学ぶとは、マネることである。

元・上智大生 さかえの『TOEICの文章題を速く解くにはどのような勉強をすればよいか』

      2017/10/25

質問

TOEICの文章問題への対応について教えてください。TOEICは550点~600点の間をうろうろしてるレベルで、社会人です。TOEICの文章問題(メールや広告文等のある程度の文章があってそれを読んで続く問いに答える問題)を解くスピードが非常に遅く、いつも時間内に終わらせることができません。

採点をすると解答できたところはそこそこ正解しているので、解くスピードをあげたいと考えています。今は英字新聞やネットでの無料の英語記事を読んで練習をしています。TOEICの文章題を早く解くということに対するアドバイスと、そもそも英語の文章の文意を早くつかむためのコツみたいなものがあれば教えていただけるとありがたいです。

回答(さかえ)

TOEICの文章問題ですが、多くの方が思われているほど、超人的な速読力というものは必要とされてはいません。

ここで言う「超人的」とは、1分でA4用紙2枚にびっしり書かれた英文を全て読んで意味も把握できる、といったように、1分当り1,000wordレベルの速読力です。このスピードは日本語でも読むのがかなり速いという部類になりますから、外国語である英語でこのようなレベルの速読をいきなり目指す必要はありません。

少なくともTOEICテスト1回分の問題を全て時間内に解くのであれば、1分間に150word程度の読解スピードで十分です。これは音読して英文を頭から順番に理解していく程度の速度に該当します。

この速度を達成することができない理由の一番多いものは、「英文和訳の癖がつき過ぎていて、英文を返り読みして日本語に訳しながら読んでいる」ためであると考えられます。この癖を無くすためには、英文の音読を多くこなすことが効果的です。

音読では、返り読みができませんから、自然と英語を前から順番に、書かれている通りに英語のまま理解する良い訓練になります。更にシャドーイング・リピーティングも組み合わせて練習するとより効果は高いでしょう。

また、英語の文章の文意を早くつかむコツとしては、パラグラフリーディングの技法を使って読むことが考えられます。各パラグラフごとに、固有名詞に注意してその固有名詞はどういう文脈で用いられているのか把握する訓練、接続詞に注意して文章全体の文脈をつかむ訓練、特にalthough~but…など強調表現に注意する訓練を多く積むことで、文脈を把握する正確さも速度も向上します。

パラグラフリーディングの方法論で読む際の文章の流れは全て同じで、以下の手順を踏みます。

1. 本文を読む前に文章全体の話の流れを予測する
→これは設問の選択肢や本文の「主語・名詞」だけを拾って読んでいきます。主語や名詞に注目する理由は、主語・名詞は動詞や形容詞・副詞と違って絶対にウソをつかないからです。

例えば、名詞のピックアップで「二酸化炭素・リサイクル・オゾン層・放射線・発展途上国・先進国・バイオ燃料・温暖化」といった名詞が並んでいる文章であれば、「二酸化炭素・リサイクル・オゾン層・放射線・バイオ燃料・温暖化」という単語から、本文を読む前にテーマは環境問題だな、ということが確実にわかります。

「発展途上国・先進国」という語がテーマとどうつながるかは完全に予測になりますが、先進国→今発生している環境問題の原因となる汚染物質などをこれまで歴史的に放出してきた(そのため、現在の経済発展を成し遂げることができている)発展途上国→これから先進国に肩を並べる程度の経済発展・生活水準の向上をしたい。つまり裏を返せば「これから汚染物質の放出量が増える可能性がある国」ということが考えられ、環境問題に絡めて経済格差問題についても書かれているのではないかと予測できます。

ここまでイメージすれば、文章全体の論旨は以下のように予測できます。
「環境保護・環境破壊は世界的な問題である。二酸化炭素の放出によって温暖化が起こっているが、バイオ燃料はそれに対する対策になりうるのか。オゾン層の破壊によって放射線が地表に降り注ぎ、これも環境に悪影響を及ぼしている。更に現在は先進国・発展途上国間の経済格差も問題となっているが、発展途上国が経済発展を目指すと、発展途上国から放出される汚染物質の量が増加することが懸念される。環境問題は経済格差の問題にも関係するのである」
ということが本文を読む前に「予測」できるわけです。

2. 文章全体の最初のパラグラフ・最後のパラグラフを全文読む
→最初のパラグラフは問題のイントロダクションや前提条件の説明、言葉の定義をする役割を持っていることが多く、全部意味を把握しておけば文章全体の意味把握に大きく役立ちます。

最終パラグラフは結論を示す役割を持っていますから、これも重要です。つまり、最初と最後のパラグラフを全部読むことで、文章の出発点・到着点を先に把握してしまいます。

3. 本文を読む
1.で予測した文章全体の論旨、2.で確認した文章の出発点・到着点を意識しながら、各パラグラフがどのような役割を持っているのか意識して読んでいきます。その際、最初に立てた予測を適宜修正しながら読んでください。

TOEICのリーディング問題を解く際の基本的なパラグラフリーディングの考え方は以上の通りですが、これは怪しいテクニックでも何でもなく、実は普通の本を読む場合の「タイトル・目次を読み、本文に入っていく」という読み方と同じことをしていることになります。

以上がパラグラフリーディングの基本手順です。細かいやり方や、予測の巧拙は人によって異なりますが、このような練習をしてみることをおすすめします。

さかえ
上智大学法学部卒のビジネスマン。大学在学中は、純正日本人でありながら帰国子女率80%の上級英語クラスに所属していた。TIME誌、Newsweek誌は辞書なしで読解可能。愛読誌は『The Wall Street Journal』『The Economist』。 詳しいプロフィール / 記事一覧

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