学ぶとは、マネることである。

まるでビリギャルのような本当の話。元上智大生・さかえの『偏差値40台から上智大学に合格した私の英語学習法』

      2016/04/15

高校3年9月の時点で総合偏差値30台後半、英語は40台程度

 私は上智大学法学部国際関係法学科と法律学科に一般入試で合格しましたが、特に成績優秀な高校生だったわけではありません。高校入学後勉強をほとんどせず課外活動などに夢中になっていました。更に高校3年になっても学校祭実行委員を買って出て、始発で登校し終電で帰る生活をし、その間勉強は一切していませんでした。

 その結果高校3年9月の成績は最低ランクでした。話題になった「ビリギャル」ではありませんが、あまり変わらない状態だったわけです。

 英語はビートルズの歌詞を中学までにほぼ覚えていましたので、リーディングは多少できるけれど語彙力がないから30点も取れない、文法は勉強していないのでちょっと難しいものが出るとほぼお手上げ、といった惨状でした。

 そんな私でも必死に勉強した結果、当時大学入試で英語が最も難しいと言われていたレベルの上智大学に合格できました。大学に行きたいけれど今の成績が…と思っておられる方もあきらめないで欲しいと思います。

高校生の時、英語の勉強に熱意をなくした理由

 大学受験の勉強を始める前に、なぜ自分は高校に入ってこんなに勉強しなくなったのか考えました。高校に入って交友関係や行動できる範囲が広がり、他に楽しいことがたくさんできたからということもありますが、突き詰めて考えると、英語に関して言えば「わけのわからない文法用語が嫌になったから」ということでした。

 無生物主語の構文、大過去などという、よくわからない文法用語が高校に入って増えたけれど、そんな研究者が使うような用語を知っていても、英語なんかしゃべれるようにならないだろうと思っていたため、授業がつまらないと思い、興味を失っていたのです。

 実際に大学受験をすると決めて、赤本などを読んでみてもそんな用語は問題のどこにも書いていない。それならそんな小難しい理論を隅から隅まで説明できなくても、イメージをつかんでいて実際に英語を使えれば良いのではないかと考えました。

 言い方を変えると「書いてあることや話されていることがわかって、自分でそれに応答できれば難しい文法用語とか公式じみた解法などは要らない」と開き直ったことで、勉強のモチベーションを生み出すことができたのです。

英文法を2日でやって基礎を固める

 ただし最低限の文法はわかっていないと結局途中でわからなくなって挫折します。そのため、勉強の最初に解説のわかりやすかった代々木ライブラリーの「今井の英文法入門(著者:今井宏)」を購入し、2日で全範囲を読み切りました。

今井の英文法入門―代々木ゼミ方式

 この本は「なぜそうなるのか」ということをわかりやすく解説していましたので、ほとんどゼロに近い状態でもやろうと思えば1日~2日で読み切ることができます。しかしわかりやすいからといってレベルが低いわけではありません。上智大学合格まで、いや、大学入学後も、社会人になってからも、文法に関してはこの本以外必要ありませんでした。

英語の基礎力はパラグラフリーディング→音読の順で固める

 この本のわかりやすさに感動し、代々木ゼミナールの衛星講義で今井宏先生の講義を取りました。当時は長文の入試問題を題材としてパラグラフリーディングを中心に行う上級Aクラス、文法解説やあまり長くない英文を題材に「精読」を行う中級Bクラスの2つがあり、その両方を取りました。

今井の英文読解パラグラフリーディング―代々木ゼミ方式 (1)

 Aクラスでは英文和訳や文法・語彙の解説などは簡単にしかせず、接続詞に注意、対立概念に注意など、国語の現代文が英語になったような講義でしたのでついていくのは大変でしたが、必死で復習をしてついていきました。復習の仕方は「講義でやった英文を、一週間後の次の講義までに30回音読してきなさい」と講師に言われたことを、言われた通りにそのまま行っていました。

 私は授業や講義というものは、知識を学び取るものではなく「その先生の持っているノウハウや勉強方法のコツをつかむためにあるもの」と思っています。授業や講義を受けているときはなんとなくわかる程度で良い、その後自分で徹底的に復習して自分のものにしてしまうプロセスの方がずっと重要だと考えています。そのため、講義の時によくわからなくても入試本番までにできるようになっていれば良いとすんなりと開き直れたことがプラスに働いたと思います。

 なお、現在今井先生は東進ハイスクールで教鞭を取られているようです。

一浪して勉強の仕方をアレンジしていく

 現役の時は関西の某有名私大には合格したのですが、他に受験した東京の大学は不合格でした。なお、上智大学は現役の時は受験していません。関西の大学は特に志望校ではなく、腕試しで受けたのであえて一浪を選択しました。

 高校3年9月からの5か月間は、英語だけではなく現代文・古文・日本史・数学の勉強も短期間でしなければなりませんでしたので、いくら睡眠時間を削っても各科目に振り分けられる時間には限りがありました。英語の勉強は今井先生の講義テキストと、講義内で勧められたZ会の速読英単語の必修編を全文50回音読することがやっとでしたが、それだけでも模試の偏差値が英語40台から、5か月で70オーバーまで行けて、志望校でないとはいえ大学合格することができたことで、欲が出てきたのだと思います。

速読英単語1必修編[改訂第6版]

 私の考えでは前に書いた通り、講義自体はそこまで重要ではなく、ノウハウを聴き、盗み、吸収して自分で徹底的にやりこんでいくことこそが重要だと思っていましたので、一浪しても本科生にはならず、衛星講義の単科授業だけを取って残り時間は全て独学・自習にあてました。

 当たり前ですが本科生にならなければ、日中予備校の本科の授業に行かなくて良い、そうすると自分で勉強する時間が誰よりも多く取れると考えたのです。英語の勉強方法は現役時と同じでした。ただしやる量をどんどん増やしていきました。

 具体的にしたことは以下の3つだけです。

1. 今井先生の講義は現役時と同じく上級Aクラス、中級Bクラスを取ってパラグラフリーディングと精読のノウハウを学ぶ。復習は現役時と同じようにひたすら音読。

2. Z会の速読英単語の上級編を常に持ち歩いて、他の勉強に疲れたら取り出して気分転換のつもりで音読する。なお、必修編は現役の時にマスター済みでした。

3. 毎日朝9時~10時の間にランダムに実際の大学入試問題を解く。実際の制限時間が90分や120分であっても、60分間としてより厳しい状況で解く。復習のやり方は長文問題を拡大コピーしてノートに貼りつけ、10回は音読をする。

 3.の方法で、最終的には東大、一橋大、早稲田、慶応、上智、ICUなどの有名大学の問題は夏までにほぼ全て一度は解いてしまっていたと思います。(もちろん全文章の音読は追いついていませんでした)

上智大学の問題分析

 前段までで英語の基礎体力の底上げをはかるのと同時に、夏頃から私大の第一志望に定めた上智の問題分析に入りました。全学部の問題を解いて音読していると、何となく傾向と対策はわかるものです。

 当時の上智の英語入試問題の特徴は以下の通りだと考えました。

1. とにかく大量の長文を短時間で読む必要がある
 大問1問あたり150~200行程度の長文問題が6~8問、その他に選択式の英作文問題や英文法問題などもありました。制限時間は90分ですので、大問1問当り10分以上かけると時間が足りなくなってしまいます。この時間間隔がどの程度なのか、英文をどれくらいのスピードで読めれば時間内に終わるのかを把握する必要がありました。

2. 文法問題や語法問題、語彙問題などはそれほどレベルが高くない
 レベルが高くない、というと何と比較してか、ということになってしまいますが、早稲田大学でたまに出るような奇問珍問のたぐいはほぼありませんでした。市販のスタンダードな問題集を一冊しっかり仕上げていれば少なくとも手も足も出ないということはありませんでした。

 語彙問題の場合は英英辞典形式で、「下線部の単語の意味を選びなさい」という問題が出る場合がありましたが、それも文脈が把握できていないと答えられない問題でした。逆に文脈さえ把握できていれば高度な文法知識や重箱の隅をつつくようなマイナー語彙を知らなくても正解できるように作られていました。

対策~英語で現代文の問題を解くようなイメージで読解力をつけること

 以上の通り過去問を分析して、上智の英語の問題は重箱の隅をつつくような問題はほぼ出ない、ただし膨大な量の英文を短時間で読んで意味をつかむ読解力はかなり高いレベルで求められるということが分かりました。わからない語彙は当然頻出しますが、前後の文脈が分かっていればマイナー語彙を詰め込む必要はありませんでした。

 そのため、英語の勉強の中心に据えたのは英文和訳ではなく、「文脈のつながりを完全に理解して、文章全体で筆者の言いたいこと、伝えたいことを正確に読み取ること」でした。このためにはパラグラフリーディングのノウハウが非常に役立ちました。

 90分という短時間で大学受験生レベルとしては大量の英文を読みこなす必要がありますが、この時間の壁も、音読するスピードで(大体1分間に120~130語のスピードで十分です)読んでいけば十分に時間内に終わります。ただし、読むのは一度だけという条件が付きます。何度も文章を読んでいてはやはり時間が足りません。これもパラグラフリーディングの技術を向上させることと、必要に応じて英文の横に簡単なメモを取ることで十分対応可能でした。

 全体的にしていることは国語の現代文とほとんど変わりません。上智といえども現代文と比べて難しい文脈の問題は出題されることはほぼありませんでしたから、「英語の勉強をしている」のではなく、「英語で現代文の勉強をしている」というイメージまで持っていけさえすれば恐れることはないと思います。
そのためにも前述の、私の場合は大量の音読でしたが、そういう地道な基礎体力作りが最も重要だと思います。

 そこまでやって万一できない問題があれば、「それは帰国子女でもない限り皆ができない問題だからできなくても大丈夫」と切り捨てて次の問題に入っていくことも安心してできますから、どんなに地味で単調でも、基礎体力作りの勉強を徹底的にやりこんでおくことが重要です。

市販教材で受験勉強に使用したもの

 私が受験勉強時に市販教材で使用したものと、その使い方は以下の通りです。

今井の英文法入門(代々木ライブラリー)

 文法の基礎固めに使いました。文法はこつこつやるよりも、この本のようにわかりやすく書かれている本で、最初に短期集中で勉強してしまう方が良いと思います。その後はわからない時や忘れてしまった時にその部分だけ読んでいけば良いと思います。

今井の英文法入門―代々木ゼミ方式

速読英単語 必修編及び上級編(Z会)

 音読しながら語彙を増やすために使いました。1文章につき入試までに50回は音読していました。テキストや過去問の音読ももちろんするべきですが、この本のように入試問題やセンター試験などをコンピュータ分析したうえで作られた、いわば「最大公約数」的な本は穴を無くす意味でもしておくべきだと思います。

速読英単語1必修編[改訂第6版] 速読英単語2上級編[改訂第4版]

英単語ターゲット1900(旺文社)

 一浪時のセンター試験直前一週間前に使いました。それまでにテキスト、入試問題、速読英単語の音読で語彙力もついていますから、ざっと読んで知っている単語はマジックで塗りつぶし、知らなかった語だけつぶしていく使い方です。知らなかった語は50もなかったと思います。

英単語ターゲット1900 5訂版 (大学JUKEN新書)

東大、一橋大、早慶上智などの赤本

 一浪時に毎朝9時から10時までと決めて、一年分の問題を解いていきました。その後10時~12時までの間に長文問題をコピーしてノートに貼りつけ、知らない語彙の下に赤ペンで意味を書き込み、長文問題の精読をします。

東大の英語25カ年[第8版] (難関校過去問シリーズ)

 その後、午後に日本史、現代文、数学など他の勉強に疲れたら取り出して音読していました。

日栄社から出ている「30日完成」など薄い英文法・語法問題集

 英文法・語法問題を解く量を増やすために使いました。一週間に一日だけ、日曜日の午前は赤本で入試の過去問を解くのをお休みして、午前9時からの3時間で全部解いて答え合わせまで終わらせてしまいます。薄い問題集ですので、今井の英文法入門などを終わらせていれば無理なことではなく、音楽を聴きながらリラックスして取り組めました。

まとめ~上智の英語と言っても特別なものではない

 上智大学は英語が難しいと言われます。確かに推薦入試などで、入試を経ずに入学した学生のうちには「あんな入試問題時間内に全部解いて合格できる方がおかしい」などという人もいます。しかし良く分析すると、確かに大学入試としてはハイレベルですが、絶対にできない難易度や量ではありません。

 何よりも重視されているのは「読解力」と「論理力」です。この二つを意識して、半年~1年程度の時間をかけてしっかりとパラグラフリーディングの練習をし、英文法の勉強・音読・シャドーイングなどをやりこんでおけば、帰国子女であるなど特別な経験がなくても十分に合格できる問題です。

 今の実力や成績は関係ありません。

 読解力と論理力は大学入試などという通過点のためだけでなく、大学合格後、社会人になっても重要な力ですから、それをつけるために勉強しているのだという気概で勉強してくださればと思います。

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さかえ

上智大学法学部卒のビジネスマン。大学在学中は、純正日本人でありながら帰国子女率80%の上級英語クラスに所属していた。TIME誌、Newsweek誌は辞書なしで読解可能。愛読誌は『The Wall Street Journal』『The Economist』。
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