TOEIC965を保有。大学時代は、ネイティブスピーカーの教授の指導のもと、言語学を専攻していた。医学、自然科学等を専門とする多芸多才な翻訳者。
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