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シャドーイング:負荷は高いが、リスニング・スピーキング・発音を同時に鍛えられる

      2016/04/04

 シャドーイングとは、「聞いた英語音声を、英文テキストを見ずに、音声の後について発音すること」を言います。音声に遅れずに、という点で音声を聞いた後でワンポーズ置いてから発音するリピーティングとは異なります。同時通訳のトレーニング等として用いられている手法でもあり、以下のような効果が期待できます。

シャドーイングの効果

英語を英語のまま理解できるようになり、英語のリズムも身に付く

 特に会話やディベートを行う場合、「英語を聞いて頭の中で日本語に直して理解する」状態ではついて行けませんし、自分の言いたいことを表現することも難しくなります。シャドーイングでは聞いた英語を追いかけて発音するわけですから、英語を英語のまま理解する良い訓練になります。

 英語を英語のまま理解するという効果は音読でも得られますが、シャドーイングでは音声を間髪入れず聞こえたまま発音するため、スピードやリズムは音読と異なり自分で設定することはできません。そのため話すスピード、区切りやポーズの置き方を身に付けることができます。

リスニング力の向上

 シャドーイングによって英語のリスニング力は高まります。繰り返すと、「英語回路」のようなものが頭の中にできてきますので、一々考えなくても英語が聞き取れるようになります。「英語回路」と言うと怪しげかもしれませんが、英語が日本語に近いレベルで自然に聞きとれる結果、ただ聞きとることに傾けるエネルギーが少なくなるようになるイメージです。

スピーキング力/発音力の向上

 ネイティブの話す英語を真似するため、リズムとイントネーションがきれいになります。日本語式のカタカナ英語から脱却できるという大きな効果が得られます。また、英語回路ができる結果、意識しなくても英語で話せるという効果も期待できます。

シャドーイングのやり方

 単純に聞こえてきた英語を繰り返すと、自分の声が邪魔になって英語の聞き取りができなくなるかもしれません。そのため、シャドーイングに慣れるまでは以下のようなステップを踏んでやると良いでしょう。

①リスニング

 英語を聞くだけです。題材とするテキストを読みながらでも構いません。また、自信のない方は辞書を引きながら先に精読し、語彙の意味等をつかんでも構いません。

②マンブリング

 英語を聞きながら、つぶやくように発音します。その英文に慣れるまで、2~3回程度で良いでしょう。

③語彙チェック

 最初に精読をしていなかった場合、わからない単語等があればマンブリングの後に調べておきます。

④シャドーイング

 聞こえてくる英語の発音・リズム・イントネーションに注意し、真似しながら復唱します。慣れてきたら、それだけではなく英文全体の意味や話・論理の流れを把握しながらシャドーイングすることを心がけましょう。

 また、最終的に自分の発音を録音して、客観的にチェックすることも有用です。

 大まかなシャドーイングの流れとしては以上のようになりますが、何度もシャドーイングした英文は最終的に暗唱してしまうという方法(レシテーション)もあります。ただし、題材の全ての文章を暗唱するのは負担が大きくなり過ぎると思いますので、取捨選択すると良いでしょう。

 最初から最終目標を高いところに置き過ぎてあまり自分にストレスをかけず、気楽に行ってみてください。

教材の選び方

 シャドーイングは音読と異なり、自分でスピードを決めることはできません。そのため、リーディングの際あまり苦労しないで意味をつかめる英文を選ぶことが挫折しないポイントです。

 例えばpodcast等であまり難しくない英語の会話例を利用する、ラジオ講座等を聞いているのであれば一つレベルを落とした講座のテキストを使う、またはすでにマスターしたリーディング教材のCDを使う等の方法が良いでしょう。

音読との関係

 シャドーイングと音読とでは、英語を英語のまま理解する訓練になる、発音リズムが良くなる、リスニング・スピーキング力が向上する等、多くの共通点があります。

 ただし、先にも述べた通りシャドーイングではスピードを自分で調整できませんし、英文テキストを見ないで行うので、英文レベルを同じとした場合音読に比べて難易度や負担は大きくなります。

 そのため、例えばあれもこれもと教材の手を広げる余裕のない社会人の方等は、音読は語彙力を強化するためにやや難しい題材を使い、シャドーイングは音読を10回、20回と済ませてマスターした教材を使って行う等の方法もあります。

 シャドーイングも音読も、その科学的な効果に関しては様々な研究がされており、またネット記事も多く出ていますが、目指すところや方法論は同じですのであまり気負わずに行ってほしいと思います。

シャドーイング向き推薦図書

 シャドーイングはCDやMP3等の語学用の音源さえあればどんな教材でも実践可能ですが、ニュース英語のように速すぎる音声では追いかけて真似るのが困難です。慣れるまでは標準~やや遅めのスピードの音源で行うと良いでしょう。

アメリカ口語教本シリーズ(研究社)

アメリカ口語教本・入門用(最新改訂版)
 シリーズ累計500万部発行の歴史のある英会話教材です。入門用、初級用、中級用、上級用の4巻構成で、段階的に英会話を学習できます。教科書チックな堅い英文は好みが分かれるところですが、ネイティブスピーカーが書いた英文なので品質は抜群です。CDの速度は比較的ゆっくりとしており、英文も自分のレベルに合わせて選択できるため、どんな方にもお勧めできます。

シャドーイング・音読と英語習得の科学(コスモピア)

シャドーイング・音読と英語習得の科学
 シャドーイングそのものをもっと詳しく知りたい方にお勧めできる専門書です。この本では、シャドーイング学習と音読学習の関係性を科学的に詳細に解説しています。著者である門田修平氏は関西学院大学の教授で、日本におけるシャドーイング研究の第一人者です。

さかえ
上智大学法学部卒のビジネスマン。大学在学中は、純正日本人でありながら帰国子女率80%の上級英語クラスに所属していた。TIME誌、Newsweek誌は辞書なしで読解可能。愛読誌は『The Wall Street Journal』『The Economist』。 詳しいプロフィール / 記事一覧

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